自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★キレるシニア、なぜ

2018年01月29日 | ⇒ニュース走査
   先日、金沢のドラッグストアに入ると、客が店員にクレームをつけていた。「ここで買ったシャンプーをまた買いに来たのになぜないのか」と。すると店員は「あいにく在庫が切れておりまして」と謝っている。客は「これで2回目や。在庫管理がなっとらん」と大声を上げた。あまりの剣幕だったのでつい後ろを振り向いた。

    昔から「ジシン、カミナリ、カジ、オヤジ」との言葉があるように、親父(おやじ)の怒声は天災のように降りかかる。ドラッグストアで声を張り上げていた客も推定だが70歳半ばだろうか。女性店員は30代に見えた。店員の態度は丁重な感じで、親父が一方的に言いがかりをつけている感じに見えた。在庫管理にクレームをつけるのだったら直接店長に呼べばよいのにと周囲の客は誰もが思っただろう。

   このドラックストアだけではない。数日前にも携帯電話のショップでも親父の怒声を聞いた。「いつまで待たせるんや」と。5人が窓口で並んで待っていたが店員が誰も応対に来ない。店員は忙しそうにしているが、せめて「もう少々お待ちください」との対応があってもいいのに自身もイライラした。すると70代とおぼしき親父が先の怒声を上げた。店にいた客も店員も一斉にこちらを向いた。店長の年配の女性が出てきてその場は収まったが、対応に2時間待ちと言われ、親父はプンプンしながら出て行った。私は翌日に時間予約をして出た。

   このごろキレやすい親父が増えているような気がする。他人の事を言う筋合いではないのだが、親父にとっては現代はストレスがたまる環境なのかもしれない。携帯電話のショップはメールで時間予約ができるようになっている。しかし、親父は携帯に不都合があって、あるいは操作方法を教えてもらおうと店に来たのだろう。それだけでもストレスを感じているのに、待たされ、しかも店の応対も悪いとなるとストレスが怒りに点火する。ドラッグストアにしても、買い求めたい商品がない、しかも同じ言い訳を2度聞かされキレたのだろう。店側の対応も柔軟ではない。

   年配の女性からこんなメールをもらった。「世の中が急速に進み、私はこの情報化の時代に後れを取ってしまい、PCも上手に操作できません。お返事の遅くなった言い訳ですが、歳とともにボォーとしていることが多く、時間ばかりが経っていきます。」と。デジタル化への対応にうまく向き合えないシニア世代にとってこれもストレスだ。

きょう検診を受けに病院に行った。待合室で親父が独り言でブツブツと。「国会のヤジになんで総理が謝らんといかんのや」と。アメリカ軍普天間飛行場のヘリコプター連続事故で、自民党の内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」と野党側にヤジを飛ばしたことが逆に「暴言」と追及され、副大臣を辞したニュース。安倍総理が任命責任を認めたことが親父にとって不満らしい。

   加齢とともにストレスが負債のように積み重なっていく。若い世代のときのように柔軟に対応できなくなるのだろう。まるで空気中の静電気が溜まって落雷となるように。明日のわが身かもしれない。

⇒29日(月)夜・金沢の天気   くもりときどき雪

   

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