自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

2020年02月24日 | ⇒ニュース走査

   共同通信Web版(24日付)によると、中国政府は新型コロナウイルスの感染で23日に新たに150人が死亡し、中国全体で死者は計2592人になったと発表した。感染者も新たに409人増え全体で計7万7150人となった。中国メディアの報道によると、WHOによる調査チームが23日までの2日間、湖北省武漢市を訪れ、現地の病院のほか、体育施設に設置された「野戦病院」方式の臨時病院などを視察したという。

   さらに、きょう24日午前中から北京で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が開かれ、日程などについて審議している。全人代は来月5日から始まる予定だったが延期を正式に決める模様だ。こうなれば、4月上旬で日程調整が進めている習近平国家主席の国賓来日も延期が不可避となるだろう。一連の政治日程の延期が正式に決まれば、コロナウイルスが中国経済だけでなく、いよいよ政治にも打撃を与えたと世界のメディアは喧伝するだろう。

   その次にくる中国の動きは、政治リーダーである習氏の責任問題ではないだろうか。2018年3月の全人代では、国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択している。習氏は2期目が終わる2023年以降も続投できるようになっている。自分で決めた規制の撤廃なので、踏ん張って続投しなければならない。政治的には盤石さを増したかもしれないが、それが裏目に出ているのが現状だ。

   逃亡犯条例改定案をめぐって学生や民主派が台頭した香港。2019年11月に実施された区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超える圧勝だった。ことし1月11日の台湾の総統選挙は現職で与党、民進党の蔡英文氏が最大野党の候補者に圧勝した。台湾の民意は、中国との統一を拒否する蔡氏に大きく傾いた。そして今回の新型コロナウイルス問題である。2500人を上回る死亡者を出している。この逆風続きで問われているのは政治的なリーダーシップではないだろうか。

   リーダーがカリスマであればあるほど、いったん逆風が吹きだすと民意も荒れる。踏ん張らざるを得ない習氏にとって、任期撤廃は薬なのか、毒なのか。

⇒24日(月・振休)午前・金沢の天気    はれ


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