好奇心旺盛なおばさんのワクワク日記

勉学優先のセン業主婦!
遠くに見える富士山を眺めつつ、ワクワクしながら学習などにいそしむ日々を書き綴っています

文選読み

2017-11-28 12:06:23 | 漢文・漢字
 ある辞書の引用文を見ていて、これは文選読みをするんだろうなぁ~、と思われる個所がありました。
 「〇〇ト」と漢字2字の後を助詞で受けて、そのあとに漢字2字の訓読みが書かれています。

 遥か昔、漢文の読み方に1つの語を音読み・訓読みと二度読みする「文選読み」という読み方がある、と何かの参考書で読んだ記憶がありました。ですが、文献では見たことは無かったような気がします。
 引用箇所がどう書かれているのかを図書館へ確認に行ったのですが、残念ながらそこにあったのは辞書に載っていた通りの表記で、「ト」と「訓読み」が添え書きされているだけでした。

 凡例から抜粋すると、「原文には訓點のない部分で、築島が補読した部分は、(シ)(ヲ)の如く( )に包み片假名で表す。」更に「原文の假名は、必ず、その假名の附された漢字に添へて訓下すこととした。」とあります。
 残念ながら原文の読みも築島先生の補読も附されていませんでした。

 文選読みをする場合、音読みの後を「ト」で受けるのかどうかがわからず、手持ちの漢文の参考書を調べたのですが、載っていませんでした。
 何かで読んだ記憶はあったので、手がかりを探すべくネットで検索したところ1つの論文がヒットしました。なんと『国語学』に掲載された小林芳規氏の「漢文訓読史研究の一試論」です。
 早速読んでみたところ、該当箇所が文選読みの用例として挙げられていました。
 「絶対量としては永久点の文選読は減少している」と書かれており、2例挙げられていました。貴重な例の1つだったようです。

 更に文選読みについて詳しく解説した本が無いか国会図書館のOPACで検索したところ佐藤喜代治編『漢字講座3 漢字と日本語』(明治書院)があることが分かりました。
 「文選読み」(中村宗彦)と題して20ページほどにわたり詳細に書かれていました。
 
 (1) 本来の文選読み (2) 広義の文選読み (3) 最広義の文選読み と整理して書かれていますが、最初の(1)に以下のようにありました。カッコ内は振り仮名です。

 (1) 本来の文選読み-- 音訓複読法の(一)(『文選』に代表される読法)
 ① 音読・ノ・和訓 [例] 雎鳩(ショキウ)ノミサゴ (連体修飾語・名詞)
 ② 音読・ト・和訓 [例] 関々(クワンクワン)トヤハラギナク (連用修飾語・用言)


 これで、調べていた用例が、紛れもなく文選読みするもの、と主張する裏付けが取れました
 ただ、そうなると気になるのが辞書の書き方です。文選読みをする箇所はこの1例のみのようですが、この例を取り上げるからには、音読みのルビも付記しておいたほうが親切ではないのでしょうか?

 このような事例にぶつかるとブログを書いていて良かったぁ~、とつくづく思います。
 時間がたつにつれ何をどう調べたのか、時には調べたことさえもすっかり忘れていることがあります。時々過去ログを読み直すことで忘れていた記憶を取り戻すことができて非常に有り難いです。

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「索引」の有難さを実感!

2017-11-27 17:13:37 | 参考文献
 先々週、図書館の地下に行き、築島 裕著『興福寺本大慈恩寺三蔵法師伝古点の国語学的研究』で調べ物をしました。前もって所蔵の確認をし、「索引篇」があることも確認して行き、本当に良かったと思いました。
 何巻を見ればいいのかは分かっていましたが、総索引が無ければ巻頭から順次見ていくしかなく大変な時間が必要になる所でした。この総索引のおかげで難なく該当箇所を見つける事ができ、早々に帰宅出来ました。

 先日何かの本を読んでいた時、参考文献として築島先生の著『古代日本語発掘』が挙げられており、図書館から借りてみました。この本に、「10 ついに完成した古点本の解読」(p159)として索引作成の際の様子が詳細に記されていたのです。
 
 要約しますと、一往の訳文を作り畢えるのに2ヶ年、総索引を大体完成するのに7年。体言・用言など所謂自立語だけで約六万5千語位あり、簡単にできる仕事ではない、この総索引に着手するまでには相当の決心を要した、とあります。

 手順としては、西洋紙を切ってカードを作り、単語と、点の種類(6種)と巻数・原文の行数をゴム印で示し、そのカードは5万を超え、縦30糎、横20糎程の木箱が14箱になったとあります。そして1度取ったカードの再点検。
 そしてそのカードの分類。50音順の配列に並べる際に困惑する事態になったことも事細かに記されています。

 このような大部な本に限らず、索引があったら便利なのに、と思う本にたびたび出合います。
 築島先生が総索引を作成されたのは、訳文を作り終え、国語学的な考察を試みる段階になってそれを徹底的にするために必要となった(要約)、と記されていますが、本文篇を調べるものにとっても無くてはならない貴重なものです。

 この『古代日本語発掘』を読み、索引作成時のご苦労を知り、改めて「総索引」の有難さを実感した次第です。

 
 

 
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新米到来!

2017-11-26 14:46:33 | 日記
 今年も家人の実家から新米がどっさり届きました。
 「この米、やっぱり美味しいな!」とは主人の弁。

 日々作業に追いかけられ夕飯の支度時間になってからやっと重い腰を上げ、間に合わなくなるので、お米を洗って直に炊く、なんてことをしばしばしていました。
 吸水時間が足りないと美味しく炊けないことは重々承知のうえで・・・

 今年になって、家人がテレビを見ていてそのことに気づいたらしく、「吸水時間って必要だってよ、いつも洗ってすぐに炊いてるだろ?」
 気づかれてしまっては仕方がない・・・
 息子の要望で夕飯時間も1時間遅くするようにしたので、時間に余裕が出来たこともあって最近は早めに洗米し炊くように心がけています。
 
 同じ田んぼで同じ品種の米を育てても作り手によって味が変わる、と聞いています。義兄の亡き後、甥っ子が跡を継いで米作りをしており、最近は義兄の米と変わらなくなってきました。
 美味しくいただかなくては、頑張っている甥っ子に申し訳ない!

 
 
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顛倒符「乙」を実見!

2017-11-22 11:25:31 | 漢文・漢字
 その機会は意外と早く訪れました。
 中村不折旧蔵の「法句譬喩経巻第三」が、2013年1月にトーハクで開催された特別展「書聖 王羲之」に展示されていたのです。

 現在は台東区立書道博物館蔵となっており、多くの王羲之の書(真跡はなし)とともに貸し出され展示されていたのです。記憶が定かではないのですが、この「法句譬喩経巻第三」が展示されているとは知らずに行って「おおっ~」と感嘆の声を発したように思います。

 以下の画像は、「書聖 王羲之」図録のものです。


重要文化財 「法句譬喩経巻第三」(漢魏時代)
 奥書に甘露元年(359)の年号を有する

 奥書きの甘露元年を(359)と記していますが、『敦煌学大辞典』(上海辞書出版社 1998年)によりますと、256年説・265年説があるようです。学会では多く359年と認定しているようです。

 この図録にある他の書もじっくり見たところ、明代の書にも顛倒符が掛かれていました。更にその後、「なんでも〇〇団」で出品された書にも顛倒符が書かれているのを見ました。鑑定結果は明治時代だったと思うのですが、著名人の書だとされたようでした。誰の書といったのか記憶になく、後で出品リストを調べてみたのですが、分かりませんでした。
 意外と書道界では一般的に使用されているのか・・・?

 
 書道博物館へ行ってみたいと思いつつ、もう何年過ぎたことか・・・
 今からでも行こうと思えば夕方には帰ってこられるのに、なんと腰の重い事!  


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顛倒符「乙」

2017-11-20 23:55:50 | 学習
 下の記事の続きです。

===
 敦煌出土の最古の写本といわれる「法句譬喩経巻第三」で顛倒符「乙」の確認が出来ました。

 以下の画像は『中村不折旧蔵禹域墨書集成』によるものです。
 番号が同じものは同一文書です。
 ( )内の時代は巻末の収録図版目録に記されているものです。



1. 重要文化財 「法句譬喩経巻第三」(漢魏時代)
 奥書に甘露元年(359)の年号を有する。



2.「羯磨経」(両晋時代) 



2.「羯磨経」(両晋時代)



2.「羯磨経」(両晋時代)



2.「羯磨経」(両晋時代)



3.「妙法蓮華経」(両晋時代)



3.「妙法蓮華経」(両晋時代)



4.重要文化財「捜神記」唐句道興撰



4.重要文化財「捜神記」唐句道興撰


1.の「法句譬喩経巻第三」や 3.の「妙法蓮華経」は確実に「乙」字ですが、4.の「捜神記」では「レ」点と言えそうなくらいです。

これらの資料から、甘露元年(359)のころから既に「乙」が使用されていたと考えていいのかどうか?   
まだまだ初めの一歩の段階であって、課題はたくさんありそうです。 
===

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筆を取りて上に挑す

2017-11-20 23:48:11 | 学習
 以下の記事は、2010年12月に書いたもので、「下書き」として残っていました。あれからもう7年、本当に時間の経つのが早いです。
 先生がお好きな話なのだということで、今回の講座でも又伺いました。折角頑張って書いたものなので、アップしておきたいと思います。

===
先日習った『捜神記』巻三で、寿命十九歳と書かれている文書に筆を入れて九十歳にする、というくだり。
どのように筆を入れたのか気になって仕方がなかった。

原文は「取筆挑上」となっている。

先生の「上にかえって読むと九十・・・」という話を聞きながら、テキストの「十九」の「十」の下に「レ点」を何も考えずに書きいれた。
しばらくしてから、ふと気がついた!

日本の漢文訓読では返り点を施すけれど、中国では文章は書かれている通りに上から下に読むわけだから、訓読の符号など有るわけがない!
それでは「筆を取りて上に挑す」というのは、具体的にどのようにしたのか? 
疑問が一度湧いてきたら気になって仕方がない!

ちょうど「ヲコト点」や「訓点」について調べていたので手元にある本を手当たり次第当たって見た。
犬も歩けば・・・ とは言うけれど、行動に移すと意外な手掛かりを得られるものだ。
『文字と古代日本1 支配と文字』(p358)に木簡の書き損じを訂正した方法が書かれていた。

[以下、抜粋]
「越前国江沼郡・・・」と書くべきところ誤って「越前国郡江沼・・・」と書いてしまい、これに気付いた木簡の筆者は、「沼」の右傍に転倒符を書き入れ「江沼郡」と読ませようとしたものである。


越前国の荷札木簡とは。なんとわが故郷のことではないか!
縁は異なもの! 

で、又また調べてみると、「倒文」と言う言葉に行きついた。

倒文:原文の語句の文字の順序が転倒させられた誤り。線を入れて顛倒を訂正することを昔は「乙」と言ったので、「乙文」あるいは「倒乙」とも言う。

『漢語大詞典』を見ると、唐の韓愈の著書にこの「乙」の使用例があると分かった。
唐代に使用されていたことは分かっても、実際の書き込みを見ることはまず無理でしょうねぇ~~~

漢籍目録で調べて鈔本の影印をあたって確認はできないものかと先生に伺ったところ、実物を見ることは難しいかもしれませんね、とのこと。
「書誌学」の分野になるようで、ご専門外のことばかり伺って申し訳ないことです。
「書誌学」だったら昨年授業を受けていたから担当の先生に伺えたのに残念!

素人がすることだから、とてつもなく廻り道をしているんだろうなぁ~。 
でも、ここまでわかったんだから実物見たいよねぇ~~~ 

これでも諦めずに探し続けるのが私のいいところ! というかしつこいところ? 
窮すれば通ず! 
あるブログを読んでいて目に飛び込んで来たのが「敦煌写本」!

これだ! 
敦煌から出土した古い写本だったら見られるかもしれない!

又またネットサーフィン!
そしてこれまたビックリ、『勾道興撰捜神記』についての論文を見つけた!
敦煌から出た写本で重要文化財に指定されており、『中村不折旧蔵禹域墨書集成』に実寸大のカラー写真が載っているとのこと。

おまけに文字の修正が施されて、「貼り紙」「削り上書き」「上書き」などの方法が取られているとのこと。
「乙」があるかどうかはわからないけれど文字の修正が見られるし、ともかく『捜神記』だし、この本を見たい! 

M大の図書館にあることがわかった!
普段はお尻が重く出不精なのにこういう時は敏捷になるんですねぇ~ 

もちろんM大に行って確かめて来た!
画像の準備に時間を少し戴こう!
===

 追記:倒文についての条は、『校勘学講義 中国古典文献の読み方』p216から引用
 

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第27回 神保町ブックフェスティバルへ

2017-11-04 11:45:02 | 日記
 昨日、親子3代・女3人で行ってきました。下の孫ももうパレードについて歩く歳ではなくなったので、到着早々にお目当てのワゴンの方に向かいました。
 毎年、パレードのスタート地点に陣取っていたので気づかなかったのですが、各出版社のワゴンの前にはすでにお目当ての書籍を何冊も抱えた人たちが販売が開始されるのを待っていました。

 スズラン通りを奥のほうへと歩きながら、各ワゴンを物色していきましたが、すでにいつも立ち寄る何社かの出版社の前には本を抱えた人たちが一杯! どうやら遅きに失したようです。
 出ていたら欲しいな、と思っていた『古語大鑑』を見つけたのですが、価格が・・・ 
 これでも半値なんですよ、と言われましたが1巻だけだし、初日とあって値引きしてくれそうにもないのであきらめて・・・

 最も人垣が大きかったのは、汲古書院のワゴンだったかもしれません。 歩道には書籍が入ったたくさんのケースが積まれ、ワゴン回り同様にケースの周りには漢籍の研究書を抱えた人もウロウロ。
 汲古書院の隣の隣には、ワゴンが未だ空の笠間書院。その周りにも人が・・・・
 娘にここにいるからパレードが見やすいところに行ってて、と声を掛け、私はワゴンの横に張り付きました。

 パレードが行き過ぎたのを待って、ワゴンは車道側に出され販売もようやく開始されました。笠間書院のワゴンにも段ボール箱から次々と本が出され並べられていきますが、四方八方から長い手が伸びタイトルも読み取れないうちに、あっという間に無くなってしまいます。
 状況を察してくださったのか、係の方が本を出す際、私の方にタイトルを見せながらワゴンにおいてくださるようになりました。ようやく自分が欲しいと思う本を手にする事が出来、4冊(下の写真の右側)買う事ができました。

 

 このあと、汲古書院で『古語大鑑』の編者でもある築島先生の著書を1冊買い、今回は以下の5冊の本を入手しました。 もう少し体力が残っていれば、他のワゴンも見たかったのですが、持ち帰るのはこれで限界と思い諦めました。

 
 『風土記の表現 記録から文学へ』 神田典城(かんだ・のりしろ)編 H21.7.31
 『詩靈論 人はなぜ詩に感動するのか』 辰巳正明(たつみ・まさあき)著 2004.3.31
 『奈良・平安朝漢詩文と中国文学』 波戸岡旭(はとおか・あきら)著 2016.3.31
 『古代の歌と叙事文芸史』 居駒永幸(いこま・ながゆき)著 H15.3.31
 『築島裕著作集 第一巻 訓點本論考拾遺』 築島裕(つきしま・ひろし)著 H26.4.11
 
 このなかで最も感動的な本が『風土記の表現』!! タイトルをちらっと見て、今風土記を習っているからというだけで、内容はおろか目次も確かめられないまま買ったのですが、今まさに風土記に関して調査している項目が、この本の巻末に資料として載せられていたのには驚きました。

 求めよ、さらば与えられん!! 
 読書の秋、存分に楽しめそうです。

 
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間違えやすい漢字?

2017-11-03 23:16:33 | 漢文・漢字
 ある方のTwitterに「誤字発見」とあるのが目に留まりました。「疆」であるべきところが「彊」となっていたとのこと。
 この記事で思い出したのが、何年か前に見た科挙の答案。殿試において第一甲第一名進士に合格した答案で、8人の読巻官全員が満点をつけていたのですが、展示されていた答案にたった1か所付箋が貼られており、誤字とされているのが「疆」でした。
 素晴らしい達筆の答案で感動したことを覚えていますが、殿試を受ける程の優秀な人でも書き間違えることがあるんですね。

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対局観戦

2017-11-02 11:05:48 | 将棋
 今日は木曜ですが、漢文講座がお休みでラッキーです!! 
 最近、聡太君の対局は木曜が多くて、帰宅後にしか生放送が見られなくて残念だったのですが、今日は思う存分応援ができます。

 持ち時間が6時間ということで長丁場で応援するほうも大変ですが、AbemaTVの解説を聞きながら、ニコ生に表示されるponanzaの予想手・評価を見る、という方法で楽しみながら応援しています。
 対局相手の「負けました」という場面を楽しみに今日は終日PCの前、って殆ど毎日PCの前にいますが。

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