goo blog サービス終了のお知らせ 
不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

横浜開国博巨大クモ

2009-04-19 | days

午後2時半すぎ、携帯より更新
コメント

『恋文の技術』森見登美彦

2009-04-18 | books

「恋文の技術」森見登美彦 ポプラ社 2009年 (初出はasta* 2006年~2008年)

いきなりの引用許されたし。

 俺なりに考えるに、まず君がやることは意思を強固に固めて、第一歩を踏み出すことだ。意思の力を強めるにはどうすればよいか 吉田神社に願をかけるのだ。
吉田神社は縁起が悪いと君は言うだろう。確かにあの神社は、合格を祈願する者は大学に「落ちる」、単位取得を祈願する者は単位を「落とす」ことで名高い。しかし考えてみたまえ。恋愛問題に関するかぎりはそれがイイのだ。なんとなれば恋というものは、自分は「落ちる」ものであり、相手を「落とす」ものなのだからだ。清水の地主神社とか、嵐山の野宮神社よりも霊験あらたかに違いない。何か好きなものを断ち、恋愛成就を祈るがよい。
 俺がいいかげんな洒落で君の悩みをごまかそうとしていると思うか?
 ごまかしているのである。(12頁より引用)



初っ端からこんな感じである。モリミーにノックアウトされた。

なんとも不可思議な世界観、独特のふざけた文体。万城目学と並ぶ平成奇書メイカーの森見登美彦の新作は全編手紙で構成されている。手紙だけの小説は特に珍しいわけではないが、やりとり、手紙の宛先などやはり変だ。

クラゲの研究で京都の大学の修士課程に進むと教授から修行してこいと能登半島に飛ばされる、守田一郎。①守田が同じ研究室の小松崎に出す手紙群 ②研究室に君臨する女王大塚さんへの手紙群 ③守田がかつて家庭教師をしていた小学生間宮への手紙群 ④大学の先輩、小説家森見登美彦にあてた手紙群 ⑤ 妹に宛てた手紙群 で基本的に成る。

いやいやいや~ まいったまいった。私の好みのど真ん中ストレート154キロ。非常にふざけた手紙を友人たちに書いている守田。しかも同じ時期に別の人に宛てた手紙が後で出てくるので、出来事を反芻しながら2度3度楽しめる。守田のすっとこどっこぶりが一番の読みどころだが、それに加えて森見登美彦の書く変な文章。文語が混じったりして何ともいえずたまらない。受け付けない人にはこれほど意味不明で理解不能な時間の無駄遣いな小説もないだろうが、受け入れられる人にはこれほど馬鹿馬鹿しいことをこれほど馬鹿馬鹿しい方法で、じわじわと責められれば感極まって目からは水分が口からは歓喜の雄叫びが出てこざるを得ない。

小松崎はマリという人を好きなのだが、そのマリは間宮少年の家庭教師になる。で、そのマリはおっぱいが大きくて・・・ しつこく延々と続くおっぱいの考察というような話や、守田は伊吹さんに片思いしていてその片思い具合が尋常ではなく、恋文を書きたいのになかなか上手く書けない。あるいは大塚女王のいじめ、森見ファンの女性たちで作った大日本乙女會・・・ 今思い出しても笑える。

あらためてまとめると、A対Bの書簡ではなく、A→BとA→CとA→Dという一方的に守田が書いた文章を読むだけで、登場人物たちがどんな人間なのかいったいその間に何が起こったのか分かるという稀有なストーリー・テリングの技術を駆使して手紙文学の頂点にまで登り詰めてしまった。と言ったら言い過ぎだろうか。あるいは変愛小説の極北であるとも。一体全体最後をどうまとめるのかと心配していたら、そう来たかとさすがモリミーだと膝を打った。




恋文の技術
森見 登美彦
ポプラ社

このアイテムの詳細を見る




コメント (6)

金曜ドラマ『スマイル』

2009-04-17 | film, drama and TV

松本潤はフィリピン日本のハーフ。和菓子屋か給食を作る会社松村フーズで優しい前田吟といしだあゆみの下で働く。本屋にいたら女子高生新垣結衣が本(ライ麦ばたけでつかまえて)を万引きして捕まる。しかし松本が拾った財布で彼女は金を払う意思があったと判明。新垣はそれから松本が気に入ったのか付きまとい、ついには町村フーズで働くことに。松本(役名:早川ビト)は夜はバーでバイト。夢は多国籍料理屋をはじめること。いじわるなバイトの先輩がロッカーの鍵を貸せと言う。ドラッグの保管の道具にさせられたようだ。店に警察が踏み込み彼は逮捕されてしまう・・・

前半は悪くない。どころかかなり良かった。しかし後半失速した。冒頭にビトが刑務所にいて弁護士中井貴一の接見を受けるシーンがある。そこで刑が確定してもう5年経ったという台詞があるので、例のドラッグの件で懲役をくらったことが最初から分かる。つまりバイトの先輩がロッカーの鍵を貸せと言った瞬間 → どう見てもクスリの取引に使うとしか見えない → 逃げようとするけど → 逮捕されることも分かってしまう

ので、後半は先が見えてしまって、しかもその期待を何ら上回らない展開だった。実にダレた。実質35分ほどのドラマだった。

松本潤はバタくさいクドい顔をした青年という印象しかなかったが、今回は日焼けしてプチ貧乏キャラになっているので、今までの中では最も好感が持てる。ガッキーは失語症になっているのだが、後半彼女が身振り手振りでブタの事を説明していたのはちょっとかわいかった。ややこしくてよく分からなかったのだが、ビトはかつて不良の仲間に入っていてそこで超悪い小栗旬と関わりがあったらしい。暴れる小栗旬の姿はちょっと見飽きた。それとドラッグについてはグラビア・アイドルが所持で逮捕されるのだが、それって小向美奈子のことをそのまま描いている無駄にタイムリーなドラマだった。裁判員制度も今後取り入れていくらしく、その無駄さ加減が今後加速してゆく事が容易に想像できる。

ドラマとしては「社会派エンターテイメント」とか「人は笑顔でどこまで困難を乗越えられるのか?」ということがテーマだそうだ。ビトは刑事や先輩に「このフィリピン野郎が!」と罵られる。私の知る限り、「フィリピン野郎」とか「中国野郎」とか「マハラジャ野郎」などという雑言はきいたことがない。アメリカや南米で混血の子のことを蔑視する呼び方はあるが現代日本で朝鮮学校をチョン校と呼んだり(私が子供の頃はそう呼んだものだからチョン校とは血なまぐさい関係にあった)バカでもチョンでもを、チョンが何を意味してるか意識しながら言ったり、アメ公と言ったり、そんな言い方をするやつはいないだろう。

つまり社会派と名乗るなら少しリアリティを何とかしたほうが良いと思う。人種とか混血、差別など日本の底に流れる差別意識はこのドラマで描かれるような表層に出現するものではなく、無意識の底だったり、あるいは陰湿な沼に隠れているのだ。

また笑顔で困難を乗り切れるかどうかだが、既に逮捕されてしまったのでどこで笑顔がconquer allするのかよく分からない。既に乗り切れないことが判明したように思うが。

嫌な人たちが表面で嫌なことをするのがよく見える。頑張っている人が表面で頑張っているのがよく見える。そんな風に見せないと視聴者には分かってもらえないと、製作側が思っているとすれば、そんな視聴者を育てたのは自分たちであるとマスメディアが責任を感じること、さらにはそんな見せられ方をされても面白くもなんともないと思う視聴者がどんどんとテレビから離れているという現実とどう向き合っていくのかということ。この2点を製作している者たちに問いたい。

コメント (2)

天海祐希のドラマBOSS

2009-04-17 | film, drama and TV

天海祐希は日本から飛ばされてアメリカに行っていたキャリア警察官、警部。警視庁の刑事部捜査一課に特別犯罪対策室が新設され、ここのBOSSとなるのが彼女。有能な刑事が集結したと見せかけて、実際は左遷された温水洋一(オトシの山さん)、ゲイ?のケンドーコバヤシ、科捜研を追いやられた引きこもり風の戸田恵梨香などB級刑事ばかり。

どっからどう見ても「相棒」のパクリもしくは「相棒」にインスパイアーされた刑事ドラマである。追いやられた人たちが活躍するところや、警視庁の別館のお仕置き部屋で仕事をするところとか、刑事部の上司たちには仕事しなくていいと思われているところとか。しかし相棒とは全く違う見所は多い。キャラの破天荒な設定が面白いのだ。オトシの山さんは容疑者の自白をさせる名人なのではなく、警視庁一のうっかりもの、落とし物をする山さんだったり、戸田恵梨香は桜田門の駅から警視庁までタクシーの乗るとか(歩いた方が早いだろうが)参事官補佐の竹之内豊の能天気かつ自分本位のキャラとか。

ストーリーそのものは置いておいても、キャラがいいので(主役の天海のキャラはむしろそれほど立っていない)、すぐに観るのをやめようかと思ったけど最後まで観てしまった。

肝心のストーリーも悪くない。連続殺人事件は上半身が焼け焦げている。容疑者は武田鉄矢。化学工場勤務で、工場の融資を断った銀行などを恨んでその仕返しをしている(ネタは再放送で観る人のことを考えて書かない)容疑者は早く分かってしまうので、後はどうやって彼に自白をさせるか。彼が最後の犯行として殺害をしようとしているのを止められるかも知れない。ここが今回の最大の見せ場。どうやって彼から情報を得るのだろうと期待しながら観ていた。天海が武田の腕時計を持って取り調べ室に入ってきた。私は「この時計をす○○ておいて時間を」という作戦かな?と思ったら、その通りだった。

うーむ。他が悪くなかったのでこのストーリーの肝が分かってしまったのは痛かった。

科捜研の白衣の美女が吉瀬美智子であるというよくあるパターンとか玉山鉄二と竹之内そろってヒゲを生やしているのはキャラがかぶるなあとか戸田恵梨香のメガネは悪くないなあとか爆発シーンのCGはリアルから程遠い80年代コンピュータグラフィックだったなあとか思うことはあった。

結局来週以降は録画まではしないが、ちょうど家にいたら観るだろう。(初回は帰宅が遅いことが分かっていたので録画して23時ごろから観はじめた)




※余談

辞任した漢検の理事長、ふてぶてしくて悪人にしか見えない。もうちょっと痩せるとか、おどおどする演技をすればまだ見る方の見方も変わると思うんだけど。




コメント

『アイシテル 海容』暗いドラマ

2009-04-16 | film, drama and TV

稲森いずみの無口で無愛想な5年生の息子。私立の小学校に行き塾にも通うので稲森はファミレスでパート。夫は山本太郎。仕事を言い訳にして子供と遊ばない。被害者の小学校二年生の男の子。かわいらしく、母親の板谷由夏は息子にべったり。父親は佐野史郎。

と、息子の教育に頑張りすぎている稲森いずみと息子を愛することに頑張りすぎている板谷由夏が対比されている。

それをふまえて、板谷息子が帰宅すると鍵が開いてなくて家に入れない。そこへ稲森息子が通りかかる →(この間何が起こったかは不明)→ 板谷息子行方不明 → 遺体で発見 → マスコミが被害者宅にむらがる → 稲森マンションの管理人が被害者がエレベーターの監視カメラに映っているのを発見 → 通報 → 息子は証拠が家にあると自白 → 血に染まったジャケットを発見

というような展開。すぐにテレビの電源を消すつもりがあっと言う間に20分が経過していた。すごく魅せるというわけでもないのになぜか観てしまう。

小学生の息子が殺人事件の加害者になった家庭と、小学生の息子が殺人事件の被害者になった家庭をそれぞれコントラストを強めながら描いていく作品のようだ。

息子が容疑者と判明した後、父山本太郎は母稲森を「おまえのせいだ」と責める。その後に「おれ、会社くびになっちゃうかなー」と放った一言に驚いた。今それが大事か?と。しかし、もしかすると「他の人が大切だと思うこと」より「自分の身に関わること」の方がずっと大切であると思う人はこの世に多いのだろうなとも想像する。確かに周りを見渡せばちらほらと散見する。自分もそんな失言を口から出していたかも知れず、ヒヤッとした。

ドラマそのものはある程度今後の展開に予想がついてしまうが、それを上回るようなどんでん返しを期待するのではなく、この異様に暗いストーリー、役者たちの演技、カメラワーク、これら全体の暗い暗い雰囲気を楽しむために来週もまた観るかも知れない。


※余談

女優ウォッチャーとして言わせていただければ、稲森いずみと板谷由夏はそれぞれ昔ほどキレイではなくなってしまった。ファミレスのミニスカ姿の稲森さんがちょっと痛々しかった。板谷さんはニュースのキャスターをしたり賢いキレイな雰囲気を持った女優さんというイメージだったのが、今回の役ではそんな雰囲気が吹き飛んでいた。二人とも役にフィットしているため、役作りを進めたらたまたま女優ウォッチャーの好みに合わなくなったとしておこう。家庭裁判所から送られて来たらしい田中美佐子が少しだけ出てきたが、こちらは正しいおばさん道を行っていた。デジタル放送開始とともに女優はただキレイを追求しても難しく、自らのポジションを色々と探っていかないといけない商売だ。また、男性から見て美しい・カワイイ・萌えるのと、女性から見て好感を持てる外見というのがかなりの確率で乖離しているというのもまたマーケティングを難しくする要素の一つである。と漢字と横文字を入れるとドラマのレビューがなんだか高尚に見えてくる。見えてくる。見えてくるよな?

あ、そうそう。板谷由夏がファミレスでお茶する友達って、電波少年的地球防衛軍のレッドではなかった?




コメント

マスクをしているのわ

2009-04-16 | poetic inspiration

マスクをしているの

  ほかのひとに くちびるを みられないため

マスクをしているの

  りっぷが ずれてるのを みられないため

マスクをしているの

  なにも たべられなくなるから

マスクをしているの

  あなたにだけ くちびるを みせたいから

マスクをしているの

  ずっと ずっと

マスクをしているの

  あなたにだけ くちびるを みせたいから


  




コメント

『疑心 隠蔽捜査3』今野敏

2009-04-15 | books

「疑心 隠蔽捜査3」今野敏 新潮社 2009年

「隠蔽捜査」「果断 隠蔽捜査2」に続く第三弾。アメリカの大統領来日を控え、キャリア警官の道を踏み外し大森署の署長となっている竜崎に方面警備本部の本部長にという辞令が。本来なら第二方面本部長の長谷川が就くべき職。竜崎の失脚を狙う者たちの陰謀か。アメリカから送り込まれてきたシークレットサービスは監視カメラの映像を見て羽田空港を閉鎖しろと強固に言い出す。

もう一つの軸は、竜崎の秘書代わりに送り込まれてきたキャリア女警官畠山。物事全ては論理で片付ける堅物の竜崎がなんと畠山に恋をしてしまう。その行方はどうなるか・・・

悪くない。悪くはない。軽くあっと言う間に読める。本来の今野敏作品らしい。しかしこの隠蔽捜査シリーズがずっと抱えている警察内部の隠蔽体質(あるいはそれに類するもの)が今回ストーリー内にない。登場人物だけ同じである。いつものを期待するとやや肩透かしをくらう。この手の警察ミステリに軽い読み物的エンターテイメントを期待するなら絶好の作品だし、重厚長大な物語を期待するなら佐々木譲の「警官の血」とか「暴雪圏」辺りがオススメ。そう言えば大沢有昌の新宿鮫シリーズはその後どうなったのだろうか?

疑心に話を戻して、畠山への思いについてにヒントに以下の禅の公案が出てきてこれが面白かった。


「昔、婆子あり、一庵主を供養して二十年を経たり、常に一人の二八女子をして飯を送りて給侍せしむ。一日女子をして主を抱かしめて曰く、正に恁麼(いんも)の時如何と。主曰く枯木寒巌に倚りて三冬暖気無し。女子婆に挙似す。婆曰く我れ二十年只箇の俗漢に供養せしかと。遂に噴出して庵を焼却す」
 昔、一人の老婆がおり、二十年にもわたり、一人の雲水の面倒をみていた。いつも、若い娘に食事の世話などさせていた。
 ある日、老婆はその娘を使って、雲水を試そうとした。
 娘は、雲水に抱きつき、こう尋ねたのだ。「どうです?どんな感じがしますか?」
 すると、雲水は、平然とこたえた。
 「枯れ木が凍り付いた岩に寄りかかったようなものです。真冬に暖気がないように、私には色情などまったくありません。だから、私は何も感じません」
 娘は、帰って老婆にありのままを伝える。
 すると、老婆は烈火のごとく怒り狂った。
 「私は、二十年もかけて、こんな俗物を育てていたのか」
 老婆は、たちまち雲水を追い出し、汚らわしいと言って、雲水が住んでいた庵を焼いてしまった。(256頁より引用)



若い女子に抱きつかれて平然としている方が正しいあり方ではないかと主人公竜崎は考えるのだが。




疑心―隠蔽捜査〈3〉
今野 敏
新潮社

このアイテムの詳細を見る




現在読みかけの本たち






コメント

ドラマ『白い春』

2009-04-14 | film, drama and TV
帰宅したらちょうどやっていたので生放送で観た。生放送という言葉の使い方がが間違ってる?

病気の妻紺野まひるとヤクザの阿部寛。足を洗おうと組長の命令に従って殺人。組長は800万を妻にくれるというので9年服役。出所すると妻は死去。ポニョの子、大橋のぞみがどうやら紺野が生んだ子らしく、パン屋の遠藤憲一と白石美帆に育てられている。

ヒロシ・アベと言えば「君は阿部寛のおしりを見たか」をいまだに検索して閲覧する人が多い尻の人気が高い役者である。この「白い尻」じゃなくて「白い春」は映画「自虐の詩」をどうしても連想してしまう。子供のいる・いないなど相違点は勿論あるけれど、意識して造ったのだろう。ヒロシの目のくまとか話し方が全く同じキャラにしか見えない。遠藤憲一の顔の怖さがこのドラマでどんな意味があるのかはまだ分からない。それと白石美帆の化粧(目の周り系)が濃いのが少し気になる。

ドラマそのものはすごく良くもなく悪くもない。録画してまで観ようとは思わない。ポニョっ子とヒロシのふれあいが今後描かれるのであろうがその予定調和な感じは「その予定調和な感じがむしろいい」という水戸黄門の域にまで達しないまま最終回を迎えると想像する。最近テレビを観る時間が急速に減っている。忙しいわけではない。廃人が忙しいわけがない。しかし意味もなくテレビの電源が入っているという時間がない。テレビとはニュースと深夜の一部のバラエティとスカパーのCNNとBBCとDVDを観るための機械と化してしまった。それだったらあんな馬鹿でかいプラズマテレビなんて要らないではないか。ばかもん。

先日とある知り合いが「花より男子は観たほうがいい。すごく面白い。再放送やってるから見なさい」とメールして来た。仕方ないので観たが、激しく後悔した。あのような代物が面白いというような感性は私の財布には入っていないらしい。ばかもん。




※余談

片山晋呉の快挙はみなの記憶に新しいだろう。しかし彼がテンガロンハットをずっとかぶり続けている謎が解けた。帽子を取ったら、実にうら寂しい落ち武者のような薄味の髪の毛が露出された。嗚呼。低めの身長と日焼けした顔、後ろ髪の長さと兼ね合わせて、もはや何人か分からなくなっていた。あえて言うなら種子島に上陸したポルトガル人に見えた。

私が読んでいた森見登美彦の「恋文の技術」を見て某が「恋文なんて書くんすか?」と言った。

実はアメリカの軍需産業が金を出して、北朝鮮に核風のモノを開発してるふりをさせていることはみな知っているだろうか。



コメント

逮捕する

2009-04-14 | days


私が逮捕された瞬間だ。

いや、ちがった。私は今こうして写真を撮っているんだった。


1.輪の中心には占い 警官で大人気

2.現行犯犯罪を激写 自転車泥棒の瞬間

3.すぐ目の前の女の子は実は男の子



コメント (2)

『キングの死』ジョン・ハート、ダメ男小説の傑作

2009-04-13 | days

「キングの死」ジョン・ハート 早川書房 2006年
THE KING OF LIES, John Hart 2006

「川は静かに流れ」という作品であちこちのブックレビューで5つ星の評価を受けたジョン・ハートのデビュー作。私も他の大勢と同じく「川は静かに流れ」をたっぷりと堪能したので、期待を大きくして読んだ。

原題は嘘の王である。「川は」では情が流れる様がなんとも言えなかったのだが、多少毛色は違う。冒頭から35ページ第3章が終わるまで、特に展開がスピーディというわけでもないのに言葉が詰まっている。この部分の最後が「妹にかわって泣いた」なぜ主人公ワークは妹に代わって泣いたのか。ここまで読んだだけで読む方が胸を熱くしてしまう。すごい書き手だ。これがデビュー作とは。

やり手の弁護士である父が遺体で発見された。ダメ弁護士である私は、精神的に不安定なところのある妹が犯人ではないかと疑う。妹をかばうために自分に嫌疑がかかるようにする。すると父親の遺言には自分に1500万ドル相続する権利があることが分かり、自分への嫌疑が濃厚なものになってしまう。この父親殺しの犯人は誰か、その動機は何なのか。金目当てで自分と夫婦関係を続けている妻、妹と同居している怪しい女、自分と長年不倫関係にあるバーバラという初恋の人、執念深い刑事、探偵・・・ パズルのピースは最後にカチッと音を立てて嵌る。

いやいや。ダメ男小説の傑作とはまさにこれ。日本でいうと(なぜ日本でいう必要がああるのか)志水辰夫の初期の小説群とか佐藤正午とか、日本でいわないと(なぜいわないんだよ)やはり重厚長大ダメ男小説の巨匠、ロバート・ゴダードを連想・彷彿とさせる。いや別に連想しなくてもいいし、彷彿とさせなくてもいい。すまん。無駄な言葉を重畳としてしまった。

読む人によって感情移入する対象が変わる作品ではないだろうか。主人公のダメ男ワークでもいいが、浮気されている妻バーバラでもいいし、薄幸な妹ジーンでもいい。私は個人的にワークに感情移入千代子だった。しまくらだった。いや、しまくりだった。

ひどく長い引用を以下にしてみる。



「あなたの子どもがほしかった。一緒に家庭を築きたかった」涙がひと粒こぼれ落ちたが、下まで届かぬうちにぬぐった。「わたしはせいっぱいあなたを愛してきた。十代のときからずっと。わたしたちほど愛し合ったカップルなんてそうはいないと思う。それでじゅうぶんだった。なのにあなたはわたしを捨てた。十年近くもつき合ったのに、未練もなにもなく。そしてあなたはバーバラと結婚した。死ぬほどつらかったけど、なんとか気持ちに折り合いをつけた。あなたをあきらめた。なのにまた、あなたは顔を出すようになった。月に一度か二度だったけど、それでもわたしはかまわなかった。あなたがまた戻ってきた、それだけで嬉しかった。あなたはわたしを利用しながらも、やっぱり愛してくれていた。やがてあなたのお父さんの行方がわからなくなった。あの晩、お母さんが亡くなった晩、あなたがあらわれた。あたしはせいいっぱい尽くした。心のささえになろうとした。あなたを第一に考え、苦しみを肩代わりしようとした。覚えてる?」
 わたしはどうにかヴァネッサの目を見て言った。「覚えてる」
「お父さんがいなくなって、ようやくあなたも自分を取り戻すと、わたしが恋に落ちた少年に戻ってくれると思った。そう願った。強くなってほしかったし、きっと強くなってくれると信じてた。だから待ったのよ。なのにあなたはふっつりと来なくなった。一年半ものあいだ、ひとことに連絡もなく、なんの意思表示もなかったから、またもやあなたを失う苦しみを一から味わうはめになった。一年半よ、ジャクソン!それでなんとか立ち直りかけたわ。なのに、ひどい人、先週になってあなたはまたあらわれた。しかも、あんな仕打ちをされながら、わたしはやっぱり信じてしまった。信じてなにが悪いの、と自分に問いかけた。あなただって感じたはずでしょ。十八ヶ月も会っていなかったのに、ふたりの情熱は昔と少しも変わってないと。まるで時などたっていないかのようだった。だけど時はたしかに経過したのよ。わたしはようやく立ち直り、前に進みはじめたところだった。わたしにはわたしの人生がある。思った以上の幸福感を満喫していた。至福とまでは言わないけど、一日一日を乗り切れるくらいにはなっていた。そしたらまたあなたがひょっこりあらわれ、わたしの心をかき乱した」
 わたしを見たその目に、もう涙はなかった。「そのことは許せないと思っている。だけど、おかげで学んだことがひとつある。不愉快で冷酷な教訓を肝に銘じたわ」
「頼む、もうやめてくれ」わたしは言ったが、ヴァネッサは容赦なく話をつづけ、言葉で私を刺し貫いた。
「あなたのなかには、どうしても手の届かない部分があるわ、ジャクソン。そこに壁があって、ふたりを隔てているの。壁は高くて分厚くて、ぶつかってもこっちが怪我をするだけ。その壁にはわたしたちの血の痕が残っている。もうそこにぶつかっていくのはいや。絶対に」(394から395頁より引用)




長い引用で恐縮である。私はどういうわけかこの箇所で大きく深いため息をついた。私自身がしてきたこと、私自身が傷つけた人、私自身が傷つけている人のことをどうしても思ってしまうからだ。その分、他の人よりもよりこの作品を楽しめたとも言えるし、より自分の魂がえぐられたとも言える。魂がえぐられるような作品に、残りの人生であとどのくらい出会えるのであろうか。

すまん、またキレイにまとめてしまって。







キングの死 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョン ハート
早川書房

このアイテムの詳細を見る

The King of Lies

St Martins Mass Market Paper

このアイテムの詳細を見る

コメント (2)

サラリーマンNEOシーズン4スタートしたけど

2009-04-12 | film, drama and TV
このブログのカテゴリーにサラリーマンNEOがあるほどのサラNEOマニアの一人なのである。しかしとても残念。ビックリするほど面白くない。演出者の変更か台本書きの変更でもあったのだろうか。シーズン1が一番面白くて段々と加速しながら面白くなくなっている。出張がつらいよだけが今後ほんの少しだけ微量の期待ができるか。以上見終わったばかりのかなりあっさりレビューでござった。
コメント

ミエルのベイクト・ドーナツを買う

2009-04-12 | days

巷ではどうやら話題らしい、でも我輩は知らなかった、焼きドーナツの店ミエル(miel) 羽田空港で売ってるのを見かけた。揚げてなくて焼いているのは旨そうなので買ってから旅先で食ったら、あまりにも旨くて目からハートマーク♡が飛び出た。

どうやら銀座プランタンの地下と松坂屋の裏の方の東銀座に本店があるらしい。先日、帰りにわざわざ銀座に寄って、このいつも行列しているとかいうミエルのドーナツを買いに行った。

しかしプランタンなんてほぼ用事がないので久しぶり。一階のアンジェリーナ(?)だっけ?あそこのモンブランはよく食べたけど。プランタン正面の横断歩道を渡っていると向かいからどっかで見たことのあるおっさんが。サマンサ・タバサの社長だった。周囲の誰も気がついていないのか、知っていても知らんふりなのか。先日もこの近くの三省堂書店にいたら岸辺一徳が本を選んでいた。同様に周りの誰もが気づいていない、もしくは無視。東京というのはどうやらそういう街らしい。ヴェトナム育ちのおらにはよぐわがんね。

で、プランタンに突入。うー 臭い臭い。デパートの一階はたいてい化粧品の臭いが充満していて鼻がストライキ起こしそうになるのだが、このプランタンは強烈だった。地下二階がスイート系の店。降りてみたら、客がほぼゼロ。月曜の夕方6時過ぎだったからか。エクレアも気になったがミエルの兄ちゃんのとこへ行った。羽田で見たのは、バラだと1週間日持ち、8個セットだと2,3日の日持ちだと言っていたので、バラで買おうと思ったら、「羽田店では特別に真空パックのをお出ししているので1週間持つのですが、ここと本店では2,3日しか持ちません」とのこと。こういうときに考える時間を使っても何ら建設的なこたえが出ないことを知っているので、「じゃあ8個セットのをくれ」







持って帰ってきて、開けたらこんな感じ。







出したらこんな感じ。







これはほんと旨いよ。揚げたドーナツの油っぽさが全然なくって、かと言ってベーグルほど堅くもなく、ふんわりとしてしっとり。一個当たりたぶん160円くらい(8個で1400円くらいだった)は高くないと思う。

しかしである。帰宅して「俺はこんなにいい土産を買ってきてやった」的な横柄な気分でいたら、





ぎょ。あの行列必至のはらドーナツがあった。







さらに追い討ちをかけるようにこんなものテーブルの上にあった。







ゆえに、現状は、










今日の教訓





ドーナツに
ドーナッってんだと
叫ぶサッカー界の至宝
マラドーナッ


コメント (4)

奇跡の猫

2009-04-11 | travel


太宰府天満宮と九州国立博物館のすぐ間で発見。

実に不可思議な手の上げ方をしている。いや足か。



コメント

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』スティーグ・ラーソン

2009-04-10 | books

「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」(上下)スティーグ・ラーソン 早川 2008年

The Girl With The Dragon Tatoo, Stieg Larsson 2005

舞台はスウェーデン。雑誌「ミレニアム」の発行責任者のミカエルは財界の大物ヴェンネルストレムのスキャンダルを入手し記事にするが名誉毀損で訴えられそのまま有罪となる。ミカエルらしくない。なぜ?財閥の元会長ヘンリック・ヴェンゲルは40年前に行方不明となった親戚ハリエットをまだ執念深く探している。調査会社のフリーのリサーチャー、リスベット・サランデルによるとその謎を解くのにミカエルは最適との答が。ミカエルに謎を解いてもらう代わりに、ヴェンネルストレムを本当に有罪に出来る証拠を提出するとのオファーを出す。

40年前の孤島(密室殺人)、ハリエットの残した暗号、スウェーデンの風俗、企業、謎は小さなものから大きなものまで。読む者を飽きさせない。

いやいやいや。凄腕の調査員のリスベット・サランデルの人物造形。近年ミステリ作品の中でも一番「立っている」キャラクターだ。彼女の一挙手一投足を読めただけでも価値があった。

一部から四部までそれぞれの冒頭に「スウェーデンでは、女性の十三パーセントが、性的パートナー以外の人物から深刻な性的暴行を受けた経験を有する」「スウェーデンでは、性的暴行を受けた女性のうち九十二パーセントが、警察に被害届を出していない」とある。読んでいると必ずしもこの本が何をメインテーマにしているのか見失ってしまうが、ここを読んでそうだそうだと思い出す。しかし性的暴行がどうテーマになるのか最終着地点を読むとあまりにもおぞましい。またこの女性を弱者と読み替えるとまた違った味わいが出てくる。

密室殺人の解決の仕方やサイコスリラー的な解決プロセスはミステリとして普通と言えるだろうが、それにプラスして舞台のスウェーデンの空気、ナチズムの強い影響、話の展開の仕方が加わって、頁をめくる手が止まらない作品となった。

ベリーおぞましい+先が読めない+キャラ立ちまくり+企業ミステリ

バランスがいいので読み心地がすごく滑らかである。でも甘さに溺れていると後でチクッと刺される。

本書のハリエット失踪の謎よりも気になっていたのは、ミカエルの名誉毀損事件とリスベットの過去。ミカエルのような優秀な者がなぜあんな記事を書いたのか?それについてはきちんと着地する。リスベットは超無口、タトゥーをあちこちに、後見人がいて、暴力的で、超優秀。彼女のことが気になって仕方ない。間違いなく、惚れてしまったのだ。そんな彼女の過去は出たばかりの「ミレニアム2 火と戯れる女」で描かれるそうだ。私もすぐに読みたい。

作者のスティーグ・ラーソンはミレニアム三部作が出版される前に心筋梗塞で亡くなってしまった。四部の原稿が200頁ほどあるらしい。またスウェーデンで映画化された。言わば国民的小説なのでキャスティングについてわいわいと言われたそうだが、発表されたリスベット役の女性についておおむね好評のようである。左がミカエル、右がリスベット。






映画のtrailerを↓に。







本作の英訳題は「ドラゴン・タトゥーの女」だが、原題はMen Who Hate Women(女を憎む男たち)である。このタイトルとしていまひとつだがこの方が内容にはフィットする。まあ内容にフィットするよりも売れないといけないのだが。二作目は原題も英訳題も「火と遊ぶ女」三作目は原題が「爆発した空中楼閣」英訳題は「蜂の巣を蹴り飛ばした女」である。


追記:
「ミレニアム2」のレビュー
「ミレニアム3」のレビュー






ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上
スティーグ・ラーソン
早川書房

このアイテムの詳細を見る

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下
スティーグ・ラーソン
早川書房

このアイテムの詳細を見る

ミレニアム2 上 火と戯れる女
スティーグ・ラーソン
早川書房

このアイテムの詳細を見る

ミレニアム2 下 火と戯れる女
スティーグ・ラーソン
早川書房

このアイテムの詳細を見る





コメント

人生とは麻雀の一局

2009-04-09 | days

人生とは麻雀の一局のようなものである。

と作家海堂尊が雑誌ダ・ヴィンチで語っていた。この人の作品は「バチスタ」は面白く読んで、次の「ナイチンゲール」がいまひとつだったので以降読んでいない。まさかこんなに多作だとは驚く。そして未読の海堂作品がどんどん増えてゆく。流れに乗り損ねたので最新作「極北クレイマー」から乗ろうと思っている。

で、この麻雀に喩えたこの言葉、実に言い得て妙である。人生は、偶然が全く左右しない将棋や囲碁、チェスでもないし、かと言って完全に偶然が支配するルーレットや宝くじでもなく、他人任せの競馬競輪競艇でもない。偶然と実力の、先天と後天の配られ具合が実に麻雀と似ている。

生まれつき、デカイとか美しいとか金持ちに家に生まれたとか、足が速いとか、これは麻雀で言うところの配牌である。イカサマをしない限り、特に全自動の卓ならこの配牌は自分ではどうしようもない。ただ与えられるだけ。しかし、次にやって来た牌をどうするか、どれを捨てるか何の役を狙っていくのか、誰かが捨てた牌を食って(ポンやチーして)みるか、こっそりテンパイするか、上がれる可能性は高い多面待ちするか、あるいは単騎待ちするか、高い点数狙うか低い点数を確実に取りにいくか。全て人生と同じである。

そして、誰かが上がってしまった、あるいは自分が上がった。それで人生は終わりではなく、一旦リセットしてまた新しく始める。生きる一日を一局としてもいいし、何か事を成し遂げようとする事を一局と考えてもいい。海堂氏は人生全体=麻雀の一局とみなしていたのかも知れない。それでもいいし、人生の中で何度もその一局をこなすと考えてもいいだろう。

最近全然やらなくなってしまった麻雀。私はコンピュータゲームやビデオゲーム(死語?)はやらない。のでせめて麻雀ぐらいは復活させてみようか。などと思いつつ夜は更けてゆく。余は老けてゆく・・・




コメント