頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『風に立つ』柚月裕子

2024-03-06 | days
南部鉄器を作る工房で保護観察の少年を預かることにした。

いい話なのだけれど、「いい話をしようとしてる感じ」がずっとチラつく。それが「いい話風」になってる気がする。そう感じる私が歪んでいるのか。


 

今日の一曲

SUPER BEAVERで、「切望」



では、また。


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『アキレウスの背中』長浦京

2022-04-27 | days
マラソン大会が賭けの対象になり、巨額の金が動くようになる第一回大会が東京で開催されることになった。日本選手が脅迫され、警察が動き出した。スポーツメーカーが画期的シューズ、ウェアを披露しようとしてる。

設定、人物像、すごくいい。

しかし、ストーリーはすごくいいとは思えなかった。ある程度予想通りに進んでしまった。

スポーツメーカーの開発の仕方や警察の動き方はすごく面白かったけれど。

 

今日の一曲

Jimi Hendrixで、"Red House"



では、また。


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『夜と少女』ギョーム・ミュッソ

2021-12-02 | days
フランス、92年に美しい女子高生ヴィンカと教師が失踪した。駆け落ちしたと思われていた。そして2017年、後に作家になりニューヨークに住むトマが慌てて故郷に帰って来た。高校の体育館が建て替えになるからだ。それは・・・

途中でダレてしまって中断したのだけれど、我慢して後半に入ったら、真相が二転三転し面白くなった。○○だと思っていたことがどんどんと覆された。

 

今日の一曲

Vaundyで、「踊り子」



では、また。


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『黒と白のはざま』ロバート・ベイリー

2020-03-12 | days
46年前テネシーで黒人の父がKKKのメンバー10人に殺された。息子ボー・ヘインズは復讐を誓い、弁護士になった。KKKの指導者だったアンディ・ウォルトンが殺された。ボーはしょっちゅうアンディを殺すと言いふらしていた。ボーは逮捕され、ロースクールの教授だったトム・マクマートリーに弁護を依頼する。証拠はボーの有罪を示している。担当検事のヘレンは負けなし。絶体絶命の裁判は・・・

うおー!2020年ナンバーワンだ。

前作「ザ・プロフェッサー」もすごく面白かったが、それ以上かも知れない。解説を読んでいて、確かに前作は誰がやったかは分かっているのでミステリー的要素は少なかったけれど、本作にはミステリー要素は多い。ボーが殺したのでないなら誰がやったかなフーダニットと、ボーの父親は45年になぜ殺されたかのホワイダニット。それだけではなくさらにもう一層下にまだネタが沈んでいる。

勧善懲悪、スカッとする小説でもあるし、アメリカの暗い歴史を学ぶ小説でもある。次作のThe Last Trialはめちゃくちゃ面白いらしい。小学館さま、絶対翻訳出して下さい。お願い致します。

 
 

今日の一曲

PIZZICATO FIVEで、「陽の当たる大通り」



では、また。


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『終の盟約』楡周平

2020-03-10 | days
医者をしていた藤枝久が認知症になってしまった。事前指示書にあったように父の知り合いの病院に入院した。すると、すぐに亡くなった。死に不審なことはなかったが・・・長男輝彦は医者、次男真也は弁護士。しかし真也の妻昭恵は不満たらたら。真也は金にならない事件ばかりやっているからだ。輝彦の妻慶子にも嫉妬している。そんな昭恵が引っ掻き回すと・・・

うーむ。考えさせられるし、身につまされる。エンターテイメントは必ずしも、笑えたりスカッとするものでなくても良いんだと思った。

一番優しい死に方はガン、なぜなら終活が可能だから本人にも家族にも優しい。認知症だとゴールがいつか分からないという表現があり、なるほどと思った。(健康診断のバリウムとが肺のレントゲンはやめておとなしくガンになろうか)

また金の事に煩い、自分では何もせず、感じの悪い昭恵のような考えを自分もしていたとちと(いや、大いに)反省した。



 今日の一曲

大森靖子feat.峯田和伸で、"Re: Re: Love"



では、また。
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ご挨拶

2020-01-01 | days

謹んで新春のお慶びを申し上げます

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『圓朝』奥山景布子

2019-03-29 | days
江戸の終わりから明治時代に活躍した落語「中興の祖」と呼ばれる三遊亭圓朝。新しい噺を考えたり、弟子について考えたり、金銭面で悩んだりする伝記的小説。

なかなか面白かった。

「真景累ヶ淵」や「塩原多助」の誕生秘話的な話あり、幕末、維新の大激変の時代の雰囲気あり、当時の風俗もあり。

落語を知らなくてもほとんど関係ないように書かれてるし、とても読みやすい。圓朝については興味があったので、なおさら良かった。


圓朝
奥山景布子
中央公論新社



今日の一曲

back numberで、「クリスマスソング」



では、また。
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『彼女のかけら』カリン・スローター

2019-02-27 | days
アンディ31歳、惰性で生きている。目の前で男が二人の女性を殺害した。すると母親のローラが犯人のナイフ素手で受けて制圧し殺した。その後、ローラは襲撃されそうになり、その際にアンディは逃げるように言われた。メールも電話も一切自分からはしないように、貸倉庫の場所や逃げる方法も指示され。携帯電話や大金があった。平凡な女性だと思っていた母の過去を辿ると・・・

うーむ。そんなに悪くはないのだけれど
他のカリン・スローターの珠玉の名作と比べるとちと落ちる。

主人公アンディにいまひとつ魅力が感じられないのが大きい。同一作者によるウィル・トレントには魅力が感じられるのに。

2018年の現在と1986年の過去が交互に語られる。過去にローラが直面した問題は読み応えがあるのだけれど、長いのとややこしいのとが合わさって、読んでいてのワクワク感がやや薄くなってしまった。母ローラの「過去」そのものは面白いのだけれど、「ローラ自身」にはあまり同情できなかった。この話の展開なら、ローラ可愛そう、アンディ可愛そうと思わせないと、という気がする。


彼女のかけら 上 (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン
彼女のかけら 下 (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン




今日の一曲

先日平井大のラジオで流れていた。Debargeで、"I Like It"



では、また。
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『死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ドニー・アイカー

2019-02-23 | days
1959年、ソ連ウラル山脈で、9名が遭難死亡。しかも別々の場所で、ろくに服も着ておらず、ほとんどみな靴を履いていなかった。死因は6人は低体温症だが、3人は頭蓋骨骨折などの重度の外傷。そして衣服からは高濃度の放射能が検出された。50年経った今でもネット上で論議がされる事件の真相を、アメリカ映像作家が解くドキュメント。

こんな謎があった事も知らずボォーと生きていた。チコちゃんに叱られてしまう。

不気味な事件のディテールをこれでもかも掘り起こし、そして、マンシ族の攻撃、雪崩、強風、武装集団、兵器実験などの説を一蹴した上で、これが原因だと教えてくれる。スゲー、スゲーぞ。

細かい固有名詞などはすっ飛ばして読んだので、分厚い割には早く読めた。極上のミステリーのように面白かった。


死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
ドニー・アイカー
河出書房新社



今日の一曲

Steve Winwoodで、"Higher Love"



では、また。
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『杏の気分ほろほろ』杏

2019-02-21 | days
女優杏が朝日新聞デジタルで連載してたエッセイ。(朝日新聞デジタル料金払ってるけど、3年以上一度も読んだことなかった。おい、朝日新聞、なんかくれ)

NHKの朝ドラ「ごちそうさん」や「花咲舞が黙ってない」「デート」などの裏側、苦労などが中心。「杏のふむふむ」とは違って現在進行形の話が多かった。あっちの方が時間を経て寝かせた感じが、深い味を生み出していたような気がする。こっちは浅漬け。

でも浅漬けも美味しい。杏ちゃんは、人柄が何とも言えないほど滋味深いので何を書いても面白くなるのだと思う。


杏の気分ほろほろ
朝日新聞出版



今日の一曲

Keith Jarrett Trioで、"I Fall In Love Too Easily"



では、また。
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『杏のふむふむ』杏

2019-01-29 | days
女優杏のエッセイ。子供の頃に飼っていた犬、ハリーの話。陶芸を泊まり込みで習う話、文楽、共演者堺雅人の話、信長好きな歯医者の話など多彩。

内容も興味深いことだらけでとっても面白く読んだけれど、それ以上に文章から彼女の人柄が伝わってくる。

なんて感じのいい人なんだー。偉ぶらず、だからと言って卑屈でもなく、自分の失敗や至らなさを客観的に見られている。ある種の「理想の女性」のように思った。いい人だからと言って、演技が上手とか限らないわけだけれど、彼女が出るドラマはやっぱり観てしまう。(矛盾?)

エネルギッシュな黒柳徹子について、

「情報というのは、所詮その人が見たいと思った情報のみ、その人に見えたり、吸収されるのだ」

確かに。目をしっかりと見開いて、好奇心を持って街を歩けば、見たいものが見え、街を歩いていても、心が閉じていれば何も入ってこないのだろう。

個人的には犬のハリーの話が一番染みた。確かハリーの子供が、三谷幸喜が飼っていたとびではなかったろうか。



杏のふむふむ (ちくま文庫)
筑摩書房




今日の一曲

杏で、オジリナル・ラブのカバー「接吻」



では、また。
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『国宝』吉田修一

2018-10-06 | days
長崎の暴力団、立花組の組長権五郎は絶頂期を迎えていた。新年会には金をかけ、九州一帯の組長や家族を招き、料亭を貸し切って行なっていた。人気歌舞伎役者の二代目花井半二郎も招いていた。しかし当日対抗する組織が組長を殺しに来た・・・組長の息子は中学生の喜久雄。荒れた時代を経て、半二郎に預かってもらうことになった。半二郎の息子は、俊介。芸事のライバルとなっていった。二人のライバル、歌舞伎の世界を鮮やかに描く長編・・・

国宝というタイトルなので、人間国宝になるまでを描くのかなー、と思いつつ読んでしまうのだけれど、そういう「邪念」が特に読者を邪魔しない。こうなるだろうという予想にはあまり意味がないぐらい波乱万丈な展開をしていく。

歌舞伎には全く詳しくなく、「本朝廿四孝」とか「阿古屋」とか言われても何のことだか分からない。ということはほとんど関係ないというか、知らなくても十分楽しめる。最低限のことは説明してくれているので。

特に「女形」の演技が主題になるのだけれど、

簡単に口では立女形に必要な絶対的な威厳などと申しましたが、では実際にはどのようなものなのか、もちろん喜久雄自身もそれをきちんと言葉にすることはできません。ただ、たとえばこの武士が楽屋の廊下に立っているのいたしましょう。先輩役者に呼ばれるのをただ待っているのか、それとも単に暇を持て余しているのかわとにかく壁に寄りかかって退屈しのぎに足を揺らし、その目は汚れた床に向けられております。言ってみれば、からっぽでございます。何かを見ているわけでもなく、何かを考えているわけでもないからっぽの体。しかしそのからっの底が、そんじょそこらのからっぽの底とは違い、恐ろしく深いことが誰の目にも明らかなのでございます。生前、先代の白虎はよく言っておりました。女形というのは男が女を真似るのではなく、男がいったん女に化けて、その女をも脱ぎ去ったあとに残る形であると。

こんな風に、優しい語り口で説明してくれる。このナレーションがあるからこそ、歌舞伎の世界が柔らかく伝わってくる。

何でこんなスゴイ話を吉田修一が書けたんだろうと驚きつつ、歌舞伎の世界のスゴさと深さを存分に浴びつつ、物語の芳醇さをこれでもかも味わった。歌舞伎なんて興味ないという人こそ、読むべき。(興味のない私が、ぜひ歌舞伎を観たくなったぐらいだから)


国宝 (上) 青春篇
吉田修一
朝日新聞出版

国宝 (下) 花道篇
クリエーター情報なし
朝日新聞出版



今日の一曲

CHVRCHESで、"Do I Wanna Know?"



では、また。
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『戦争の日本中世史 「下剋上」は本当にあったのか』呉座勇一

2018-03-11 | days
話題の本「応仁の乱」、読んでいるうちにこんがらがってしまったので、積んでおいた。同じ著者のこっちの方がよみやすそうだったので、ザザッと斜め読み。

元寇、悪党、南北朝時代などを、やや専門的に説明してくれる。概説書というよりは、一般にはこう理解されているけれど、実はこうなのではないかという別の解釈を教えてくれる感じ。

面白いとかそうじゃないとか、何とも言えない。興味のあるところだけさらっただけなので。申し訳ないっす。

戦争の日本中世史: 「下剋上」は本当にあったのか (新潮選書)

今日の一曲

Stevie WonderとJeff Beckで、"Superstition"



では、また。
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2017年元旦

2017-01-01 | days
追記&訂正 : 今年じゃなくて、去年だった。
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謹賀新年

2016-01-01 | days
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