「怖い絵」中野京子 朝日出版社 2007年
ずっと読みたいと思っていてやっと読めた、西洋絵画を怖く解釈する本。キワモノな本(キワモノってどう説明したらいいんだ?東スポ的とか)だと思っていたらそんなことなかった。静かな筆致とアカデミックは文体。とても良かった。
クノップフの見捨てられた街という絵。なんだか感じる違和感。よく見ると遠近を微妙にずらしているのだが、言われてみるまで分からなかった。建物の下のラインと歩道は平行なはずなのに、歩道の方が左に行くにしたがって広くなっているのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/48/ff4c376eab0a96fea8f5e0d86e5a25e3.jpg)
この絵の凄みは絵だけにあるのではなくて、画家の人生、生活によるものだと分かるとさらに凄みが増してきた。この「見捨てられた街」という絵とその解釈が一番印象に残った。
作品は音楽でも何でもそれ単体で楽しむべきであるという考えがある。確かに。作品を製造した者がどんなに邪悪でも作品は美しければそれでいい。確かに。
しかし作品製造者のこと、背景を知るとさらに楽しめることもある。確かに。
私は音楽については何者が作ったかはあまり気にしないが、小説、絵画、映画については気になる。
ゴールデンウイークが昨日から始まりました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
では、また。
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