頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

2019夏ドラマちょいとレビュー3

2019-07-31 | film, drama and TV
「セミオトコ」・・・暗く社交性のない木南晴夏、食品会社勤務。あるときセミが人間(山田涼介)になり、7日間だけ木南を癒してくれると言う。これが意外と良かった。暗いけどいい人役の木南が巧い。「トクサツガガガ」の小芝風花のオタクな感じと同様に。山田くんは美少年過ぎてあまり好きではなかったのだけれど、貼ってあったポスターに写る人間になったので、人工的な美がそれっぽくハマっている。


「べしゃり暮らし」・・・高校放送部の人気者間宮祥太朗、人呼んで「学園の爆笑王」。放送中に転校生の渡辺大知が関西出身と知ってブースに連れ込みアドリブで喋らせると、これが面白かった。ぶ色んな事があって、文化祭の漫才コンテストに二人で出場することにした、というような高校生漫才コンビの話。テンポがよく、笑いのネタもいい。初回は今期ベストクラス。


「これは経費で落ちません!」・・・多部未華子は経理部で、厳しく営業マンたちの経費の精算している。終業後、友達と飲みに行くのではなく、一人の家に帰る。会社内のトラブルを解決する、頼り甲斐のある真面目女子。意外と悪くなかった。経理部長や営業部長のキャラがステロタイプっぽかったりするけれど。



今日の一曲

レルエで、「火花」



では、また。


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『おっぱいがほしい!男の子育て日記』樋口毅宏

2019-07-29 | books
ラジオクラウドで、去年の水道橋博士のメルマ旬報を聴いていたら、小説家樋口毅宏がゲストで、奥さんがヤリマンだというような話をしていて、興味を持ち読んだみた。


樋口の「タモリ論」をTwitterで褒めていた東大出の弁護士三輪記子(テレビに出てるらしい)と意気投合し、結婚する。しかし、2回婚約破棄したことがあるとか、あるいは外を歩くと、元セフレに出会う妻に唖然とする・・・

弁護士の妻は忙しく、家で子育てに邁進する夫の苦労をリアルに描く。

正直子育て部分よりも、奥さんとの闘いが面白かった。こういう奥さんとは絶対結婚したくないという、反面教師を実演してくれてる。結婚なんてまだまだという若人にぜひ読んで欲しい。逆に、子育てで疲れはてている、妻、夫に読んで欲しい。素晴らしいエッセイだった。





 今日の一曲

菅田将暉で、「キスだけで feat. あいみょん」



では、また。
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『Red』島本理生

2019-07-27 | books
塔子は夫、娘、義理の父母と同居している。夫は悪い人ではないのかも知らないけれど、子育てを手伝ってくれることはなく、女性を見下した発言が目につくようになってきた。友達の結婚式で再開したのは、学生の頃バイトしてた先の社長。不倫相手だった。昔とは違う会社にいて、そちらで働かないかと誘われる・・・

小さな子ども、仕事、理解のない夫、という三つを抱えた女性の物語。女性じゃないけど、共感できるし、ストーリーもかなり面白い。

性愛描写がかなり多いので、電車内で読む時に、隣の人から見えないように本を狭く広げていた。

夫の描写が絶妙で、暴力をふるうようなことはないけれど、結局自分本位で相手に気遣いが出来ない、こんな人あちこちにいるよな、思いながら読んだ。

 「幸せっていうのは、君にとって、そんなに単純なものなんですか?そうやって君が、雑誌やテレビで見聞きしたような倫理観をつなぎ合わせたことばかり言うのは、ただの思考停止だよ」


 


今日の一曲

ドラマ「ルパンの娘」の主題歌、サカナクションで、「モス」



では、また。


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『大好きな町に用がある』角田光代

2019-07-25 | books
旅エッセイ。一編当たり、5頁ちょっと。すごく同感できるのもあるし、軽くスルーしてしまうのもある。  

面白いと思ったのは、自分は香港と相性がいいという表現。なるほど。私だと、東北の太平洋側とは相性が悪く、日本海側(秋田、山形、青森)とは相性がいい、みたいなことがある。

あとは、タコは冷凍すると柔らかくなるとか、金気を嫌うので、楊枝で食べた方が美味いということ。知らなかった。


 

今日の一曲

雨のパレードで、"Summer Time Magic"



では、また。


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2019夏ドラマちょいとレビューその2

2019-07-23 | film, drama and TV
「Iターン」・・・広告会社のムロツヨシは上司の悪口を言ったのがバレて、地方に左遷。請け負った消費者金融のチラシの電話番号を間違えて、組長の田中圭に500万払え、と脅されていたら、別の組長古田新太の仕事もミスっていて、拉致され、舎弟にさせられる。というハチャメチャな話。原作の福澤徹三は別の作品が面白かったので、今回も続けて観てれば面白くなるのかも知れない。
 
「ボイス 110緊急指令室」・・・妻を殺された敏腕だけど暴力刑事が唐沢寿明。音で分析する真木よう子と協力して事件を解決してゆく。ストーリーは悪くないけど、唐沢の荒っぽい演技と、真木の顔が昔とは違っていて、双方に違和感あり。横浜が舞台になるドラマがとても多いけど、なぜだろう?横浜から遠い人はどんなイメージを持つのだろう。
 
「TWO WEEKS」・・・殺人で服役し、ホストのような暮らしをする三浦春馬の元に、元カノの比嘉愛未が。二人の間の娘が白血病になったと言う。骨髄の検査をしたらドナーとなれることが分かった。手術は2週間後。しかし、何者かに後頭部を殴られ、気がついたら包丁を持って女性の遺体の側にいた。逮捕されてしまった。ストーリーは悪くないのだけれど、三浦は好青年に見えてしまうし、検事役の芳根京子も合わない。
 
「凪のお暇」・・・周囲に流され、会社の同僚にいいように使われる黒木華。可愛そうかと思っていたら、実は会社で人気の高橋一生と付き合っていた。しかし、会社で高橋が同僚に、彼女はセックスがいいだけで、ケチ臭くて嫌だと言ってるのを聞いてしまう。そして会社を辞めて、郊外に越し新しい人生を送る。なかなか面白かった。凪をいじめるOL三人組の言動がリアル。高橋は黒木と別れてせいせいしてるかと思ったら、彼女のアパートにまでやって来るし、未練たらたらだと分かった。男の複雑な心境(?)の描写に期待。今期のベストの予感。
 
 
 
今日の一曲
 
 
ドラマ「Heaven?~ご苦楽レストラン~」の主題歌、あいみょんで、「真夏の夜の匂いがする」
 
 
 
では、また。
 
 
 

 
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店名にツッコんでください219

2019-07-21 | laugh or let me die
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『刑罰』フェルナンド・フォン・シーラッハ

2019-07-19 | books
「犯罪」「罪悪感」に続く連作短編集。

自分の夫がウエットスーツを着て自慰したまま死んでいるのを発見した妻の話・・・「ダイバー」 金に困った弁護士が殺人事件の弁護することになった。妻が夫を射殺したのか・・・「逆さ」 ラブドールと暮らす男・・・「リュディア」 妻が亡くなり寂しく暮らしていたら、隣に美人が越して来た・・・「隣人」などなどなど。

個人的には、男性とうまくやっていけない女性が参審員に選ばれてしまう話のラストが一番気に入った。基本的に淡々と描きつつ強烈なラストでガツンと来る話ばかり。


 
今日の一曲

サザンオールスターズで、「思い過ごしも恋のうち」



では、また。


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『未必のマクベス』早瀬耕

2019-07-17 | books
行きつけの書店のPOPで、「こんな素晴らしい本を品切れにしてすみません」と表示され、また北上次郎の解説では激唱されている。ので読んでみた。

中井38歳、システムを作り販売する会社勤務。バンコクで成功すると、香港の支社の社長となった。そこはどうやら本社の裏金作りに利用されているらしい。そして何人も死人が出ていて、さらに昔の知り合いが関わっているらしい・・・

ううむ。ネタバレしないようにするとあまり面白くないように読めるかも知れないけれど、なかなか面白かった。

ちょっと複雑な企業小説+恋愛小説+村上春樹のような文体

「あなたは、私が最初に持った印象どおりの人ですね。法螺吹きでも小心者でもなく、興味のなさそうな顔をしながら、必要とあらば、壊れかけた石橋を細心の注意を以て渡ろうとする」


 


今日の一曲

作中に登場する。James Brantのカバー、Bei Xuで、"You're Beautiful"



では、また。


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『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ

2019-07-15 | books
元首相松方正義の三男松方幸次郎は川崎造船所の社長となり、大金を手にしてヨーロッパで絵画を大量に購入する。戦争を経てロンドンに保管していたものは焼失してしまったが、パリのは保管されていた。しかしフランス政府が敵国のものだから没収し返還しないと言う。上野の西洋美術館が出来るまでの経緯を描くドキュメント(風小説)・・・

松方の人柄がよく伝わってくる。絵の薀蓄にも満ち溢れてる。悪くない。ただ教科書を読んでいるような真面目な感じがちとマイナス。


 


今日の一曲

KATIEで、"Thinkin Bout You"



では、また。


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2019夏ドラマちょいとレビュー

2019-07-13 | film, drama and TV

「わたし旦那をシェアしてた」・・・忙しくてたまにしか一緒にいられないけどイケメンで優しい夫と事実婚中の小池栄子。夫が殺されたと知らせがあり、駆けつけると、他に二人の女が、自分の夫だと言う。なかなか面白い。先が読めない。

「ノーサイド・ゲーム」・・・原作とはあちこち変えられてるけれど違和感なし。滝川常務役の上川隆也の後ろ髪が長いのが気になるけど。

「監察医 朝顔」・・・上野樹里が法医学者、時任三郎が父親で刑事。月9というよりテレ朝の刑事ものっぽく地味。ネタは「アンナチュラル」の方が上か。行方不明の母(石田ひかり)の捜索というサブネタは今後化けるか?

「Heaven?〜ご苦楽レストラン〜」・・・石原さとみがわがままにスタートするレストランに、あちこちからスタッフがかき集められて、という話。面白みを発見できなかった。一応もう一週様子を見るけど。

「偽装不倫」・・・杏が、いくら婚活しても相手が見つからない役。飛行機内で出会ったイケメンに、人妻だと勘違いされながら、不倫を始める。これはなかなか面白かった。相手役の宮沢氷魚、自分が女性ならこの顔には惚れてしまう。

「サイン 法医学者 柚木貴志の事件」・・・大森南朋は日本法医学研究院の解剖医。有名歌手が楽屋で死亡していた事件で担当する予定だったのに、警視庁の意向で大学の仲村トオルへと変更。しかし大森は遺体を盗んで解剖。死因は窒息だと断定。しかし、後に仲村が青酸カリだと発表。という、なぜ?という展開。たぶん来週には理由が分かるのだろう。リアリティはないけれど、ストーリーは面白い。

「ルパンの娘」・・・深田恭子は泥棒一家、瀬戸康史は警察一家。二人が恋において、というコメディ。真面目な要素を排除して、おふざけに徹するのは清々しい。ストーリーはまあまあ、ビミョウ。

 

今日の一曲

Everything But The Girlで、"Love Is Here Where I Live"

では、また。

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『指名手配』ロバート・クレイス

2019-07-11 | books
探偵エルヴィス・コールは、デヴォン・コナーから、高校生の息子タイソンが高価な物や多額の現金を持っていて怪しいから調べてくれと依頼される。タイソンの持っていたロレックスの番号から盗品だと分かる。しかも連続して金持ちの家から盗む事件があって、もしかするとタイソンはその犯人グループの一員なのだろうか。盗まれた物を追いかける悪党二人組は残忍に人殺しを続けていく・・・

マギーが出てこないという意味では東京創元社はサギじゃないかー、と文句を言いたいところだけれど、面白かったのでまあ良しとする。

コールが真相に迫ってゆく手法、ストーリー展開、人物造形、文体、どれも最高だった。


 


今日の一曲

Nulbarichで、"VOICE"



では、また。


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『ライフ』小野寺文宣

2019-07-09 | books
井川幹太27歳、コンビニ勤務、一人暮らし。大学生のときは同じ大学の同級生がたくさん暮らしていたアパートも、今では一人ぼっち。結婚式の代理出席のバイトをしたり、ばったり高校の同級生に会ったり、アパートの上に暮らす人の騒音に悩まされたり。平凡な男による、平凡ぽいけど、非凡な生活。

「ひと」も「その愛の程度」も、「夜の側に立つ」、「近いはずの人」も良かったけど、こっちも良かった。

基本的に、いい人が何をどう感じ行動をするかを読むという、私自身にはないものを知るみたいな体験。(名探偵の内面を体感したり、サイコキラーの内面を体感するのも、読書の意味?なのかもしれない)

なんでそんなにいい人なんだよー、ともどかしくなったり、あるいはあー良かったねー、と思ったり。気づけばドップリとハマっていた。

「やりたいことがあるのにやれなかった人と、やりたいこと自体を見つけられなかった人。どっちがいいんだろうね」


「わたしも仕事やめちゃおうかな。井川くんみたいに。それで、『東京フルボッコ』に入る」
自分のことは棚に上げ、言ってしまう。
「やめないほうがいいんじゃないかな。どうしてもやりたいことがあるなら別だけど」
人は他人には一般論を言う。
例えばの話し、自分が飛び降り自殺をするときに同じことをする人が隣に来たら、やめなさい、と言う。そんなふうに刷りこまれているのだ。
自殺をしてはいけないと刷りこまれるのはいいとして。やりたいことがなきゃいけないと刷りこまれるのは、どうなのだろう。


他人には一般論を言う。確かに。


 

今日の一曲


ライフだけに、キマグレンで、"LIFE"







では、また。


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店名にツッコんでください218

2019-07-07 | laugh or let me die
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『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤

2019-07-05 | books
トキワ自動車で経営戦略に携わっていた君嶋は、常務が進めていた買収に意を唱えると、左遷されラグビー部のゼネラルマネージャーとなった。ラグビーのことは知らないが経営のプロから見ると、毎年16億円も費用がかかるのに、収入はゼロ。観客も一試合三千人ほどしか入らない。君嶋は、ラグビー部を変えるべく尽力する。ラグビー業界を良いものに変えていく気のない蹴球協会(日本ラグビー協会のこと?)との闘い、社内でラグビー部を廃止しようとする者との闘い。君嶋は勝者となるのか・・・

流石の池井戸品質。パターンとしては「ルーズベルトゲーム」などの、スポーツ+企業+善人+悪人と同様なのだけれど、結局目頭が熱くなってしまったりして、術中にはまる。同工異曲とはこのことか。

ラグビーのルールを丁寧に教えてくれるわけではなく、最低限の説明しかないので、モールとかラックとかラインインなど映像にならないと分かりにくいかも知れない。

7/7(日曜)からドラマの放送が始まるそう。主演の大泉洋は、原作のやや論理的思考の強いキャラとは少し違うような気がする。アナリスト役は舞台女優の笹本玲奈だそうで、最近あまりテレビでは見かけなかったので、ちと楽しみ。君嶋の妻役が松たか子だそうだけれど、原作には出てこない。



 


今日の一曲

Cyndi Lauperで、"True Colors"



では、また。


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『鯖』赤松利市

2019-07-03 | books
日本海の孤島に住み一本釣りで暮らす漁師船団員たち。その日暮らしの生活をする。良質の鯖が取れることに目を付けたIT社長と中国人。役に目が眩んだ者たちのバトルロイヤルの行く先は・・・

なかなか面白かった。

言わば、破綻していく者たちの物語。破綻はしていくのだろうと思いつつ読むと、意外なストーリーの転がり方が。そしてグロさはかなりのもの。好物だった。


 

今日の一曲

先日「情熱大陸」で紹介されていたロンドン在住の日本人。Rina Sawayamaで、"Cherry"



では、また。


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