頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

ITミステリー『ビッグデータ・コネクト』藤井太洋

2015-05-30 | books
コンピューターウィルスの作成、拡散に関わったとして逮捕された武岱(ぶだい)は犯行を否認し続け、結局無罪放免になった。しかしマスコミから受けたバッシングのことは忘れていない。

大津で建設中の官民複合施設「コンポジタ」のシステム開発をしている技術者が誘拐された。その技術者の切断された指の写真がメディアに送られた。京都府警サイバー犯罪対策課の万田は、武岱に捜査協力を求めることにした。IT技術者の仕事の過酷さとは、犯人の動機は…

おっと。「オービタル・クラウド」「アンダーグラウンド・マーケット」もかなり面白かったけれど、これもまた違う方面から面白い。

ミステリーとして、かなり細かい。リンカーン・ライムが微細な物的証拠を積み上げていくように、サーバー上の証拠が積みあがっていく(IT的な証拠ばかりじゃないけど。) テクニカルな捜査の描写がかなり詳しい。

この小説を読むと、システムエンジニアになろうとする人がいなくなってしまうのではないかと心配になるくらい過酷な仕事が描かれている。「ビッグデータ」を収集するということの裏側にどういうことがあるのか、なんてことも大いに考えさせられた。

しかし「ITミステリー」としてこれがデファクト・スタンダードになってしまうと、レベルの高い作品が出てくるという期待を持てるとも言えるし、このレベルの作品でないと満足できなくなっていまうとも言える。それほどのレベルの高さだった。

ビッグデータ・コネクト (文春文庫)

今日の一曲

本とは無関係に。ウクライナのピアニストの速弾き。Lisztの"La Campanella"



では、また。

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店名にツッコんでください105

2015-05-28 | laugh or let me die
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ついに最終巻『銀河英雄伝説10 落日篇』田中芳樹

2015-05-26 | books
こんな凄い物語が二十年以上も前に書かれたことは驚異だ。SFだろ、スペオペだろと手に取らずに生きてきたことが恥ずかしい。「銀河英雄伝説」は永遠の物語である。冒険小説界にいまもなお、燦然と輝く大傑作をまだ未読の方はこの機会にぜひとも手に取られたい。絶対にぶっ飛ぶ、と断言したい。

と10巻の巻末の解説に書いたのは書評家の北上次郎氏。「銀英伝」が出てから20年の間一度も読んだことがなかったのが、出版社から送られて来て読んだらぶっ飛んだという話。

私も、完全な食わず嫌いだった。まず、タイトルがよくない。いかにも子供が好きそうで、浮世離れした、イケメンとロケットとミサイルの物語っぽい。しかし全然違う。

SFはあくまでも舞台装置として使われていて、どっちかと言えばローマ帝国の衰亡の歴史(読んでないけど)というような歴史小説に近い。

帝国という専制君主の国家と同盟国という民主国家の闘い、と言っても一筋縄ではいかない。宇宙的ドンパチがないわけじゃない。でもスペースオペラというほど単純なものでもない。

政権を取ったら、統治しなくてはならない。どうやって国家を運営していくのか。誰を昇進させるのか、経済をどう統べるのか、考えなくてはいけないことが多い。そういう政治とか経済について考えさせてくれる。

しかし、やはりメインは魅力的なキャラクターの数々。敵役(?)の皇帝ラインハルトすらも魅力的。ましてや同盟軍のヤン・ウェンリーが読者のハートを掴まないはずがない。この二人の対立は、マンガ「男大空」を思い出した。

男大空 1 (MFコミックス)

また、帝国のヒルダと同盟のフレデリカという二人のヒロインも、私のハートを思いっきり掴んでいる。

SFが苦手な人に思いっきりオススメしたい逸品。(第9巻のレビューするの忘れてた)

銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)

今日の一曲

宇宙。David Bowieで"Space Oddity"



では、また。
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刺さる物語『なぎさ』山本文緒

2015-05-24 | books
久里浜に住む夫婦。夫は会社に勤めているが、暇で仕事中に後輩とよく釣りをしている。妻の実家は須坂。何か実家とトラブルがあったらしく、逃げるようにして久里浜に来た。毎日夫だけでなく彼の後輩のためにも弁当をつくってくれる主婦。

絶交中だった妻の妹が久里浜にやって来た。マンガ家をしていたのだが、今は仕事をしていない。そんな妹がカフェをやりたいと言い始めた…

うーむ。刺さる。

一見平凡な主婦の平凡な話のように見えるけれど、会話の端々が、ストーリーのあちこちが刺さる。トゲのように。

いわゆる「ブラック企業」に勤める夫と後輩。この後輩の視線で描かれるストーリーが描かれるのだけれど、これもまたいい。かかし、彼の人生、なかなかにつらいつらい。彼女との関係、向上心のある彼女と自分との比較、お笑いを諦めた自分。

言わば、「つらい人生」をおくっている人たちの話を読むことになるのだけれど、読むのはちっともつらくない。トゲがいくつも心にツンツンと刺さるのだけれど、そのトゲ感がすごくいい。どうせこうなるんだろの予想を裏切ってくれるのもいい。

姉と妹の葛藤、夫と妻の行き違い。人生の酸っぱいのと辛いのが堂々とそして絶妙に配置されている。

山本文緒の本を読むのは久しぶり。読んでなかった作品を読んでみようか。

なぎさ (単行本)

今日の一曲

なぎさ。思い出のにするか、バルコニーにするか。朝ドラは「まれ」より再放送している「あまちゃん」の方が面白いと思いつつ。小泉今日子で「渚のハイカラ人魚」



「あまちゃん」や「最後から二番目の恋」の小泉今日子しか知らない人からするとプリティすぎるのでは。

では、また。
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フレンチミステリ炸裂『悪意の波紋』エルヴェ・コメール

2015-05-22 | books
1971年、マイアミでマフィアの家からマネの絵を盗もうとするのはフランス人の5人組。強奪に成功し、絵と引き換えに100万ドルを受け取り、フランスに戻ってきた。5人はそれぞれの生活をする。キャンプ場を経営したり、美術商になったり。その内の一人、ジャックはもう64歳。様々な犯罪で稼いできた。彼の所へ、一枚に写真が送られてくる。マイアミで絵を盗んだ5人組の写真だった。ヤバイ。誰かにばれてしまったようだ。送ってきたのは女性ジャーナリストだった。彼女を家に招き入れると… イヴァンはウェイター。昔付き合っていたガエルのことが忘れられない。するとテレビ番組にガエルが現れた。シェアハウスに何人かが暮らし、その模様が放送される。視聴者が人気投票をして得票によってメンバーは脱落していく。人気を得るために、ガエルは昔もらった笑えるラブレターを公開すると言い出す。それはイヴァンが送ったものだ。マズイ。俺のラブレターが公開されてしまう。ラブレターは彼女の実家にあると言うので、実家に手紙を盗みに行こうとすると…

という全く無関係の二人。それぞれの物語が段々進んでいくと、いつしか二人の人生が交差する。まさかそんな繋がり方をするのかと思わず、うなってしまった。

「その女アレックス」でちょっとしたブームを巻き起こしつつある(ほんと?)フレンチ・ミステリー。

その女アレックス (文春文庫)

「その女」にあった奇妙な味がここにもたくさんある。ストーリーの先の読めない感が尋常じゃない。二人の人生の交わり方も尋常じゃない。読み慣れている英国や米国のミステリーとはだいぶ違う。(水戸黄門的というほどではないけれど、英米ミステリーは「いつもの感じで」驚かしてくれる)

たぶん賛否両論なのはエピローグだろう。これがあることによってさらに奇妙な風味が醸し出されている。なくてもいいというか、ない方がいいような気がしなくもない。しかしタイトルの「悪意の波紋」や、冒頭の「人は原因を知らなければ、偶然に起こったものだと言う」という言葉と波長を合わせるにはこのエピローグはなくてはならなかったのだろう。うーむ。エピローグを取ってしまうと、ラストがアメリカのよくあるミステリー的になってしまう。しかしエピローグがあるとちょっと邪魔。というとても難しいラストになっている。その分の減点を差し引いても、充分に読む価値のある、ハイパー奇妙なミステリー。

悪意の波紋 (集英社文庫)

今日の一曲

登場人物、特にイヴァン。彼の気持ちを代弁しているような曲。Neil Youngの"Helpless"をカバーしているのを見つけた。オリジナルよりも好きだ。Whitehorse with Noah & Abby Gundersenで"Helpless"



小説、マンガ、ドラマ、演劇、様々なエンターテイメントがある。オリジナルがあって、それを何十年もかけて様々な人たちがカバーしていくって意味では、音楽と落語が最もそのカバー文化と共にあるのだね。

では、また。

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エンターテイメントの王道『追風に帆を上げよ(クリフトン年代記第4部)』ジェフリー・アーチャー

2015-05-20 | books
つらかった。

クリフトン年代記はもう第4部。直前の第3部の内容をすっかり忘れてしまったのですよ。

でも大丈夫大丈夫どと思って読んでいたのだけれど、続き物的側面が強く、ドン・ペドロ・マルティネスって誰だっけ?フィッシャー少佐?レディ・ヴァージニア?どうしてこいつらこんなにクリフトン家とバリントン家に強い恨みを抱いてるんだっけ?わからないわからない。それがつらい。そんな状態が上巻ずっと続いた。

我慢我慢。我慢していたら、下巻になると段々と前の話を思い出した。あー、あいつあれかー!

今回はバリントン海運をめぐる話が中心。

バリントン海運はどうなってしまうのか。手に汁握る。いや汁は握らない。手に汗握るシーンが続く。

20世紀初頭から始まる一家の物語。第一部第二部第三部それぞれに面白かった。いや面白いを超越している。

追風に帆を上げよ(上): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)追風に帆を上げよ(下): クリフトン年代記 第4部 (新潮文庫)


今日の一曲

セバスチャンがロンドンの画廊で出会う女性はサマンサ。Samantha Foxで"Touch Me"



では、また。
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輪唱

2015-05-18 | travel



マレーシアの街角にて。




「なにみてるのよー」「なにみてるのよー」「なにみてるのよー」

みんなで輪唱していたら…

ちょっと怖い。


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江戸時代の女の子の苦悩「櫛挽道守」木内昇

2015-05-16 | books
江戸時代の終わり。木曽で櫛作りを稼業とする家に生まれた登勢。櫛挽きの名人の父のことを尊敬し、自分も櫛挽きになりたかった。しかし女性がそのような仕事をする時代ではなかった。跡取りになるはずだった、弟が死んでしまった。弟の代わりに跡を継ぎたいが、嫁にいくように命じられる。封建的だった時代、登勢の苦悩を描く。

大きな事件が起きるわけではない。淡々と描かれる日常。

事件を中心に置くのがミステリーやスパイ小説。事件そのものが面白くないといけない。しかし事件を中心に置かないと、人物が魅力的でないと面白くない。登勢という女性の内面にグッと引き込まれてしまうと、すごく魅力的なキャラクターに思えてくる。

派手さはないのに、すごくいい小説だった。(もうちょっと他に書くことはないのかね)

櫛挽道守

今日の一曲

櫛を挽く。たまたま見つけた櫛引彩香というアーティスト。櫛引彩香トリオで「キミとボク inc Day & Midnight」



ビジュアルも声も楽曲もいいではないですか。ライブもあるらしく、今後ちょっと注目したい。

では、また。
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店名にツッコんでください104

2015-05-14 | laugh or let me die
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終わるのが惜しい『銀河英雄伝説8 乱飛篇』田中芳樹

2015-05-12 | books
ついに8巻に突入。まさかあの人がああなってしまうとは。ずっと読んできた人にとって、まさかの展開に。それ以上は言えませぬ。

「運命というならまだしもだが、宿命というのは、じつにいやな言葉だね。二重の意味で人間を侮辱している。ひとつには、状況を分析する思考を停止させ、もうひとつには、人間の自由意思を価値の低いものとみなしてしまう。宿命の対決なんてないんだよ、ユリアン、どんな状況のなかにあってもけっきょくは当人が選択したことだ」

「おれたちに主権などいらない。参政権など不要だ。現に皇帝が善政をしいてくれるのだから。彼に全権を託してかまわないではないか。政治制度は人民の幸福を実現する手段でしかないのだから、それがかなった以上、かたくるしい衣などぬぎすててどこが悪いのだ?」

「戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属しているというわけさ」


全10巻(外伝はのぞく)なのであと2巻でおしまい。すぐ読みたいようなもったいないような。

銀河英雄伝説 〈8〉 乱離篇 (創元SF文庫)

今日の一曲

重要な登場人物の一人はユリアン。ユリアン、ユリアン、、、The Alfeeで「メリーアン」



では、また。
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読む前に恋が始まる「ここは退屈迎えに来て」山内マリコ

2015-05-10 | books



いきなり動画で始めたことをお許し下さい。

作品を読む前に、この動画を見た。

なんというか、感じのいい女性。典型的な美人というわけでもないのに、どういうわけか気になる。と思っていたら何日かして思い出した。中1のとき(いわゆる初恋)に好きだった子に似ているのだ。後ろの席から見ていると、前の方の席で明るくよく笑っていたあの子。さあ、私の初恋話をこれから披露しよう。あれは忘れもしない4月、同じ小学校の友達はクラスにはほとんどお(中略)ということだった。

アブナイアブナイ。長話で貴兄の貴重な時間を費やすところだった。

結局、この山内マリコの小説を読む前に勝手に妄想が膨れ上がったしまったという話。そういう場合、作品を読むとガッカリする可能性があるので、読むリスクがある。ので我慢していたけれど、やっぱり読んでしまった。

地方都市に暮らす人たちを描く連作短編集。東京に行ったけれどうまくいかず地元に戻ってライターをしている女性の話、モデルになり東京に出たのに仕事がなくなり地元に戻った女性の話、スターバックスで流しの店員をしている女性の話、処女を捨てたい女子高生の話…などなど。

こういう「現代の若い女性がいかにも好きそう」な話を意外と自分が好きなことに驚いた。精神的には、アイアム現代の若い女性、っていうことなのだろう。

ここは退屈迎えに来て

今日の一曲

マリコ、と言えば、中島みゆきの「悪女」は、冒頭「マリコの部屋で~♪」で始まるので、と思ったけれど、Youtubeに音声も映像もなかった。ということで、高橋真梨子で「桃色吐息」



では、また。
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『田園発港行き自転車』宮本輝

2015-05-07 | books
自分のふるさとの富山が好きだと自分の送別会で語った女子社員、脇田千春は富山に帰った。送別会の後、彼女の上司、川辺は知り合いがやっているバーに行く。マスターの日吉が昔、富山で雪の中を20キロも歩いた話をしてくれた、その晩に別の女性客が「ゴッホの『星月夜』がもうじき真帆の部屋に着くわ」と連れに話しているのが聞こえてきた。彼の娘は23歳、妻子のある男性と不倫関係にある…というのが最初の37頁。

富山についてマスターが他の客と話しているのを聞いた真帆は童話作家。自転車メーカーのカガワサイクルの社長をしていた父親は、九州に出張に行っていたはずなのに、富山の駅で心筋梗塞で亡くなった。父はどうして富山にいたのだろうか…

うーむ。うーむ。なんという豊かな物語なのだろうか。

父の死の謎を解くという主題を真ん中に置きつつ、しかし様々な登場人物の視線で全然違う物語が進んでいく。これに何の関係があるのだろうと思っていると、後で必ずつながる。そのつながらせ方に思わず、うっと唸ってしまう。

川辺、川辺の娘、マスター。富山に帰った千春。京都でお座敷バーを経営する女性、富山で美容院を経営する女性。真帆を担当する編集者とシゲルちゃんの関係。魅力的なキャラクターがこれでもかと登場する。

私のような者が言うと、安っぽくなってしまうが言わせてもらえれば、

生きるというのは、重荷を背負って歩くようなものだけれど、重荷を背負い続けていれば、必ずごちそうにありつくことが出来る。なんてことを思った。

文化財保護と銘打って、古民家のあちこちを補修して安化粧で装い、「なんとかの道」だとか「なんとかの宿跡地」だとか名づけて、おじさんやおばさんが観光バスで乗りつけても、そんなものはせいぜい十五分も歩けば底が知れてしまって、おいしくもない、というよりうも、たいていはまずい草餅とか名代のなんとか蕎麦を食べさせられて、古くて風情のある商家ねェ、なんて言って、それきり思い出しもしない観光用の町が、日本中に作られてしまった。

というような文化批判もある。確かにそうだなー、と思いそして、人間もその場しのぎの薄っぺらなことばかりしていると、十五分も話していれば、底が知れてしまい、そして飽きられてしまうのだろう。なんてことをパラフィンな人生を生きる私は思った。

田園発 港行き自転車 (上)田園発 港行き自転車 (下)

今日の一曲

港、海。Paul Simonで"Once Upon a Time There Was an Ocean"



では、また。
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間違いない『暗く聖なる夜』マイクル・コナリー

2015-05-05 | books
ハリー・ボッシュシリーズはもう9作目。

ボッシュは警察を辞めて、私立探偵のライセンスをとった。もう52歳。しかしいまだに忘れられない事件がある。映画のプロデューサーのアシスタントが殺された事件と、映画撮影の現場で200万ドルが強奪された事件。どちらも未解決。これを解決しようとすると、市警やFBIから横やりが入って…

うーむ。マイクル・コナリーの小説は、間違いない。書き間違いがないという意味じゃなくて、読めば間違いなく楽しめる。しかも本作はすごく読みやすかった。2日で読み終わってしまった。

マイクル・コナリーの小説。翻訳が出ているのがあと10冊あまり。早く読みたいようなもったいないような。

暗く聖なる夜(上) (講談社文庫)暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)

今日の一曲

作中に出て来た、Chet Bakerで"My Funny Valentine"



では、また。
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前へ奈良へ

2015-05-03 | travel
まだ桜の残る頃、京都と奈良へ。(タイトルに特に意味はないです)

今回の主目的は、吉野の千本桜。ものすごく渋滞した。



パノラマ写真だとこんな感じ。一目でこれだけ観られる。

大仏



平等院



奈良に行くのは中学の修学旅行以来。大仏や春日大社など観るべきものは全て奈良公園の中にあってとても便利。そして奈良公園がこんなに大きいとは思わなかった。



それと、外国人旅行者がすごく多い。渋谷のスクランブル交差点に行くと、昔よりもずっと外国人旅行者の多いのに驚くけれど、奈良でも外国人旅行者がすごく多いのに驚いた。

奈良は京都や大阪から日帰りで来る人が多いから、宿泊施設がそれほど充実していないとか食べるところにもいいものがないという話だったけれど、確かにそれは言えていると思った。




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介護+ミステリー『ロスト・ケア』葉真中顕

2015-05-01 | books
43人を殺した男。介護されないと生きてはいけない老人たちを連続して殺していった。動機と方法はすぐに読者に分かる。自分の父親が高級な老人ホームに入った検事はどうやって犯人にたどり着くか…

以前、手に取ったときは、介護疲れのシーンを読んでつらい気持ちになったので、読まなかった。しかし同一作者の「絶叫」が良かったので読んでみた。

ミステリーとしてすごく面白かった。犯人を見つけるやり方。まさかそんなやり方があったとは。

そして介護の現実。単に現場が大変というだけでなく、ビジネスとしての側面、国の政策など考えさせてくれるネタが多い。

ミステリー文学大賞新人賞をとったということは小説としてはデビュー作ということになるけれど、初めての作品とは思えないほどに細部が作り込まれている。

ロスト・ケア (光文社文庫)

今日の一曲

ロスト・・・ だいぶ懐かしい曲、Air Supplyで"Lost In Love"



では、また。
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