15歳、フィンランドの俳優に似てると言われた巨体のアキこと、深沢暁。母親から虐待され吃音で苦労し、しかし職につくが・・・アキの友達は俺。普通の家庭に育ったと思っていた。父が死に、金銭的に苦しくなりながらも何とか大学を出て、テレビ番組の制作会社に入る。ここは地獄の一丁目・・・
凄まじい話だった。ヒエラルキーの中で上から下に下ろすハラスメント(テレビ局から制作会社へ、ディレクターからADヘ、富める者から貧しい者へ)や、貧困、虐待のオンパレード。
そして、文体もストーリーも西加奈子流の癖が今まで以上に強い。エンターテイメントとしてはただ読者が苦しいだけではダメなわけで、どこかで癒やされたり救われたりするわけだけれども、そのやり方も独特で、そしてその独特さが私はお気に入りなわけです。
某サイトで、西加奈子はテヘラン生まれカイロ育ちだから金銭的に困ったことがないはずだからどうのこうの、という記述を見かけた。そういう見方もあるのだろうけれど、そういった見方はあまり好きではない。作品はそれ単体で面白いかどうか判断すべきであって、その人のバックグラウンドがどうかなんて本来は関係ないはずである。しかし、そういう見方は、○○やらかした俳優だから観たくないとか、本人の演技力と関係ない所で判断する「ワイドショー的世界観」に支配されてる気がする。ただそういう人が尋常じゃないほど沢山いるということに驚く。
今日の一曲
Michael Jacksonのカバー。ウッドベースを弾きながら歌うという離れ業。石川紅奈で、"Off The Wall"
では、また。
Michael Jacksonのカバー。ウッドベースを弾きながら歌うという離れ業。石川紅奈で、"Off The Wall"
では、また。