七大陸最高峰 無酸素単独制覇を目指した栗城は2018 年にエベレストで亡くなる。彼の番組を作ろうとしたテレビディレクターが、栗城の真の姿に迫るドキュメント。
綿密な取材をもとにした渾身の一作。素晴らしい。何度もうーむと唸ってしまった。
読むと決めてる人は以下ネタバレするので、スルーして下され。
分かったことを箇条書きにすると、
1.彼はエベレストに登れるような実力はなかった。努力してから挑むというよりも、先に南西壁という超難関ルートから登るという「妄想」にかられていた。
2.「無酸素」と謳いながらどうも酸素を吸っていたようだ。
3.「単独」とは言えないような大人数のサポートを受け、自分で背負える荷物もシェルパに持たせたり、ザイルもシェルパに張ってもらっていた。
4.凍傷で手の指を失うが、事故ではなく、わざとやった可能性がある。
5.政財界のあちこちにコネを作り、クライマーというよりビジネスマンに近い。
6.スピリチュアル系にハマり、占い師にいつ頂上をアタックすべきか訊いていた。
7.メールの返信をしない、電話に出ない、当日ドタキャンをする。
こんな風にまとめてしまうと身も蓋もないが、著者は言葉を選びながら、故人の尊厳を傷つけないよう慎重に書いている。自分の近い知り合いに似た言動をする者がいて、ある種の「症候群」なのかも知れないと思った。
今日の一曲
フジファブリック feat.幾田りらで、「たりないすくない」
では、また。
フジファブリック feat.幾田りらで、「たりないすくない」
では、また。