ぼくが勤める会社がつぶれた。代わりに見つけたのは大学の助手。早く来て早く帰ることができるようになった。そして通うようになったたいやき屋。とても美味しく、そして働いているこよみさんと親しくするようになった・・・ こよみさんは事故に遭い、記憶を失ってしまう。高次脳機能障害で、一日前のことを忘れてしまうのだ。そんなこよみさんとぼくの日々は・・・
薄っぺらく、あっと言う間に読み終えてしまえる。しかし中身は濃い。
こよみさんが高校生のお客に言う。
ぼくは思う。
大好きな人の記憶が失われたら、我々はそうすればいいのだろう。
![静かな雨](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51vlM45J%2BpL._SL160_.jpg)
今日の一曲
タイトルそのまんま、稲葉浩志で「静かな雨」
では、また。
薄っぺらく、あっと言う間に読み終えてしまえる。しかし中身は濃い。
こよみさんが高校生のお客に言う。
「もし、今、役に立たないと思っても、勉強を放棄する理由にはならない。あたしたちは自分の知っているものでしか世界をつくれないの。あたしのいる世界は、あたしが実際に体験したこと、自分で見たり聞いたりさわったりしたこと、考えたりしたこと、そこに少しばかりの想像力が加わったものでしかないんだから」
ぼくは思う。
「可能性にこだわっているのは僕自身だ、と思った。こよみさんのことをよく知りもしないくせに、記憶ができなくなったというだけのことで、未来や将来や可能性といった嘘くさくてもぴかぴか光っているものを、こよみさんからはすでに失われてしまったものだと考えているのではないか。傲慢は僕だ」
大好きな人の記憶が失われたら、我々はそうすればいいのだろう。
![静かな雨](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51vlM45J%2BpL._SL160_.jpg)
今日の一曲
タイトルそのまんま、稲葉浩志で「静かな雨」
では、また。