アメリカ在住の菊枝おばさんが日本を旅行中に亡くなった。甥の小畑弦矢は病院や警察との対応をした。修善寺の温泉で亡くなったが事件性はなく、自殺でもないそうだ。おばさんの緊急連絡先にある、アメリカの弁護士に連絡すると、すぐにでもアメリカに来てくれとのことだった。アメリカの大学院を出ている弦矢は英語には困らない。菊枝おばさんの親友でもある弁護士スーザンに話を聞くと、おばさんは大金持ちであり、その遺産は弦矢のものだと言う。総額42億円・・・ おばさんの娘レイラは小さいときに亡くなったと聞いていた。しかしスーザンが言うには、亡くなったのではなく、6歳のときに行方不明になったそうだ。いまだに行方不明になっているレイラ。もしかすると遺産はレイラのものではないだろうかと考える弦矢。そして行方を捜してみる・・・
うううむ。宮本輝作品で読んだことのない展開。他の小説家の作品でもあまり読んだことない話。
これがまた実にいい。
大金持ちになってしまった弦矢という男がいい。弦矢が出会う人たちがまたいい。
そしてレイラの行方。ネタバレしたくないので言えないけれど、「なぜ?」の答えが出た瞬間鳥肌が立った。スゴイ。
そして、菊枝おばさんは「なぜ」そんなことをしたのか。それが分かった時、そしてそんなことをしたおばさんの気持ちに自分がなった時、(電車の中だったにもかかわらず)目頭が熱くなってしまった。
今日の一曲
亡くなったばかり、George Michaelで、"Careless Whisper"
では、また。
うううむ。宮本輝作品で読んだことのない展開。他の小説家の作品でもあまり読んだことない話。
これがまた実にいい。
大金持ちになってしまった弦矢という男がいい。弦矢が出会う人たちがまたいい。
そしてレイラの行方。ネタバレしたくないので言えないけれど、「なぜ?」の答えが出た瞬間鳥肌が立った。スゴイ。
そして、菊枝おばさんは「なぜ」そんなことをしたのか。それが分かった時、そしてそんなことをしたおばさんの気持ちに自分がなった時、(電車の中だったにもかかわらず)目頭が熱くなってしまった。
今日の一曲
亡くなったばかり、George Michaelで、"Careless Whisper"
では、また。
広告代理店の社員、映画好きな根本が、突然社命で映画製作に携わることになった。原作は大ベストセラー小説。しかし関係者の全員が、関わらない方がいいとアドバイスする・・・ トラブルに次ぐトラブル。原作者、プロデューサー、カメラマン、役者・・・ 映画製作の裏側を垣間見ながら、またさらに根本の個人的な事情が大きくストーリーに入り込んでくる・・・
おお。こりゃたまらん。
最初は登場人物の一部が、戯画的と言うのか、マンガ的と言うのか、ステロタイプな感じで、その程度の「分かりやすい」物語なのかと思って舐めていた。舐めながら読んでいた。
有名な役者や監督や作品のことを指しているのだろうけれども、別の固有名詞に変えて表現している様々な蘊蓄がなかなか楽しい。
しかししかし、マンガ的だと思っていた人物たちがどんどん勢いをつけて演じだしてきた。たぶん物語そのものが面白くなってくるからだと思う。
そしてラスト。どうせそういうことになるんでしょ?(未読の読者が想定する、そうなるんでしょ?というラストとは違うラスト) 多少想定とは違うものの、衝撃はない。良かったけれど。しかしラストの後に別のラストがある。
これにはやられた!素晴らしい小説だった。
追記: 先日EXILEのメンバーが北海道で事故に遭い、公演が中止になってしまったそうだけれど、まるでそれが予言されているようなことが、この本にも出てくる。ちょっと鳥肌が立った。
今日の一曲
本と関係ある曲が浮かばない。the brilliant greenで、「There will be love there -愛のある場所」
懐かしい。そしてTommyは今どうしているのだろうか。では、また。
おお。こりゃたまらん。
最初は登場人物の一部が、戯画的と言うのか、マンガ的と言うのか、ステロタイプな感じで、その程度の「分かりやすい」物語なのかと思って舐めていた。舐めながら読んでいた。
有名な役者や監督や作品のことを指しているのだろうけれども、別の固有名詞に変えて表現している様々な蘊蓄がなかなか楽しい。
しかししかし、マンガ的だと思っていた人物たちがどんどん勢いをつけて演じだしてきた。たぶん物語そのものが面白くなってくるからだと思う。
そしてラスト。どうせそういうことになるんでしょ?(未読の読者が想定する、そうなるんでしょ?というラストとは違うラスト) 多少想定とは違うものの、衝撃はない。良かったけれど。しかしラストの後に別のラストがある。
これにはやられた!素晴らしい小説だった。
追記: 先日EXILEのメンバーが北海道で事故に遭い、公演が中止になってしまったそうだけれど、まるでそれが予言されているようなことが、この本にも出てくる。ちょっと鳥肌が立った。
今日の一曲
本と関係ある曲が浮かばない。the brilliant greenで、「There will be love there -愛のある場所」
懐かしい。そしてTommyは今どうしているのだろうか。では、また。
祖母と二人で娘三人を育ててくれた母が失踪した・・・ 三女紬は就職してから5年は実家に帰っていない。東京で一人暮らし。ファッションメーカーで頑張っているが、同期のマナミに色々なことを真似されて不愉快な気持ちでいる。次女麻弥は倉庫会社で働いている。19歳で家を飛び出してもう17年。独身寮にいるのでお金はかからないが男のように扱われている。長女絹代が家を出たのは22年前、都内の大学に進学したとき。あの家を出るために、懸命に勉強して、奨学金を得ることができた。就職した商社で夫を見つけ、高層マンションに住み、娘一人・・・ 失踪した母が、東京の紬のもとにやって来た。自分は山姥になったと言う・・・
「本の雑誌」で薦められていて読んでみた。意外な収穫。
娘三人にそっぽを向かれるような母。その育て方に問題があったのかどうか、色々考えさせられる。ずっとパッチワークを作ってあげていたのだけれど、それは娘たちにどう評価されていたのか。
娘三人はそれぞれに問題を抱えているのだけれど、その立ち向かい方も色々思わされる。
そして、「山姥」なったという母。紬からすると母のように見えるのだが、なんだか違和感がある。これが一番の読みどころ。謎は解けるのだけれど、面白かった。
パッチワークを通した、家族とその再生の物語。
今日の一曲
本とは無関係。Donald Fagenで、"New Frontier"
では、また。
「本の雑誌」で薦められていて読んでみた。意外な収穫。
娘三人にそっぽを向かれるような母。その育て方に問題があったのかどうか、色々考えさせられる。ずっとパッチワークを作ってあげていたのだけれど、それは娘たちにどう評価されていたのか。
娘三人はそれぞれに問題を抱えているのだけれど、その立ち向かい方も色々思わされる。
そして、「山姥」なったという母。紬からすると母のように見えるのだが、なんだか違和感がある。これが一番の読みどころ。謎は解けるのだけれど、面白かった。
パッチワークを通した、家族とその再生の物語。
今日の一曲
本とは無関係。Donald Fagenで、"New Frontier"
では、また。
ドイツミステリー。ヘンリー・ハイデンはベストセラー作家。自分を見出してくれた編集者のベティと不倫関係にある。するとベティが妊娠したと言ってきた。ちっとも嬉しくない。ベティを殺してしまおうか。それとも妻のマルタが邪魔だろうか・・・ マルタと俺しか知らない秘密。それは俺の小説はすべてマルタが書いているということなのだ・・・ 俺の過去は誰も知らないはずだ。母の失踪、父の死亡事件。しかし俺の過去を探っている奴がいる・・・
ううむ。評価するのが難しい。
「悪徳小説家」であるヘンリー。嫌な野郎かと思うとそうとも言えない。ある程度さっぱりしていて、感情移入できるところもある。
意外なストーリー展開もある。
ただ、やっぱり泥酔しながら読んだんで、途中よく分からないというのが本音なのだ。ワッハッハ。
え?お前なんて死んでしまえって思った?
今日の一曲
Molly Nilssonで、"I Hope You Die"
では、また。
ううむ。評価するのが難しい。
「悪徳小説家」であるヘンリー。嫌な野郎かと思うとそうとも言えない。ある程度さっぱりしていて、感情移入できるところもある。
意外なストーリー展開もある。
ただ、やっぱり泥酔しながら読んだんで、途中よく分からないというのが本音なのだ。ワッハッハ。
え?お前なんて死んでしまえって思った?
今日の一曲
Molly Nilssonで、"I Hope You Die"
では、また。
アイはシリアで1988年に生まれた。アメリカ人の夫と日本人の妻の夫婦の養子になり、ニューヨークにやって来た。父親の仕事の関係で、中学から日本に住むことになった。勉強のできるアイは内向的で、いつも考えてばかりいた。そして高校に入ると、数学教師は言った。「この世界にアイは存在しません」 虚数のiは存在しないということらしい。この言葉と自分自身を重ね合わせてしまう・・・ そして、世界中で起こる、災害などで死ぬ人のことをいつも考えるようになってしまった・・・ 大学入学、親友、そして恋・・・
ううむ。さすが西加奈子。相変わらず加奈子節が炸裂している。
まず、何がテーマだか説明できない。(それがいつもの加奈子)
でも西加奈子が何を訴えかけようとしているかは、ひざひざと、いや、ひじひじと、間違えた、ひしひしと伝わってくる。
強烈な「アイデンティティ小説」とでも言えばよいだろうか。あるいは、「罪悪感小説」だろうか。ある程度、女性だからこそのアイデンティティという部分はあると思うので、男性でも誰でも感じるアイデンティティの喪失問題じゃないし、また普遍的に誰でもあ感じる罪悪感とも違う。ある種の特殊な人間たちが抱える問題を浮き彫りにしている。
西加奈子の小説は、「いつでも、だれでも、どこでも」あり得るような普遍的な事件や人物や状態を描くのではなく、ある種「西加奈子の脳内以外では絶対にないだろう」ような話が描かれる。まるでピカソやゴッホの絵のように。
それがいいのだ。
今日の一曲
「アイ」で始まるタイトルの曲。尾崎豊で、"I LOVE YOU"
尾崎豊って全然好きじゃなかった、現役だった頃。何だか新興宗教の教祖様みたいで、信者たちが持ち上げてるような感じだった。だから全然曲をちゃんと聴く気になれなかった。それからしばらくしてからちゃんと聴くようになったら、何という才能が亡くなったんだろうと思った。それから聴き、そしてカラオケで歌うようになった。では、また。
ううむ。さすが西加奈子。相変わらず加奈子節が炸裂している。
まず、何がテーマだか説明できない。(それがいつもの加奈子)
でも西加奈子が何を訴えかけようとしているかは、ひざひざと、いや、ひじひじと、間違えた、ひしひしと伝わってくる。
強烈な「アイデンティティ小説」とでも言えばよいだろうか。あるいは、「罪悪感小説」だろうか。ある程度、女性だからこそのアイデンティティという部分はあると思うので、男性でも誰でも感じるアイデンティティの喪失問題じゃないし、また普遍的に誰でもあ感じる罪悪感とも違う。ある種の特殊な人間たちが抱える問題を浮き彫りにしている。
西加奈子の小説は、「いつでも、だれでも、どこでも」あり得るような普遍的な事件や人物や状態を描くのではなく、ある種「西加奈子の脳内以外では絶対にないだろう」ような話が描かれる。まるでピカソやゴッホの絵のように。
それがいいのだ。
今日の一曲
「アイ」で始まるタイトルの曲。尾崎豊で、"I LOVE YOU"
尾崎豊って全然好きじゃなかった、現役だった頃。何だか新興宗教の教祖様みたいで、信者たちが持ち上げてるような感じだった。だから全然曲をちゃんと聴く気になれなかった。それからしばらくしてからちゃんと聴くようになったら、何という才能が亡くなったんだろうと思った。それから聴き、そしてカラオケで歌うようになった。では、また。
赤羽で金持ちの独居老人が殺害された。推定される殺害時刻にその家周辺にいたという状況証拠だけで、赤羽警察署はフリーの家事代行業の女山本美紀に事情聴取しようとする。するとマンションの下に警察らしき車が。埼玉県警大宮署だった。なんと山本は、1年半前に大宮で起こった事件に関わっていたとされていたのだった。警視庁も埼玉県警も、先に手柄を立てたい。ゆえに、どちらも状況証拠しかないのにもかかわらず、先に逮捕しようとする。先行したのは県警・・・ 山本容疑者の後半までを描く・・・
うーん。悪くはない。しかしものすごく面白かったというほどでもない。
警察の捜査の進め方、送検の仕方、弁護士の手配、公判、傍聴といった刑事事件のもろもろのプロセスは丁寧に描かれていて、それを「学習する」小説だと言えなくもない。
ただ、山本美紀が語ろうとしない過去とか、ラストとか楽しめる場面はたくさんある。ので、評価に困る作品だった。
今日の一曲
本とは関係なく。水曜日のカンパネラで「フェニックス」
では、また。
うーん。悪くはない。しかしものすごく面白かったというほどでもない。
警察の捜査の進め方、送検の仕方、弁護士の手配、公判、傍聴といった刑事事件のもろもろのプロセスは丁寧に描かれていて、それを「学習する」小説だと言えなくもない。
ただ、山本美紀が語ろうとしない過去とか、ラストとか楽しめる場面はたくさんある。ので、評価に困る作品だった。
今日の一曲
本とは関係なく。水曜日のカンパネラで「フェニックス」
では、また。
現役の医師が描く認知症の世界。幸造79歳、妻に先立たれ一人暮らし。息子夫婦と娘夫婦とは別に暮らしている。息子知之の妻雅美は認知症の老人が徘徊して線路に入り列車にはねられ死亡した事件で、遺族が損害賠償を求められたという事件を目にしてから義父のことが気になり始めた。幸造は息子たちに知られないようにしていたが、実は迷子になったり、車をぶつけたりしていた。そして本格的に認知症らしい症状が出始めた・・・
うーむ。ものすごくリアルな認知症家族物語。読みやすい。ズドンと重いものと、清々しさの両方が残る。
超高齢化社会。今の子供が中年になる頃には、テレビは高齢者向け番組ばかりになり、本もインターネット上の記事も、ディズニーランドもすべて高齢者向けのものばかりになるのかも知れない。そんな社会がいい社会かどうかは分からないが(すべてを医療の発達のせいにしたくなるけれど、それも正しいかよく分からない。医療の発達がいけないのなら、科学技術の発展もすべていけないということになるけれど・・・)
しかし、認知症。家族がなるのも自分がなるのも怖い。とっても怖い。
久坂部羊らしい、全体的にブラックな感じだけれども、そういうことに寛容な人で認知症とか介護に関心のある人は必読。ラストもよかった。
今日の一曲
おじさん、もしくはおじいちゃんが頑張っている。英国のタレント発掘番組Britain's Got Talentに登場した、Old Men Grooving
では、また。
うーむ。ものすごくリアルな認知症家族物語。読みやすい。ズドンと重いものと、清々しさの両方が残る。
超高齢化社会。今の子供が中年になる頃には、テレビは高齢者向け番組ばかりになり、本もインターネット上の記事も、ディズニーランドもすべて高齢者向けのものばかりになるのかも知れない。そんな社会がいい社会かどうかは分からないが(すべてを医療の発達のせいにしたくなるけれど、それも正しいかよく分からない。医療の発達がいけないのなら、科学技術の発展もすべていけないということになるけれど・・・)
しかし、認知症。家族がなるのも自分がなるのも怖い。とっても怖い。
「有吉佐和子の『恍惚の人』には、認知症の避ける唯一の方法が書いてある。答えはずばり、長生きせえへんことや」
「なるほど。長生きというのは、頭と身体が老化しているのに、死なないってことだもんな」
「元気で長生きというのは、現実味の薄いお題目や。安くてうまいとか、楽にやせるみたいな。ははは」
「なるほど。長生きというのは、頭と身体が老化しているのに、死なないってことだもんな」
「元気で長生きというのは、現実味の薄いお題目や。安くてうまいとか、楽にやせるみたいな。ははは」
久坂部羊らしい、全体的にブラックな感じだけれども、そういうことに寛容な人で認知症とか介護に関心のある人は必読。ラストもよかった。
今日の一曲
おじさん、もしくはおじいちゃんが頑張っている。英国のタレント発掘番組Britain's Got Talentに登場した、Old Men Grooving
では、また。
良介は45歳。妻に先立たれたばかり。大学生の娘と高校生の息子がいる。突然思い立って会社を辞めてしまった。妻の生命保険の金でしばらく暮らしてみる。息子は高校を辞めたいと言い始めた・・・ 四年前まで不倫関係にあった日出子が能登に帰っていたと聞いていたので、彼女に会いに行った・・・ 日出子は昔イタリアに行ったことが忘れられない。当時六歳だった男の子は精神薄弱だった。その子に約束した。自分がお金も日なったら、あなたをローマに連れて行ってシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの壁画を見せてあげると・・・ 良介の親友は内海。奥さんとの間には子供はいない。愛人が妊娠してしまった。しかも生みたいと言っている・・・ 良介は内海から大垣老人を紹介された。こんな風にありたいと思うような理想的な穏やかな老人だった。しかしそんな大垣老人から手紙のコピーが送られてくる。自分がいかに汚い人間だったかを証明するような・・・
ううむ。ううむ。やはり、やっぱり輝はいい。本当にいい。
何がテーマの小説なのか、って訊かれると困る。よく分からないのだ。しかしストーリーも、台詞もすごくいい。身につまされること多し。考えさせられること多し。あえて言うなら、中年男の再生の物語だろうか。
確かに。
首がもげるほどうなづく。
女ってそうなのかな・・・そうかも知れない。
確かに確かに。
この登場人物としてはサブキャラの大垣老人の人生が、実はもっとも身につまされた。自分さえ良ければいい=それって俺のことではないか!
大垣老人=俺のことだ。
などと勝手に自分と同化させる楽しみ(苦しみ)もあった。
今日の一曲
日出子の気持ちを歌っているような気がしなくもない。Led Zeppelinで、"Dazed And Confused"
デンマークのラジオ番組の収録らしい。ジョン・ボーナムのドラムの迫力。ジミー・ペイジのセクシーなギターが見える。では、また。
ううむ。ううむ。やはり、やっぱり輝はいい。本当にいい。
何がテーマの小説なのか、って訊かれると困る。よく分からないのだ。しかしストーリーも、台詞もすごくいい。身につまされること多し。考えさせられること多し。あえて言うなら、中年男の再生の物語だろうか。
「まったく困ったもんだな、日本の教育ってのは。自分の考えを、自分の言葉で喋れない人間ばかり養成しているわけだ」
確かに。
「日本て、すごく大切な何かをお金で売り渡したのね。どこの誰に売り渡したのかはわからないけど」
首がもげるほどうなづく。
「女って、たとえば、何か失敗したとか、自分のやったことが間違ってるって気がついても、絶対にそれを口に出して認めたがらないんですって」
女ってそうなのかな・・・そうかも知れない。
「人間は、恋愛から、じつに多くのものを学ぶ。多くのものを学んで、それを、いろんな形で、いつのまにか、自分の豊かさに取り入れる人と、ただ傷つくだけで、傷だけを刻む人がいるんだと思うね」
確かに確かに。
「幸福になるために生まれたのに、どうして、物事を、不幸に、ややこしく、複雑にしていくだろう」
「明るく振舞うことの凄さ。感謝する心の大切さ。いつのまに、人間どもは、そんな極意みたいなことを、陳腐でお説教臭い、子供じみた言葉として、あざ笑うようになったんだろうな。なにかにつけて、簡単なことを実践できないくせに、複雑なことをありがたがる」
「私は、相手に、それは妻であれ、友人であれ、愛人であれ、自分にとって都合のいい一面だけを受け入れて、それ以外の部分とは寄り添おうとはしなかった……」
この登場人物としてはサブキャラの大垣老人の人生が、実はもっとも身につまされた。自分さえ良ければいい=それって俺のことではないか!
「あの手紙に書かれてあったとおり、私は冷血漢です、私には、同情の心とか、相手を思いやる心が欠落しています。そのことを一番よく知っているのは、この私自身です」
大垣老人=俺のことだ。
などと勝手に自分と同化させる楽しみ(苦しみ)もあった。
今日の一曲
日出子の気持ちを歌っているような気がしなくもない。Led Zeppelinで、"Dazed And Confused"
デンマークのラジオ番組の収録らしい。ジョン・ボーナムのドラムの迫力。ジミー・ペイジのセクシーなギターが見える。では、また。
1941年生まれ、広島で被爆し左足に障害が残りながらも、サッカーで東京教育大から日本リーグの東洋工業(現マツダ)でプレーし、日本代表にもなった今西和男。彼の足跡を追ったドキュメント。
現役を引退した後は、東洋工業の7500人もいる寮の寮長をして評価され、チームが2部リーグに降格したときには、監督の就任を依頼される。しかし自分は総監督という立場になって、監督は別の外国人に頼んだ方がいいと考えて選んだのは、あのハンス・オフト(後に日本代表の監督になる)
その後、Jリーグが出来て、サンフレッチェ広島になった時も、強化部長兼総監督として活躍する。特に育成に定評があり、選手の引退後の面倒もよくみた。
しかし2007年FC岐阜のGMに就任してからは不運に見舞われる。選手もチームも評判がよくなく、2億以上の累積債務があった。それでも立て直しに奔走する今西。でも岐阜県もJリーグも冷たくて・・・
素晴らしいドキュメントだった。
前半で描かれる今西の人となり。頭が下がる。
後半のFC岐阜の話。怒りがこみ上げる。こんな話があったとは知らなかった。
今日の一曲
特に本とは関係なく、Florida Georgia Lineで、"H.O.L.Y."
では、また。
現役を引退した後は、東洋工業の7500人もいる寮の寮長をして評価され、チームが2部リーグに降格したときには、監督の就任を依頼される。しかし自分は総監督という立場になって、監督は別の外国人に頼んだ方がいいと考えて選んだのは、あのハンス・オフト(後に日本代表の監督になる)
その後、Jリーグが出来て、サンフレッチェ広島になった時も、強化部長兼総監督として活躍する。特に育成に定評があり、選手の引退後の面倒もよくみた。
しかし2007年FC岐阜のGMに就任してからは不運に見舞われる。選手もチームも評判がよくなく、2億以上の累積債務があった。それでも立て直しに奔走する今西。でも岐阜県もJリーグも冷たくて・・・
素晴らしいドキュメントだった。
前半で描かれる今西の人となり。頭が下がる。
後半のFC岐阜の話。怒りがこみ上げる。こんな話があったとは知らなかった。
今日の一曲
特に本とは関係なく、Florida Georgia Lineで、"H.O.L.Y."
では、また。
群馬県で16年前に発生した幼女殺人事件。容疑者は逮捕され、刑務所に行った。担当の刑事神場はあれは冤罪ではなかったのかと疑いながら定年退職した。そして妻と四国のお遍路をしている。そんな最中、養女の殺人事件が群馬で起こった。神場は16年前の真犯人がまた犯行に及んでいるのではないかと考える。お遍路の最中、並行して描かれる群馬での捜査はなかなか進まない。神場の娘の交際相手は刑事をしていて事件を担当しているので、進捗状況を教えてもらえる。お遍路しながら、推理する・・・
お遍路+刑事ミステリー
ミステリーというよりも、人情ドラマと言ったほうがいいだろうか。
謎解きよりも、冤罪を許さない刑事たちの熱い闘い、そんな感じだった。悪くない。
今日の一曲
慈雨。雨の歌。玉置浩二で「雨」
では、また。
お遍路+刑事ミステリー
ミステリーというよりも、人情ドラマと言ったほうがいいだろうか。
謎解きよりも、冤罪を許さない刑事たちの熱い闘い、そんな感じだった。悪くない。
今日の一曲
慈雨。雨の歌。玉置浩二で「雨」
では、また。
戦争の始まる少し前の広島で育った浦野すずはちょっとぼうっとした女の子。呉に嫁に行った。軍港がある。義父と夫は海軍に勤めている。戦争中の淡々とした生活。そして戦争に翻弄される生活・・・
素晴らしい映画だった。
悲惨な時代を、ややほのぼのと描く。ありそうでなかった映画。主人公すずの声は元能年玲奈の、のんが担当。これがまたいい。彼女の声と、すずのキャラクターがぴったり合う。
さらに瀬戸内海の景色が実に素敵だ。
そしてストーリーもいい。ラスト近辺で意外な展開。実写ではなく、アニメだからこそ出せる味があちこちにあった。観てよかった。
素晴らしい映画だった。
悲惨な時代を、ややほのぼのと描く。ありそうでなかった映画。主人公すずの声は元能年玲奈の、のんが担当。これがまたいい。彼女の声と、すずのキャラクターがぴったり合う。
さらに瀬戸内海の景色が実に素敵だ。
そしてストーリーもいい。ラスト近辺で意外な展開。実写ではなく、アニメだからこそ出せる味があちこちにあった。観てよかった。