「輝く日の宮」丸谷才一 講談社 2003年
日本文学の研究者、杉安佐子を中心に進む物語。0章では、安佐子の書いた小説で官憲に追われる極左の学生の話を。1章では安佐子の父親の誕生日に集まった家族の話。2章では安佐子による学会での発表。3章では1987年から1996年にかけての安佐子の男との出逢いを。4章ではシンポジウム「日本の幽霊」5章から7章は、源氏物語にあったかも知れない「輝く日の宮」の話。という具合に章ごとにめまぐるしく変わる不思議な小説…
途中まではよく分かったし、非常に面白かった。
幕末までは日本はきれいだったのにその後きたなくなってしまったとして、
てな感じ。
しかし、源氏物語の素養がないので、後半は十分には楽しめなかった。これは小説のせいではなく私自身の問題。
なので、長年読まないままでいた源氏物語を読もうと思う(と以前ここに書いたような気がしないでもない…)
では、また
日本文学の研究者、杉安佐子を中心に進む物語。0章では、安佐子の書いた小説で官憲に追われる極左の学生の話を。1章では安佐子の父親の誕生日に集まった家族の話。2章では安佐子による学会での発表。3章では1987年から1996年にかけての安佐子の男との出逢いを。4章ではシンポジウム「日本の幽霊」5章から7章は、源氏物語にあったかも知れない「輝く日の宮」の話。という具合に章ごとにめまぐるしく変わる不思議な小説…
途中まではよく分かったし、非常に面白かった。
幕末までは日本はきれいだったのにその後きたなくなってしまったとして、
「西洋文化のせいだな。二種類の文化をまぜるとき、美といふものを捨てて、便利のほうだけを気にした」
「文明開化、まづかったのね」
「仕方なかったんだな。何しろ急な話だから。とにかく便利なほうがいいと……人間の本性だから。冷房だつてさうさ。これで助かることは助かる。大助かりだが、風情は失せる」
「公害も」
「街の気温、ぐつとあがる。でも、まあ、仕方ない。戦争だって、もし戦争がなければ、人口があふれて収拾つかなくなる。人口政策とか、産児制限とかいふけどね。むづかしい。結局、一番ききめがあるのは戦争だつた。戦争のおかげ、疫病のおかげで、何とか持つてきた。それがつまり人間の歴史」(単行本160頁より引用)
「文明開化、まづかったのね」
「仕方なかったんだな。何しろ急な話だから。とにかく便利なほうがいいと……人間の本性だから。冷房だつてさうさ。これで助かることは助かる。大助かりだが、風情は失せる」
「公害も」
「街の気温、ぐつとあがる。でも、まあ、仕方ない。戦争だって、もし戦争がなければ、人口があふれて収拾つかなくなる。人口政策とか、産児制限とかいふけどね。むづかしい。結局、一番ききめがあるのは戦争だつた。戦争のおかげ、疫病のおかげで、何とか持つてきた。それがつまり人間の歴史」(単行本160頁より引用)
てな感じ。
しかし、源氏物語の素養がないので、後半は十分には楽しめなかった。これは小説のせいではなく私自身の問題。
なので、長年読まないままでいた源氏物語を読もうと思う(と以前ここに書いたような気がしないでもない…)
では、また
![輝く日の宮 (講談社文庫)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/518RSTEMAZL._SL160_.jpg)