頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『母の日に死んだ』ネレ・ノイハウス

2021-12-30 | books
シリーズベスト級。孤児を受け入れていたラインフェラート家の年老いたテオが死んだ。調べると犬のケージからラップフィルムに包まれた遺体が3体。テオが連続殺人鬼なのか?

すごく時間がかかった。しかしその甲斐あり。

登場人物の多さ、被疑者の多さ。それを正当化するどんでん返しアンドどんでん返し。素晴らしい。

下に自分用のネタバレあり。

 

今日の一曲

Sabrina Claudioで、"Tell Me"




※自分用ネタバレ

犯人は、孤児院で育ち、子供を捨てた母親を憎み、テレビで子供を捨てたことを話した母親を連続して殺した。刑事ピアの妹キムも実はレイプされた子を、親友の産婦人科医を通して、不妊のカップルにあげてしまっていた。そのため犯人に狙われた。

では、また。




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『二人の嘘』一雫ライオン

2021-12-28 | books
東大法学部首席、東京地裁判事、10年に1人の逸材、そして美貌の片陵礼子。傲慢で嫉妬深い弁護士の夫の両親の料理まで作らされ多忙な日々。地裁の前で毎朝立っている男がいると知る。気づけば2009年裁判員裁判がはじまったばかりの頃、傷害致死で懲役4年の判決を下した被告の蛭間隆也だった。いけないと知りつつ蛭間に接触すると・・・

意外なほど良かった。メロドラマっぽい臭さはするのだけれど、それが嫌じゃない。それだけ自分が歳をくったのだろうか。

 

今日の一曲

TOKYO GROOVE JYOSHIで、"Funk No.1"



では、また。



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『一度きりの大泉の話』萩尾望都

2021-12-26 | books
少女漫画はほとんど読まないが名前は知ってる萩尾望都と竹宮惠子。1970年から練馬の大泉で共同生活を送っていたが、1973年にバラバラになる。以降萩尾は竹宮と一切連絡をしていない。理由について一切語っていなかったが、最近大泉時代について質問されたり、ドラマ化したいという話が多くあるので、ここでそれを説明する。プラスそれ以前以後の漫画家としての自伝。

うーむ。人と人の齟齬は色々あるけれど、その中でもかなりエグいモノを見せてもらった。興味深く読んだ。漫画家生活の話も面白かった。「ポーの一族」読んでみたい。

こんな一節が気になった。

私は何か言われて、不快でも反論せずに黙ってしまう癖があります。それは不快という艦上と共に、強い怒りが伴うので、自分で自分の感情のコントロールができなくなってしまうのです。感情は熱を持ち、一気に暴走列車のようになり、自分で持て余してしまいます。この感情はきっと大事故を起こす。怖くなって、押さえ込み、黙ってしまう方を取ります。冷静に反論する練習をすればよいのでしょうが、なかなかうまくいきません。

黙ってしまうという人の気持ちが少し分かった気がする。

 

今日の一曲

A_oで、"BLUE SOULS"


では、また。

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店名にツッコんでください277

2021-12-24 | laugh or let me die
店名にツッコんでください277
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『失われた岬』篠田節子

2021-12-22 | books
親しくしてた友達夫婦が急に質素な暮らしを始め、そして行方不明になった。ノーベル文学賞を受賞した作家が授賞式直前に行方不明になった。調べてみると、北海道の人里離れた所に鍵があるらしい。

スピリチュアル小説なような、現代に充分に起こり得る予言的小説のような。面白いと思う人とつまらないと思う人が両極端にありそう。

私は凄く気に入った。瞑想やマインドフルネスといった心的なことにすごく興味を持っているのと、人が生きる意味なんてないだろうと思ってるのが作者の世界観と合致した感じがした。

 

今日の一曲

milet×Aimer×幾田りらで、「おもかげ」


では、また。


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『おはようおかえり』近藤史恵

2021-12-20 | books
実家の和菓子屋で働く小梅。跡を継がないと行けないのかと漠然と不安。妹つぐみは大学でアラビア語を勉強していて、エジプトに留学したがってるが、母は反対してる。妹がちょっと変になってしまった。曾祖母さんが乗り移って和菓子を作り、そして自分が書いた手紙を回収して欲しいと言い始めた。曽祖父は愛人宅で亡くなったのだが、その直前に自分は彼に手紙を渡した。遺品になかったのできっと愛人が持ってるに違いないと言い張る。

不思議だけど妙にリアル。傑作とまではいかないけど、一日で読めた。大人のライトノベルかな。

 

今日の一曲

King Gnuで、「一途」



では、また。



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『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン

2021-12-18 | books
停職中の刑事ワシントン・ポーの名前が焼死体に刻まれ、職務に復帰。連続殺人の被害者の共通点は裕福だというだけで、接点が見つからない。天才だが他人とうまく接することの出来ないティリー・ブラッドショーがデータ分析してくれると段々とおぞましい事実が分かってくる。

二人の抜群のコンビネーション、推理していくプロセス、動機、全てが好みだった。

下にネタバレあり。

 

今日の一曲

Bob Jamesによるカバー。"Feel Like Making Love"と"Night Crawler"





※自分用ネタバレ

犯人は刑事。児童養護施設にいた時に職員に売られ、中年男性たちの餌食になった。他の三人の少年はストーンサークルで殺されたが自分は逃げた。その復讐として殺した。ただ殺しただけだと自分の動機が明らかにならないまま闇に葬りされそうなので、しつこく捜査するポーを引込むため名前を刻んだ。

では、また。



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『星を掬う』町田そのこ

2021-12-16 | books
芳野千鶴、パン工場勤務。元夫から暴力を振るわれ金を奪われるどん底の日々。小さい時に母親に捨てられた経験をラジオに投稿したら採用された。そして母を知る人から連絡が・・・

凄いスゴすぎる。考えさせられ心をブン回された。対人関係に悩む人2021年必読本。


※以下軽くネタバレ 読むと決めてるのなら以下読む必要なし。

千鶴は、母親のアパートに越す。そこはトラウマを抱える人たちがいた。娘に捨てられた母、男に捨てられた妊婦、見た目は美しいのに鬱屈とした内面の美容師、そして認知症になった千鶴の母。共同生活から見えてくるものは。

認知症の悲惨さみたいなものよりも、自分の不幸を他人(特に母親)のせいにしてきたことに気づくことの大切さが、すごく心を打った。

 

今日の一曲

chelmicoで、「三億円」


では、また。

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『輝山』澤田瞳子

2021-12-14 | books
江戸時代、石見銀山の代官に赴任した岩田の身辺を探れと命じられた中間の金吾。銀山で働く危険性や人情を知り、成長してゆく。

激しく面白かった。登場人物がすごく多いので、最初混乱したがじきに慣れた。

銀山の経営とか、江戸幕府内の権力闘争や恋愛話などたっぷり詰め込まれており、コスパがいいと言えば良いだろうか。(本などのエンターテイメントにコスパを求めるのは変か)

 

今日の一曲

銀だけに、ゴダイゴで、「銀河鉄道999」




では、また。


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『民王 シベリアの陰謀』池井戸潤

2021-12-12 | books
首相武藤泰山に試練。マドンナと呼ばれる高西大臣が謎のウィルスに感染。国民の間で不安が広がる。感染爆発は防げるのか・・・

新型コロナ禍で登場するキーワード、展開がかなり出て来るので、いい意味で復習、悪い意味で新味やや少な目。東京の新規感染者数とかPCR検査とかワクチンとか。

キーワードはマンモス。その辺りに風味を感じられれば傑作、でなければ駄作。私の場合その中間辺りだった。

 

今日の一曲

Roger Watersで、"The Last Refugee"


では、また。

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店名にツッコんでください276

2021-12-10 | laugh or let me die
店名にツッコんでください276
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『三人寄れば無礼講』清水ミチコ

2021-12-08 | books
清水ミチコ+二人の鼎談集。めちゃくちゃ面白かった。

森山良子が来た時は、娘の夫がおぎやはぎの小木で、もう一人のゲストは矢作。二人による小木論とか、脳の専門家池谷先生の誤嚥メカニズムの解説とか、人類の進化とか、精神科医の名越先生の仏教的生き方とか、動物愛護団体の友森氏による、赤ちゃんのうちに売りにだすペットショップの売り方のイケないこととか、読み応えありまくり。

池谷先生曰く、「誤嚥て、お年寄りが餅を気道にべっとり詰まらせて窒息するものだと思ってた。しかし、実は気道と食道の分かれ道にスイッチのようなものがあって、そこに食べ物が触れると、気道が息を吐くモードになって、咳き込む。それで異物をはきだす。食べ物がそこをどかない限り、気道はふさがってないですのに、息は吸えない。だから亡くなってしまう」んだそうだ。

また、名越先生曰くは、「最近お母さんで虫を嫌悪する人が多いのに、心配。虫を怖がる=外界、自然をコワがる。自然が自分を侵害してると考えるのは、神経症の温床である。子供にいいはずがない、子供こそ、自然と戯れるべきだ」

 

今日の一曲

三人と言えばトリオ。トリオと言えば、大橋トリオ。ということで、大橋トリオ duet with 上白石萌音で、「ミルクとシュガー」



上白石萌音は朝ドラで主役になった。「情熱大陸」で彼女を特集した回は録画したのをまだ消せないでいる。何回か観なおしていて。私にとって究極の癒し系なのかも知れない。裏表のない彼女がすごく好きだ。キモイとか言うな。では、また。


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『物理学者のすごい思考法』橋本幸士

2021-12-06 | books
物理学者が日常、どのように考えるか、読みやすく、ユーモアたっぷりに書いたエッセイ。

物凄く面白かった。

家で餃子を作っていた時に、このペースだと皮が足りなくなる。どうすればよいか物理学的に考えたり、エスカレーターの片側を空ける習慣を無くすにはどうしたらいいか考えたり。

自分とは次元の違う人の脳の中を見た感じだった。偉ぶらない人柄も伺えた。

 

今日の一曲

David Bowieで、"Black Tie White Noise"


では、また。


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『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』原田ひ香

2021-12-04 | books
母から送られる小包をテーマにした女性が主人公の短篇集。

すごく良かった。

上京した大学生の話、結婚して専業主婦になったら母から執拗に仕事を持てと言われる話や、送られてきた野菜が実家から送られてきたと嘘つく話など。

人間てやっぱりいいもんですねーと再確認できる話ばかり。

 

今日の一曲

Stereophonicsで、"Do Ya Feel My Love?"



では、また。


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『夜と少女』ギョーム・ミュッソ

2021-12-02 | days
フランス、92年に美しい女子高生ヴィンカと教師が失踪した。駆け落ちしたと思われていた。そして2017年、後に作家になりニューヨークに住むトマが慌てて故郷に帰って来た。高校の体育館が建て替えになるからだ。それは・・・

途中でダレてしまって中断したのだけれど、我慢して後半に入ったら、真相が二転三転し面白くなった。○○だと思っていたことがどんどんと覆された。

 

今日の一曲

Vaundyで、「踊り子」



では、また。


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