「水底フェスタ」辻村深月 文藝春秋社 2011年(初出別冊文藝春秋2010年1月号~2011年5月号)
高校生広海。毎年夏ロックフェスが開催される陸ツ代村で暮らす。温厚な父親は村長。フェスを誘致できてから、村の活気が出てきた。広海のことが好きな同級生門音、彼女のことが好きな市村。恋はそう簡単に始まらない。村出身で元モデルの女優、織部由貴美が戻ってきた。広海と由貴美のあやうい出会いがもたらすものは…
なんと言うか、男子高校生のヴィヴィッドで瑞々しい感性が内面が上手に描かれ、頁をめくる手が止まらない。
かなり悪質な不良、達哉が出て来ても、いったいストーリーがどう進むのか見当もつかなかった。しかし彼の登場が後で重要な意味を持つ。その辺も巧い。
復讐が一つのキーワードになる。最初は不自然なエピソードが入ってきた違和感を感じたが読み進めていけば、問題なし。
辻村深月ってこういう作品を書く作家なんだとあらためて、他の作品を読もうと思った。
ついでながら、前からロックフェスって行きたいと思っていて一度も行った事がないのだが、これを読んであらためてぜひ来年行ってみたい、そう思った。
では、また。
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