頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

人はどうして労働するのかとかSFとか勝間和代がキレイとか

2009-12-19 | digital, blog & twitter

我らが内田樹おじさんが、12月16日のエントリーでいいことを書いておられる。どっかで読んだ気がするけど、いい話は何度読んでもいい。人はどうして労働するのか

今、「アッチェレランド」というハードSFを読んでいる。404 Blog Not Foundの小飼弾氏が激賞していたので知ってる人もいるかも。読んでいると現実からひどく浮遊してしまって浮世離れしすぎて生活困難になってしまうため真逆の現実的すぎる本も併読する。ちょっと題名はここには書けない。すまぬ。

<あの>勝間和代さんが何を血迷ったのか「結局、女はキレイが勝ち」なるタイトルの本を出した。ええ?それ、あり?それが<あり>/<なし>で言えば<あり>だと言うのなら「結局、男は福山顔じゃないと負け組なんだよね。お前ら出直してこいや」ふるさん著 それもありってことだよね。「広島カープ10年連続優勝の秘訣」(優勝してねえし)とか、「高須クリニックの人類への貢献の道」だってありだよね。出版社が狂っているのか買う方が狂っているのか。今世紀は始まったばかりなのに、世紀末の感あり。





アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)
チャールズ・ストロス
早川書房

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結局、女はキレイが勝ち
勝間 和代
マガジンハウス

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『ナンバのコーチング論 次元の違う「速さ」を獲得する』織田淳太郎

2009-12-18 | books

「ナンバのコーチング論 次元の違う「速さ」を獲得する」織田淳太郎 光文社新書 2004年

夜中の2時半に読んでいたら、目からウロコがボロボロと音を立てて落ちていった。何かのスポーツをしていてどこか壁にぶつかっている人、コーチや根性主義のトレーナーなんかにオススメである。

いわゆる「ナンバ」とか「ナンバ走り」は末續慎吾が会得したことで聞いたことがあるかも知れないし、あるいは私より詳しい人も少なくないだろう。古武術研究家としてたぶん日本で今最も有名な甲野善則氏が提案?発見?した、右足と右手を同時に前へ出す忍者みたいな走り方のことだ。先日ジムのランニングマシンに乗って走っていたときに、誰も周囲にいないので試しにナンバ走りしてみたら、軽快に疲れずに走れたのでちょっと驚いた。私は速く走るのが目的ではなく特に下半身強化のために走っているので、この目的にマッチしているのかは定かでない。ジムに夕方以降来る整体の先生に今度きいてみよう。

で、この本はダイエーの和田投手が会得した股関節を使ったランニング、フラットで走ること、二軸走行など<走るための方法論>が書かれている。股関節は二軸、足の外旋・内旋についてはぬぬぬぬと入って来た。


以下メモ

・ピッチング 股関節を鋭く使うには回旋させるというより、後ろの腰を前方にぶつける。

・日本のボクサーは拇指球信仰を信じているが、宮本武蔵も、つま先を浮かして踵を強く踏めと言っている。

・上半身を空間に預け、下半身だけを動かす=「浮き」 モハメド・アリは浮きの達人

・筋力だけに依存しない。

・老子第二十四章 http://www.est.hi-ho.ne.jp/noah/chaos-noah/tao/tao_24.htmより転載

企者不立
跨者不行
自見者不明
自是者不彰
自伐者無功
自矜者不長
其在道也
曰余食贅行
物或悪之
故有道者不処

背伸びをしてつま先だてば、しっかり立つ事も出来ない。
大股で歩けば、疲れてしまって歩き続ける事も出来ない。
自らこれが正しいなどと吹聴するものは、明智の持ち主とは言えない。
自らを是とするものは、広く世にあらわれることはない。
自惚れが強いものは、他から褒め称えられる事は無い。
慢心の強いものは、それ以上成長する事は無い。

これらの生じる道に在ること、それを余計な事、無駄な行為という。
物事によっては、これらの行為は、無駄であるばかりでなく、悪しき結果
を生じる事がある。
従って、無為自然の道に有る人は、この様な余計な行為が生じる様な筋道
の中にはいない。






ナンバのコーチング論 次元の違う「速さ」を獲得する (光文社新書)
織田 淳太郎
光文社

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ひび割れてるとか言うな

2009-12-17 | travel











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『新参者』東野圭吾

2009-12-16 | books

「新参者」東野圭吾 講談社 2009年(初出小説現代2004年8月~2009年7月号)

週刊文春でもこのミステリーがすごいでも国内1位だった話題作。

日本橋人形町界隈の近くで起こった事件。何の事件が起こったのかそれすらなかなか読者に分からせないまま、人形町の様々な店にやって来る刑事加賀。聞き込みと証言から段々と分かってくる真相。連作短編集なので各章ごとに独立したミステリになっていると同時に続き物にもなっており、最後にストンと収斂した先は・・・義理と人情を絡めて描く。

いやいやいや。巧い。巧すぎる。評判が良い割に造りが地味なのと、東野圭吾作品にあまり高い期待出来ないかなと思って読まないでいた。そんな、読まなかった自分を叱りたい。こらっ。

人形町とはいい場所を選んだものだ。東野さんは確か大阪の出身だったのでどうしてこの場所を選んだのか分からなかったが読んでいくうちに、人形町が最もこの作品に相応しい場所だと分かる。私自身が昔人形町界隈でおつとめしていたことがあるので(刑務所?)読んでいるとあああそこのことかと思う。しかしよーく思い出すと、そんな店があったかも知れないが自分は行かないから記憶にあるはずがない。のに書き方の巧さは、<ここ知ってるでしょ?>を思わせてしまうのだよ。

すまぬ。ネタバレを避けて隔靴掻痒なレビューになっている。加賀の解決の仕方に「こんなうまくいくはずねえじゃん」とは思わない。ミステリってそういうもんだから。

この「新参者」がある意味奇跡のような作品である。事件の加害者、その方法、動機、それが最終章で明らかになるのはありふれているだろうが、そこに到るまでに何度も山を作り、落とし、また山を作りして、それぞれの山を読めるものにして、さらにそれぞれに山が最後に一つに収まる。その様は魔術のようだ。凄い。まあ平たく言うと、容疑者が浮かんでは消えていくわけなので初期に出て来た容疑者は真犯人ではない(=2サスの法則)がそのまま適用できるのだが、それもそれでいいのだ。ミステリってそういうもんだから。

物語の創作をしている人は試しに、最後の真相が分かってから、そのネタを元に自分で、最初から物語を書こうとすればこの凄さが分かると思う。こんなん出来るわけないよ。東野圭吾ってそういうもんだから。

しかし、刑事加賀が登場したという、過去の作品「卒業」「眠りの森」「どちらかが彼女を殺した」「悪意」「私が彼を殺した」「嘘をもうひとつだけ」「赤い指」の全てを読んだはずなのに、何一つ覚えていない私。それもまた凄いと思う。私ってそういうもんだから。







新参者
東野 圭吾
講談社

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リガードのバンテージ(reguardの足首用BD-1)

2009-12-15 | sport


足首を炒めたと先日書いた。足首のちんじゃおろーすーは実に旨い。わけがない。
足首を痛めた。

で、桜木町のB&Dをぶらぶらしていたら、サポーターではなく、テーピングでもない、足首専用のバンテージ。

オフィシャルサイトはここ 使い方も載っている。

足首にグルグルとテーピングを巻いていた。結構いい感じだったのだがジムワークが終わって靴を脱ぐとテーピングが汗で蒸れてしかも浮いている。これでは効果が薄れてしまうなあと思っていたのだ。

これだと、何回も使えるし、かなりがっちりとホールドされる。しかも630円。

ボクシング以外でも剣道やラグビー、サッカーなど足首に負担がかかるスポーツをしている人や既に足首を痛めている人にオススメである。

サポーターはワンタッチで簡単なのであるが締め付ける力が弱いと思う。

うーむ。俺はなぜ普通に真面目に語っているのだらふか・・・







リガード リガードバンデージ バンデージ 7.5サイズ 70242

リガード

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『ロスト・トレイン』中村弦、鉄道オタク小説なのだ

2009-12-14 | books

「ロスト・トレイン」中村弦 2009年 新潮社(書き下ろし)

廃線巡りで偶然出会ったおじさん。行方不明になったおじさんを、旅行代理店勤務の女性とともに探す話。そこに行くことが出来れば幸せになれる(?)という廃線探しというファンタジーと彼女とくっつくようなくっつかないようなもどかしい恋愛という合わせ技。

ほんわかして悪くない。しかし私のようなノンテツではなく、生粋のテツ&テツコの方がずっと楽しめるだろう。



【閑話休題】

テツとテツコがいつから市民権を得るようになったのだろうか?あるいはいつからこんなに増殖したのだろうか?昔は闇に隠れて生きていたが堂々と日向を歩けるようになったのはなぜか?

たぶん、ある現象に名前が与えられると、その現象が<現実にある>ものとして認知される。つまり、それまではホームの端っこでカメラを抱えた人たちは単に変な人たちであり、それは空気と同様(→なので無視→なので忘れ去られる)なので意識に上ることはない。テツとかテツコという名前が与えれらたので我々ノンテツが「あーテツだ」「あいつはテツコだよな」と認識するようになったため、妙にテツ人口が増えたように感じるが、それはネーミングされたことによる認識に過ぎない。んだろうたぶん。あるいはテツという名前がついてメディアに取り上げられるようになったから、その<テツグループ>に入りたいという若者を吸引したので増員中なのだろうか。よく分からない。

まあ堂々と「あたしテツコですけど」と言う人が出てきているのは確かだが。どこか地方に行った時、携帯でローカル線の写真を撮って知り合いの某テツコに送って「これ何線だ」とメールすると即正解が帰ってくる。すごいんだかなんだかよく分からない。スーパーカーに夢中になっていたときを思い出すなー。





ロスト・トレイン
中村 弦
新潮社

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松屋でガールウオッチング

2009-12-13 | days

松屋で豚めしを喰っていた。夕方5時ごろ。ふと右の方を見ると若い女の客。奇妙だなと思ったら、むむむむ!なんと、スプーンで食っていた。おこさまか!

対面左斜め前方にはおばちゃん。この人は普通。すると私のすぐ右隣にまた若いねえちゃんが。しばらくしてチラッと見たら、チラ見したら、前かがみになってテーブルに置いたどんぶりのすぐ上に顔を持ってきて食っていた。丼を手で持つのはどうしても嫌なのだろうか。しかし前かがみの角度がすごい。スキーのジャンプか!

すると、対面にちょいとカワイイ子が(推定20代前半。)牛めしを頼んでから私の顔をチラチラと見る。まあ分かる。君の気持ちは分かるよ。どうして掃き溜めに鶴?どうしてこんなとこにイケメンが?ってことでしょ?言わなくてもいいよ。と内心ビームを送っていた。すると彼女、むむむむ箸の持ち方がカッコ悪い。わしづかみにして持つような持ち方だ。ここは幼稚園か!

で、

1.気がついたら、店内に客は6人。内女性が4人。従業員が二人とも女性だったから6/8=75%という人口のほとんどが女性だった。

2.若い女性の飯の食い方が汚い。

3.女性はたいてい弁当お持ち帰りが多かったが、最近は店で食うのが普通になったのだろうか?

4.吉野家や松屋、すき家が男の聖地だとは言わないけど、立ち飲み屋で女性が飲んでる様が場合によっては目障りだとは言わないが、しかしどうもしっくりこない。何週か前のR25で高橋秀美さんが「スッキリなんてしなくていいのだ」と書いておられた。その通りだと思うので、私がしっくりこなくてもたぶんそれでいいのだろうが。

5.牛丼豚丼をキレイに食うのは難しい。箸でご飯をいただく場合、箸の先の方にちょいとご飯を挟み小さく口を開けてそこに放り込むのが正しいいただき型だろう。たぶん。しかしつゆまみれになっているご飯はバラバラになっているのでちょいと挟むのは難しい。ゆえに、丼を口の近くに持ってきてガシガシと食うのが正しい食い方なのだ。たぶん。若い女性がこの食い方をしてくれないので、わたくし的にはしっくり来ないんだろうと想像する。ラーメンを一本一本箸でつまんで、すすらないで食べようとする女性とたまに見かけるがそれと同じくらいしっくり来ない。

6.とか言っていても、松屋市の人口のほとんどが女性であるのならば、少数野党の私が言うことは、負け犬の吠え声に過ぎない。きゃいんきゃいん。



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『リテイク・シックスティーン』豊島ミホ

2009-12-12 | books

「リテイク・シックスティーン」豊島ミホ 幻冬舎 2009年(初出星星峡2008年3月~2009年6月号に加筆修正)

この年末になって、本当にいい作品に出会えた。すごく良かった。もし過去に拙ブックレビューを読んで何か琴線に触れることがあった人はこのまま先は読まないで、騙されたと思って、記事最後尾にあるAmazonへのリンクから本を買うか、書店で買うかしてくれれば貴方には今年最後の幸運が訪れる(なんだか騙してるみたいだな)



東北の進学校である県立高校に通う沙織。1年生の5月、クラスメートの孝子に「私は2009年の未来から来た。その時私は27歳だった」という理解不能な告白をされる。人生をやり直しているという孝子、仲良くなる村山くんと大海くん、学祭、夏休み、勉強、恋愛、スキー合宿、高校生らしくもありらしからぬこともあり、すぎてゆく一年。その中で沙織が得たものは失ったものは、仲良し4人組はどうなるのか、そもそも未来からきたという孝子はどこかがおかしいのだろうか?

いやいやいやいや。やられた。最初はティーンズ向けノベルかと思ったらとんでもなかった。SF的設定が私のようなお子ちゃま向けが嫌いな読者を遠ざけない。巧い。そして段々と、私が高校生時代に戻ったかのような気分にさせてくれる。嗚呼我が青春よ。医者の息子クールでイケメンの村山君と体がデカクにくめないキャラの大海君というキャラ設定もいい。

色んな小さなそして大きなトラブルを抱えながら沙織はちょっとずつ成長してゆく。しかし本当の主人公はもしかすると孝子なんではなかろうか。どういうわけか今私には27歳ぐらいから32歳ぐらいの友人が多い。その中で今自分が置かれている状況の不具合に我慢ならんという人はぜひこの本を読んでみて欲しいと思う。現役高校生でも無論楽しめるが彼らに独占させてはいけない。人生で苦渋という汁を舐め挫折という具を味わった者でしか分からない味がここにあるのだ(なんて断定的な物言いだろう)

「リテイク・シックスティーン」の終盤にきてある事件が起こる。その事件を起こす女二人に私は怒った。私の心の奥底で一度も使っていない湿ってしまった導火線に火がついた。豊島ミホが火をつけたのだ。これが感情移入というマジックであって、その波が大きければ大きいほど私にとって<本とグルーブしてる感>が強くなる。本が波だとすれば、サーファーの私はそれに乗っているのだ。

人生という波には常に乗り遅れていても、本という波に乗れていれば、それでええじゃないか。






リテイク・シックスティーン
豊島 ミホ
幻冬舎

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金曜ドラマ『シスター』前編

2009-12-12 | film, drama and TV

12月11日金曜22時スタートの前編を観た。後編は翌週18日放送

【PART1小澤の視線で】 小澤征悦は世界的カメラマン。彼が函館に住むことに。彼になついてきたのは加藤ローサ。ローサの姉(紺野まひる)が死んだことを知る彼とローサの微妙な駆け引き。しかし二人は恋仲に。小澤は紺野の死に関わっているのか?そして彼はドイツに行くことになる・・・

【PART2田中の視線で】田中圭はローサの幼馴染。PART1では小澤に付きまとっていたので、ローサのことが好きで彼を恨んでいるのかと思っていたら、ローサが小澤の部屋に遊びに行った時、水道点検と称して田中が小澤宅に入っている間、ローサは小澤宅の家捜しをしていた。いったい何を探していたのか?話は2007年に2008年に2009年にと飛ぶ。紺野が東京から函館に帰郷したとき、一番最初に顔を見せたのは田中の所。そのときはとても明るかった。しかしどうして彼女は死んだのか?小澤は線路に花をたむけていた。自殺なのか?

てな感じ。面白かったですな。一つの出来事を複数の観点から観るという新しいドラマ。小澤征悦がカッコいいなんて思ったことがなかったのに、サングラスと伸ばした髪とヒゲになると、チャン・ドンゴンのようで思わず「韓流か!」とツッコンでしまった。女優としてというより、女性として加藤ローサも紺野まひるも嫌いではないんだが、これが姉妹となると、ちょっと堪らない。親子どんぶりという言葉はあるが、姉妹どんぶりか?

年季の入ったミステリー読みとしては今後の展開を予想せねばなるまい。タイトルが「シスター」なのが気になる。紺野まひる殺害事件の真犯人は加藤ローサに違いない!と言いたい所だが、彼女が死んだという連絡を警察から受けたときローサと田中は一緒だったんだよな。ポイントは

①自殺か他殺かドラマ内では言及していないこと
②小澤と紺野の関係が説明されていないこと
③ローサが小澤に近づいた動機が説明されていないこと

事件の裏にローサありであることは間違いないと思うのだが、これ以上の推理はやめて来週の放送を待とう。なお、18日金曜は長谷川穂積の世界タイトルマッチがあるのでそれもお見逃しないように。









帰ってきた今日の教訓






食べちゃいたい彼女
加藤ロース



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やっと観た『崖の上のポニョ』

2009-12-11 | film, drama and TV

ストーリー説明不要(でしょ?)

ポニョ=人間が悪魔によって魚に変えられた可愛そうな生き物だと思っていたら不正解だった。

公開された当時、みんな良かったと言っていたような気がするが、何が良いのかあまりよく分からなかった。ポニョはカワイイしソウスケもいい子なんだが・・・従来の宮崎作品と比べるとちっちゃい子でも分かる作品にしたのだろう。

私はちっちゃい子以下なので、それすらそれほど楽しめなかった。
もしくは
心が汚れきっているのであまり楽しめなかった。
それに
どうして大橋のぞみが出てこないのだ!

にまで出てきたのに・・・






崖の上のポニョ [DVD]

ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント

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『めくらやなぎと眠る女』村上春樹

2009-12-10 | books

「めくらやなぎと眠る女」村上春樹 新潮社 2009年

BLIND WILLOW, SLEEPING WOMAN Haruki Murakami

昔、星新一や筒井康隆の短編を読んでは狂ったように踊っていた。だのになぜ、歳を取ってからは短編を読まなくなってしまったのだろうか。短編よりもはんぺんが身に染みるのだろうか。ジェフリー・アーチャーの「12本の毒矢」かジェフリー・ディーヴァーの「クリスマス・プレゼント」が最後に読んだ踊り狂う短編だ。共通点は①二人ともジェフリー②ラストに強烈なオチ

さて、

このめくらやなぎだが、全部読めなかった。いや読まなかった。正確に言えば猛スピードで全体をざっと舐めた程度だった。どうにもこうにもムラカミ短編は私の肌に合わないらしい。

それは短編が普遍的に抱える何かと長篇が抱える何かがあって、その長篇の方と私が抱える何かがうまくシンクロするというような事なのだろうか。単にストーリーを長く書くか短く書くかというような事では説明がつかないんだけど、よく分からない。いい歳してオチを求めてはいけないとも思うのだが。

老子は言う。

知不知上。不知知病。聖人不病。以其不病。以其病病。是以病病。

知りて知らずとするは上なり。知らずして知るとするのは病なり。聖人は病あらず、其の病と病とするを以て、是を以て病あらず。

分からないことは分からないで良いのかも知れない。


いや、短編を入れるという行為は痛いんだよ。それは短編じゃなくてタンポンか。








めくらやなぎと眠る女
村上春樹
新潮社

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チャーム ソフトタンポンレギュラー 36個

チャーム

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『SOSの猿』伊坂幸太郎

2009-12-09 | books

「SOSの猿」伊坂幸太郎 中央公論新社 2009年(初出讀賣新聞2008/10/03~2009/7/18に大幅加筆修正)

100パーセントのダメ人間もこの世にはいないし、100パーセントの勤勉人間もいなくてそのミックスであることが人間を人間たらしめていると感じる昨今いかがおすごしでしょうか。私はそこそこです。

伊坂ワールド炸裂の本作品。何を書いてもネタバレになってしまうので気をつけよう。先の全く読めない展開、含蓄のある台詞相変わらず満載である。

パラレルに描かれる二つのエピソードその1は、家電量販店に勤める男が、副業でやっているエクソシスト業の一環で、知り合いの息子のひきこもりを何とかしようとする話。その2は、システム開発会社の品質管理担当の男が、株の誤発注により会社に300億の損害を与えたという事件について調査を始めるという話。何の関係があるのか、最後になってなかなか面白いくっつき方をする。

キーワードは、「ひきこもり」「株の誤発注」「ユング心理学」「悪魔憑きとエクソシスト」「西遊記」言わば、これらのキーワードを誰かにお題として頂戴した伊坂幸太郎が、縦横無尽にストーリーを展開したのが「SOSの猿」だとも言える。いやそう感じる。

非常に不可思議な作品ではあるが、この作品の底に漂っているのは善と悪の二項対立、あるいは二分法に対するアンチテーゼなのだ。完璧な善も悪もこの世にはなく、その混在こそが<いまある形>であるということが一つ。またもう一つのテーマは原因の追求。何かの原因をまるで帰納法の鬼のように遡っていくと見えてくるものがある。これ以上は言えない。

伊坂作品にヒーヒー言わされていた頃とそのまま較べてしまうと、ヒーヒー感というか意外すぎる意外性というか想像を絶するアクロバットは薄れてしまっている。伊坂作品の中で一番面白いとは言えないだろう。しかしそのまま比較するのではなく、アイデアを出した漫画家の五十嵐大介に乗っかって書く技術をほほおと思って読むと全然違う。また、本作とコラボしてる、来年2月に出る予定の五十嵐氏の「SARU」を読んでから最終的な評価をしても遅くないように思う。

そう。物語の想像は救いにつながるのだ。








SOSの猿
伊坂 幸太郎
中央公論新社

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以下、読みかけの本たち



めくらやなぎと眠る女
村上春樹
新潮社

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順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
グレッグ イーガン
早川書房

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ナンバのコーチング論 次元の違う「速さ」を獲得する (光文社新書)
織田 淳太郎
光文社

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新参者
東野 圭吾
講談社

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ロスト・トレイン
中村 弦
新潮社

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リテイク・シックスティーン
豊島 ミホ
幻冬舎

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世界犯罪機構(W.C.O.)
ミーシャ・グレニー
光文社

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磯野貴理離婚で

2009-12-08 | laugh or let me die






いやいや。磯野貴理離婚したねー。ってかいつから貴理になってたんだろーなー。磯野さんてゆわねえじゃん?磯野って言えばカツオだよなー。

でよー。お前何携帯いじってんだよ。仕事中だろ?え?磯野が夫の携帯を見た。それが離婚の引き金になった。ふむふむ。そんな話だったな。で?何、自分の携帯のメール削除してるって?

ダメだろーそんなんじゃーお前あちこちに変なメール保存してるだろ。どこに削除しなきゃいけないのか分からねえだろうが。おいおいおい。ダメだよ。ロックとかしても。お前暗証番号忘れるし。だーかーらー携帯また別に買ってどうすんだよ。お前携帯何台持ってるんだよー このバカチンが!全ての携帯にロックかけたらかえって怪しいだろーがー



とトビウオの唐揚げが喋っているのは聴こえるのは私だけだろうか。たぶんそうなのだろう。






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『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹

2009-12-07 | books

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹 新潮社 1994年

なんなんだこの本・・・

頼んでもいないのにムラカミ本をどーんと貸してくれたキンドーさん(仮名)(由来はマカロニほうれん荘のきんどーさん)ハルキストの彼がもう一度読み返したい本の1位にあげたのが、このねじまき鳥クロニクル。他に読んでいる本の兼ね合いでなかなか読めなかったが色々と片付いたので取り掛かった。(参照:ハルキストのSさんは火車は重くて苦手ですと言った。

編集者のクミコ、その夫で失業者の僕。近所に住む笠原メイ、突然やってくるクレタとマルタ、クミコの兄ノボル、ノモンハンにいた間宮中尉・・・妻のクミコが家から出て行ってしまう。突如やって来るクレタとマルタは何を僕にもたらすのか。思いもかけない形で僕の人生に土足で踏み込んでくるノボルの意図は。僕はいったい何者かのか?

いやいやいや。これはミステリーか?

1Q84と近いテイストを感じる。複数の視点から章ごとに描く。そもそも何が言いたいのかなどということを考えることを拒絶されているようだ。いや、面白いとかつまらないということを超越している。ガルシア・マルケスがノーベル文学賞を取るのなら、佐藤栄作が平和賞を取るのなら、ハルキムラカミが取っても何ら不思議はない。しかしそれはすごろくの<あがり>になってしまうので、その後何をどうするのかよく分からないが。

前にも述べたが、ムラカミハルキは危険なクスリだ。読めば現実を忘れさせてくれる。そして次が出たら買ってしまう。バブル期よりもそうでない時の方が売れるのではなかろうか。それが反実仮想を生み出せば生み出すほど。


 でも僕らは、少なくとも僕は、本田さんの話を聞くのが好きだった。それは僕らにとっては想像力の範囲を超えた話だった。多くは血なまぐさい話だったが、汚い服を着た今にも死にそうな老人の口から戦闘の一部始終を聞いていると、何だかおとぎ話のように現実味を失って響いた(第一部97頁より引用)



そうだ!これだ。本田さん=ムラカミハルキなのだ。血なまぐさいリアルでスプラッタな現実が、彼のフィルタを通して見ると、ふわふわしたおんなの子のランジェリーに見えてしまうのだ。

ハルキストがかもし出す静かにファナティックな感じは、時にとても美しく時にとてつもなく醜悪である。村上春樹は、その作品だけで完結して語られる存在ではなく、その読者を包含した磁場全体で語られるべき存在である。彼が望んだにしろ望んでいないにしろ。






内容に触れない1Q84レビュー
変な「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」レビューえ?ランジェリー?



ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社

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ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社

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ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社

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店名にツッコンでください3

2009-12-06 | laugh or let me die








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