「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」サイモン・ウィンチェスター 早川書房 1999年
The Professor And The Madman, Simon Winchester 1998
19世紀末、英国で英語の辞書を作ろうとする者たちを描くノン・フィクション。中心人物は二人。一人は言葉のプロフェショナルのジェームズ・マレー博士。もう一人は謎の人物マイナー。二人に交互にスポットライトを当てながら辞書を作るという人智の極限とは…
ネタバレは基本的に避けているけれども、今回は読み始めればマイナーが何ものかすぐに分かってしまうので書いてしまおう。彼は、アメリカ人で、南北戦争のときには軍医だった。その時に心を病んでしまい退役。後にロンドンで殺人事件を起こし、精神病院に入院。そこでOEDが必要としている作業を担っていたのだ。
「舟を編む」でも描かれていたけれど、辞書を作るのは本当に大変。その辞書作りというテクニカルな面と、マイナーという人間のパーソナルな面が本書の読みどころ。
刑務所にいて、金には困っていないし、金銭を受け取れるわけでもないのに大変な作業をする。ボランティア行為もそれに似ているだろうか。
人は誰でも、誰か他の人のために役に立っていると「感じたい」ものなのかも知れない。特に自分が何にも立っていない場合には。
マイナーのことを離れて、現代でも、役に立っているということと、役に立っているると「感じている」ということは違うんだよねなんてちょっと考えたりした。
いや、マイナーは本当に役に立つことをしたのだから、主旨がずれてしまった。こんな風に色々と考えを派生させてくれるのがいい本だと思う。
では、また。
The Professor And The Madman, Simon Winchester 1998
19世紀末、英国で英語の辞書を作ろうとする者たちを描くノン・フィクション。中心人物は二人。一人は言葉のプロフェショナルのジェームズ・マレー博士。もう一人は謎の人物マイナー。二人に交互にスポットライトを当てながら辞書を作るという人智の極限とは…
ネタバレは基本的に避けているけれども、今回は読み始めればマイナーが何ものかすぐに分かってしまうので書いてしまおう。彼は、アメリカ人で、南北戦争のときには軍医だった。その時に心を病んでしまい退役。後にロンドンで殺人事件を起こし、精神病院に入院。そこでOEDが必要としている作業を担っていたのだ。
「舟を編む」でも描かれていたけれど、辞書を作るのは本当に大変。その辞書作りというテクニカルな面と、マイナーという人間のパーソナルな面が本書の読みどころ。
刑務所にいて、金には困っていないし、金銭を受け取れるわけでもないのに大変な作業をする。ボランティア行為もそれに似ているだろうか。
人は誰でも、誰か他の人のために役に立っていると「感じたい」ものなのかも知れない。特に自分が何にも立っていない場合には。
マイナーのことを離れて、現代でも、役に立っているということと、役に立っているると「感じている」ということは違うんだよねなんてちょっと考えたりした。
いや、マイナーは本当に役に立つことをしたのだから、主旨がずれてしまった。こんな風に色々と考えを派生させてくれるのがいい本だと思う。
では、また。
