
佐紀路の奥に位置する秋篠寺は細い道が続く住宅地に建つ清楚な寺。
秋篠宮家の名の由来ともなったこの寺は、光仁天皇の勅願によって
建てられた奈良時代最後の官寺だ。
東門より入り、まずあるのが明王が出現した香水閣。
834年に小栗栖の常暁律師が当寺に参詣し、2m四方で、深さ
約1m、底に玉砂利を敷き詰めた井戸に顔を写すと、背後に忿怒
の形相も凄まじい明王が、首と腰と六臂と両足に十数匹の蛇を巻き
つけて出現したので、その姿を描き、後に修法のため入唐したら、
元照大徳から明王の秘法を授けられたという。

美しい苔庭。創建当初の礎石を見ることができる。

創建は780年。1135年に大部分を焼失し、幸いに難を免れた
講堂を大修理し、現在の本堂(国宝)とした。(↑写真)

堀辰雄が“東洋のミューズ”といい表して賞賛したという
技芸天立像が有名。
本尊の薬師如来ほか愛染明王・帝釈天・不動明王・日光菩薩・
月光菩薩・十二神将・地蔵菩薩・五大力菩薩などたくさんの
尊像を拝することができる。本堂の西には秘仏木造大元帥明王
が祭られる大元堂があるがこちらは年に1度、6月6日だけ公開。
静かで心落ち着くお寺だ。
