献血 ありがとう 小児がんと闘う7歳 動画で輸血体験 県赤十字血液センター コロナで協力者減 参加呼び掛け
2021/12/14 06:54
(東京新聞)
県赤十字血液センター(横浜市港北区)は献血の大切さを訴えるため、輸血経験者が体験を語る映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載している。先月は小児がんと闘う三宅紫穂さん(7つ)=同区=と両親らのインタビュー動画を掲載し、献血者への感謝を伝えた。新型コロナウイルスの影響で献血バスの出動が減るなどして協力者が少ない状況が続いており、センターは積極的な献血を呼び掛けている。(志村彰太)
紫穂さんは三歳の時、外出時に転んでできたたんこぶがなかなか治らず、夜泣きや着替えの嫌がり方が激しくなった。母で作業療法士の円夏さん(39)は、紫穂さんの歩き方にも変化を認め、「まひの症状に似ている」と異常を直感した。
いくつも病院を回り、県立こども医療センター(同市南区)で、小児がんの一種「神経芽腫」が頭部にできていると判明。発症から四カ月がたち、体重は四キロ減っていた。すぐに入院し一年間、抗がん剤と放射線治療などを受けた。治療によって白血球や血小板などが少なくなるため、定期的に輸血を受けた。二〇一九年に退院し、翌年に市立小学校に入学。順調に回復していたが、今年夏に再発し、現在は月に一回入院して治療と輸血を受けている。
「仕事柄、献血の重要さは理解していたが、子どもの治療を経て本当に大切なんだと実感した」と円夏さん。血液センターが二年前から掲載している動画への出演依頼が来たとき、「顔も名前も病気の経過も出る」とためらったが、「皆にこの病気のことを知ってほしい」と話す前向きな紫穂さんの判断を尊重して承諾したという。
動画は約十二分。紫穂さんと円夏さんのほか、こども医療センターの医師らも出演して治療経過を語り、「けんけつ ありがとう」のメッセージを掲げて締めくくる。紫穂さんが入院中、「退院したらマグロを食べる」と目標にしていたエピソードも紹介。現在は調子のいい時は食べられるようになり、次の目標はキャンプに行くことだという。
「新型コロナで献血に行くのを控えていた知人が、動画を見て、また行ってくれるようになった」と円夏さんは感謝を語る。血液センターによると、新型コロナの影響で、献血バスの出動は本年度、二割が中止。一日に必要な献血者九百人を平日に超えたのは十〜十一月に六日間しかなく、センターは協力を呼び掛けている。
動画は「LIFE GOES ON」というシリーズで、県赤十字血液センターのホームページにあるリンクからアクセスできる。