ゾーン — 相場心理学入門 | |
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パンローリング |
ゾーン(1)
ということで、「ゾーン相場心理学入門」を読み直しています。
この本、アマゾンの書評、コメント欄を見ると、「何度も読み直し、そのたびに発見がある名著」
といったコメントがある一方、訳がひどくて何を言っているかわからない、役に立たないといった
コメントも少なくありません。
読む人にとって、随分感じ方が違うようです。まあ、本であれなんであれ、人により感じ方が違う
のは当然のことではありますが。
ということで、第一章です。もう最初からつまづきますね。
「実際、私がトレードを始めた1987年当時、テクニカル分析は少数派であった。少なくとも大半の業界人
にはバカにされていた。現在ではなかなか理解し難いことだが、ウォール街の主要なファンドマネージャー
や機関投資家の大半がテクニカル分析を占いのようなものだとみなしていたのは、遠い昔の話ではないのだ。」
いや、私は今も単純なテクニカル分析とやらは、「当たるも八卦、あたらぬも八卦」という意味で占いみたい
なものだと思っていますが、違うんですか。
で、結局、
「将来の値動きを予測する手段として、テクニカル分析は純然たるファンダメンタルズ分析よりもはるかに優れ
ている」そうなのです。
まったくもって首肯し難い見解と言わねばなりません。「拙者、伏見の光をテクニカル嫌いと知っての狼藉かー!」
状態の文書です。
まず、単純なテクニカル分析とやらが普遍性をもって有効性を保つはずがありません。
みんながそれにとびつけば、その有効性は当然消えます。
ある時期にある手法がうまくあてはまることはあるでしょうけど、それはそれだけのことです。
また、テクニカル分析とやらは本質的に都合のいいところをつまみ食いした後講釈にならざるをえません。
その「分析」とやらにあてはまる過去の事例を持ち出そうとすれは、いくらでも例を挙げることはできますが、
逆にあてはまらない事例を挙げようと思えば、それもいくらでもできます。
だから、単純なテクニカル分析とやらが、実際の売買で有効に機能するかどうかは、占いと同じ程度のもので
しかないと思います。
一方、ファンダメンタルズ分析はどうかといえば、こちらは発想としてはテクニカル分析とやらよりははるかに
そのアプローチ方法はまともです。が、この「分析」の前提となる、利益予想等の確度が高いとは言えない、
というか、将来起こることを正確に予想することなどできないので、この利益予想のところは当たったり、はずれ
たりするという意味で占いに近い。となると、その分析結果そのものも、信用はおけずぶれが大きくなりがちと
いうことになります。が、確かな目を持ち、判断力があれば、相応の確度での予想は可能なところもあるかもし
れません。そういう意味での可能性があるという点と、アプローチの発想のまともさで、相対的にファンダメンタルズ
分析の方が「まし」であろうと思います。
本書の話のススメ方はこうです。
「しかし知ってのとおり、その知識を一貫した利益や堅調に上昇する損益曲線に反映させる能力との間には大きな
格差があるのだ。」
パターン認識等のテクニカル分析は有効だが、それをうまく使って安定した堅実な利益をあげることは難しいという
わけ。この前段の前提そのものが正しいとは思わないですけどね。
「一貫した利益や堅調に上昇する損益曲線に反映させる能力」には人間の心理的な側面が極めて重要になるという
こどだけであれば、それはそのとおりだと思います。
なお、テクニカル分析とやらを実際の売買に有用に活用されている方というのもあるのだと思います。
そのことは多分テクニカル分析そのものの有効性を証明することにはならないのではないかな。
多分、活用されている方というのは、ポジジョン管理なり銘柄選択なり、テクニカル分析だけではなく、様々な方法を
組み合わせた自分のスタイル、ルールというのを確立しているはずで、テクニカル分析云々は、例えば売買タイミング
を決めるきっかけにすぎなかったりするのではないかと推測します。
私自身の場合はどうかというと、現状は
「位置だけテクニカル&雰囲気ファンダメンタルズ」であります。
位置だけテクニカルは、売買する時はチャートで株価の位置や株価の値動きの傾向ぐらいは確認するということです。
雰囲気ファンダメンタルズは、PER、PBRといった基本的な指標や配当+優待利回りなども見つつ、
正確な財務諸表の読み取りなどはできないので、なんとなく、事業の内容等を定性的な評価もどきに考えてみると
いったことをしているということです。
後者のファンダメンタルズ的判断に部分は、もっとちゃんと正確にとらえられるようになりたいものだと思います。
つづく。