 | 投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識 |
| クリエーター情報なし | |
| 日本経済新聞出版社 |
これは買って自宅においてある本です。そういう投資本は珍しいです。
既に一度読みましたが、入院中に読み返していました。
全体として非常にまともで、ためになる本かと思います。
個人的には「ウォール街のランダム・ウォーカー」「投資の行動心理学」あたりに次ぐ一冊です。
最初の
「二次的思考をめぐらす」の項から。
「普遍的法則などないのである。投資環境はコントロールできないし、まったく同じ
状況が繰り返されることはまれだ。
市場を大きく動かすのは投資家の心理である。投資家心理は非常にうつろいやすく、相場動向
との因果関係も特定しがたい。ある投資アプローチがしばらくの間、有効だったとしても、
それによって引き起こされる行動がやがて環境に変化を及ぼし、結果として新たなアプローチ
が必要になってしまう。
また、ほかの投資家があるアプローチをまねれば、その有効性は低下してしまう。
経済学と同じく、投資においては科学よりもアートの要素が強いるつまり、理路整然とはいかな
いのである。」
「つきつめれば、問題は投資家自身がなにを達成しよう
しているかだ。平均的な投資パフォーマンスなら誰でも達成することができる。
(こごでインデックスファンドについてのコメント)
だが、やり手の投資家はその上をめざす。市場に勝つことを求めるのだ。
これこそ、私が考える「成功する投資」の定義である。つまり、市場と他の投資家を上回る
パフォーマンスをあげることだ。」
前段の部分については、まさにそのとおりですが、後段の部分についてはどうでしょうか。
いわゆるプロのファンドマネージャーであれば、市場を上回るリターンを狙うのは当然かもしれません。
但し、市場を上回るためには、市場を下回る運用をしてもらう必要があります。いわゆる「敗者のゲーム」の発想で、
失敗した人のアンダーパフォームした分がアウトパフォームの原資となるのですから。
ただ、多くの個人投資の投資の目標は市場をアウトパフォームすることではないのではないでしょうか。
無論、そうなればそれに越したことはないし、そう願いたいものですが。
では、なにが目標になるかというと、それは個々人で違うというのがまず前提。
で、多くの場合、目標となるのは、預貯金や国債などの安全資産への投資よりも高い投資リターンを安定的に得られること、
ではないかと思います。できれば絶対値においてプラスの運用を継続できると望ましいというところではないでしょうか。
ただ「高い投資リターン」というのがどの程度のものかはそれぞれのスタンスや、インフレ率等外部の投資環境などによっても
異なってくると思われますが。
また、「投資」とは、その個人投資家にとってどういうものとして位置づいているかによっても、投資のスタンスや方法は異なってくる。
でしょう。
単に、相対的に高いリターンをめざす運用ということなら、それこそ低コストのインデックスファンドへの投資、その組み合わせでこと足りる、
というか、それがコスト的にも手間的にも合理的な方法かもしれません。
そうではなく、株式であれば個別銘柄を選択して投資することを、いわば「楽しみ」「エンタテイメント」として行うのであれば、
これは、時に市場をアンダーパフォームすることがあったとしても、長期的に見て全体として納得のいく運用ができれば、それで十分に目標を
達成している場合もあるとも考えられます。
「つきつめれば」と書いているとおり、自分が何を達成しようとして何を求めているかは
きちんと自問して、明確にしおくことはかなり決定的に重要。
「その（平均を上回るリターンをあげる）ためには。ほかの人よりすぐれた、より強力かつ高次元
の思考を身につける必要がある。他の投資家は頭がよく、情報通で、コンピューターを使った高度
な投資手法に長けているかもしれない。だから、そうした人たちにはない自分の強みを見つけなけ
ればならない。誰も思いつかないようなことを考える、周りが見逃しているものに目を向ける、
他の人にはない道津力を発揮する、といったことが必要であり、他の投資家とは違った振る舞い
をしなければならない。」
さて、一般の個人投資家が長くこのようなスタンスで市場をアウトパフォームするような投資を継続することが可能でしょうか。
短期間てあればともかく、ほとんどの個人投資家にはこれはなかなか難しく、当然私自身も難しいです。
ただ、上記のように、個人投資家の投資目標は、実は市場をアウトパフォームすることそのものではない場合も多いと考えられます。
まず重要なことは、自分自身の投資の目標を明確にすること。
それによってとるべき戦略、具体的方法も異なってきますし、その人にとっての「リスク」の意味も異なってくることになると思いますから。
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