
伊坂 幸太郎「グラスホッパー」角川文庫 2004年刊
グラスホッパーとはバッタのことか。この生物は集団の密度が低いと平穏に生きるのだが、高いと凶暴化し攻撃的になるという。
物語はそれぞれ違う得意技を持つ3人の殺し屋(自殺させる技、ナイフ使い、押し屋)の活動を描くところから始まり、非合法活動をするグループトップののバカ息子に交通事故で妻を殺された元教師がそのグループに潜入して復讐をしようとする。
そのバカ息子があっけなく交通事故でなくなるが、それは事故ではなく押し屋によるものではないかと究明を始める。このバラバラに活動していた4名の殺し屋(元教師は単なる使い走り)が次第にこの事故をきっかけに一つに収斂していく。その辺の構成力・描写力はなかなかのものである。
今まで読んできた伊坂作品の中で最も動きのある作品であるような気がする。