遅いことは猫でもやる

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言い訳の書

2016-03-08 00:07:53 | 
   

小保方晴子「あの日」講談社 

話題の書である。あの「スタップ細胞はありまーす」と言い放った、問題の当事者の手記である。日本中を巻き込んだ、ipsと並ぶもう一つの万能細胞の生成、或いは存在そのものについて、当事者の側から綴ったものである。

再生医療研究の道を選んで早稲田に入学し、東京女子医大に学び、さらにハーバードのバカンテイ研究所で実験好きの女性が周りの好意を一身に受けて評価され、ついに理化学研究所で小さいとはいえ一つのプロジェクトを任される立場までになってゆく前半と、メールによるデータ流用の告発から始まる一連の大騒ぎ、特にマスコミの異常な取り上げ方に翻弄される様を後半で訴えてはいる。

確かに再生医療上の細胞研究についての実験に興味深々だったことは彼女の記載から窺い知れる。そのことで、若山山梨大教授、バカンテイ教授から評価されたことも納得できる。しかし研究成果の発表資料を早稲田大学の博士論文、ネイチャー誌の投稿論文と2度に亘って間違えるということは現実的にありうるだろうか?

彼女の言うようにこの騒動は、若山教授の野心から出たもので、彼の学者的な妬み、嫉み、保身が働き、それで整合性が取れなくなったことを、理研が組織防衛のために更に拡大して動いたとしても、疑問は残る。いくら時期的にきつかったとしても、博士論文、ネイチャーへの寄稿という世界的権威への挑戦作業である。

ただ、騒ぎを拡大したマスコミの責任は大きい。たとえ研究が一部未完成、未熟なものだとしても、この研究・発見の先進性は、人類にとって画期的なものであるはずだ。重箱の隅をつつくような欠点探しではなくて、前向きな先進的な部分にもっとスポット当てて報道すべきではないか。

マスコミのこの姿勢は大きい意味で国益を損ねる行為であろうとは思う。現に理研やハーバード大の研究所がこの関連特許を出願しているという噂を聞く。

それとは別に名指しされている若山教授の反論を聞きたいものである。