


山国の春は平地に比べ季節が半月や一ヶ月遅れる。諏訪の山沿いにある水月公園はいま桜が満開だという情報を新聞で得て、雨の前にと慌てて出かけてみた。
御柱祭で柱を曳く街道の道脇にある桜の枯木はほとんど葉桜になっていてもう遅い。坂を100mくらい登り少し高くなっている公園の脇まで行くがここもすでに葉っぱ混じりになっていた。墓地の方にある駐車場に車を進めると、散っている木に混じってピンクの花が十分残っていた。
少し上に登ると墓地の中にしっかりと花を残しているピンクの木があった。参道にハラハラと散りかかる花びらが風に舞い美しい。ここの墓石は低めで決まって背の低い灯籠を備えている。高さが揃っているので見通しも良い。
そこに咲くピンクの花弁が浮き上がっているように映える。名残の桜が儚く咲いている風情がなんとも物寂しく感ぜられた。

