湊かなえ「山女日記」幻冬舎文庫 2014年刊
ご存知、湊かなえの女性の心理を描いた小説。オムニバス形式の8篇の短編からなる山が舞台の小説である。舞台は妙高、火打、槍、利尻、白馬、金時、トンガリロ(ニュージーランド)、涸沢。
登山そのものではなく、山登りに来た経緯、関係者との軋轢、友情などを女性特有の細かいタッチで心の襞にまで踏み込んで描写している。実績も力量もある筆者の語り口はなぜか爽快感を感じる。最後の短編「カラフェス(涸沢フェスティバル)に行こう」でハッピーエンドチックな終わり方をしているのも好感が持てる。
山登りの参考書にはならないが、小説として面白い。