唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
世界遺産巡礼の道をゆく ― カミーノ・デ・サンティアゴ ―
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巡礼路としては、最初に世界遺産に指定された「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の「今」を遍く縦覧することの出来る写真集。当blogの読者であれば、既にお気づきの通り、3月3日にご紹介した世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道―の姉妹編である。
「巡礼の道」と言えば、熊野古道や四国の遍路道はすぐに思い浮かべることが出来るけれど、よもや現代のヨーロッパに「巡礼の道」があるとは思いもしなかった郷秋<Gauche>は、この書に出会って開眼した。現代のヨーロッパにあって、「巡礼の道」が存在し、そして、その道を歩く人々がいることに。
だが、考えてみれば現代日本における「熊野古道」も同じである。「熊野古道」が世界遺産に登録されたことは知っていても、今でも山伏様の修験者がこの道を歩いているとは、日本人である郷秋<Gauche>にあっても、「世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道―」を読むまで、知ることはなかった。
現代ヨーロッパにあっての「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」は、日本における「熊野古道」と同様の位置づけであるのかも知れないが、本書を読むと、ヨーロッパの「普通の」人々が、バカンスを利用したりしながらこの巡礼路を歩いていることを知る事が出来る。勿論それは「普通」のことではなく、日本におけるそれと同じように、相当特殊な人々の、特殊な行動なのではないかと想像することが出来るけれど。
3日にご紹介した「熊野古道」もそうであるが、本書もまた、キャプションとノーツは、すべて日英二ヶ国語で標記されている。何故この手の写真集が大学出版局から出されることになったのかは不明だが、それ故の日英二ヶ国語でのキャプションと思われる。
「熊野古道」同様、フォト・ルポルタージュ的内容であり、ヨーロッパにおける巡礼路を知るために、また東西の宗教精神の違い、あるいはそれの根付いた文化の違い、またそれらを包含する自然のありようを知るためには、貴重な一冊であることと思う。ぜひとも「熊野古道」と合わせてご覧になられることを、お勧めする。
世界遺産巡礼の道をゆく ― カミーノ・デ・サンティアゴ ―
南川三治郎著
玉川大学出版部 (ISBN:978-4-472-12004-6)
発行年月 2007年12月
A4版 127頁
3,045円(税込)
なお、本書の出版元である玉川大学出版部では、本書の出版を記念し、同大学の博物館において企画展示(4月14日(月)~7月13日(日))および、著者、南川氏による講演会(4月19日および6月7日)を計画しているようである。詳細はこちらをご覧頂きたい。
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