初戦はハミルトン

 気温35度、路面温度も50度を越すという過酷なコンディションの中でスタートが切られたF1 2008年の第1戦は、フェラーリの2台が戦線離脱、セーフティーカーが3度も投入されると言う波乱の連続であったが、ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトンが荒れたレースとはまったく関係なく、難なくこれを制した。

 レースの概況は信頼のおける他のサイトで確認いただくとして、ここでは郷秋<Gauche>的ポイントをピックアップしておきたい。

 一昨日、今シーズンのテールエンダーはSAF1とトロ・ロッソ書いたが、予選ではベッテルが10番グリッドを獲得し、早くも郷秋<Gauche>の予想を裏切ってくれた。決勝レースではアクシデントで姿を消したベッテルに代わり、18番手スタートのブルデーが終盤4位を走るなど大健闘(結果は3周を残してマシンを止めるが7位完走扱い)。どうやら今シーズンは中団を走れそうである。

 ホンダもなかなか良いところを見せ、バリチェロがポイント圏内を走るが3度目のセーフティーカー導入のタイミングでの給油が審議対象となり、結果は失格。ただし、マシンはそこそこのポテンシャルがあるようで、次戦以降が楽しみである。

 トヨタもなかなか良いところを見せたがアクシデントとトラブルで2台とも完走できず。ただし、決勝レース中のタイムはマクラーレンの2秒落ちで、ポイント圏内を走ることは出来ても表彰台には程遠いところである。

 さて、ウィリアムズ。ニコが3位表彰台、一貴が6位と幸先の良い開幕戦となった。一貴は2度のノーズ交換という不運のなか、落ち着いたレース運びではあったが、レース中のファステストはニコから1秒5の遅れを取っている。今後の課題と言えるが、レース後のインタビューをしっかり英語でこなしていたあたりは琢磨以降の「第二世代」を感じさせる頼もしいものであった。

 長かったシーズンオフを経て開幕した2008年シーズン、次戦が待ち遠しいところであるが、マレーシアGPがすぐ一週間後とに控えていると言うのは、何とも嬉しい限りである。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の一枚は、昨日恩田の森で撮影したものの中から、すみよしの森で咲いていた水仙。横浜では正月前から咲き出すこともある早春の花です。そろそろ主役の座を交代する頃となりました。
コメント ( 2 ) | Trackback (  )

早くも裏切られる郷秋<Gauche>の予想

 昨日、2008年のテールエンドはSAF1とトロ・ロッソだと書いたばかりが、早速その予想は裏切られることとなった。もちろんSAF1がテールエンドであることは予想通りであったが、トロ・ロッソのセバスチャン・ベッテルが、見事に予想を裏切り堂々のトップ10入り。ティモ・グロックがWペナルティで10グリッド降格になるため、明日のベッテルは9番手スタートとなる。ただし、相棒のセバスチャン・ブルデーは18番手だ。

 残念だったのは、金曜日には9番手と気を吐いたフィジケラが、予選では17番手に沈んだことと、ライッコネンのマシントラブル。2007年チャンピョンのライッコネンが17番手スタートと言うのも、考えようによっては、2008年シーズン初戦から面白いレースが見られる楽しみが増えたとも言えるか。

 意外だったのは、シーズン前のテストの結果を見る限り、フェラーリには追いつけないかと思っていたマクラーレンがなかなか良いタイムをたたき出したことと、自ら十分な速さがないと語っていたBMWが十分以上の速さを見せ付けたこと。クビサの最後のアタックは素晴らしいペースで、コースをはみ出す事がなければPPはBMW-クビサのものとなっていたことだろ。

 負け惜しみでは言うのではないけれど、予想は裏切られるほど、見ては楽しいレースとなる。明日の決勝レースが待ち遠しいぞ。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の一枚は、冬枯れの森の中で真っ先に春の訪れを告げるキブシの花。

☆☆☆

 今日、恩田の森で撮影した写真をこちらに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
恩田Now 
コメント ( 2 ) | Trackback (  )

2008年 F1GP開幕

 待ちにまった2008年 F1GPが開幕した。開幕戦はオーストラリアGP、メルボルンのアルバート・パーク・サーキットで行われるから、日本のファンにとっては、フリー走行、予選決勝まではほぼリアルタイムでその模様を見る(知る)事が出来るのも嬉しい。もっとも金曜日のフリー走行は仕事中であったりするのでちょっと周りを憚ることになるが。

 フリー走行の結果の詳細は他のサイトでご覧いただくこととし、ここでは書かないが、金曜日の最速は下馬評通り、フェラーリのキミ・ライッコネン。フリー2では見事トップタイムをたたき出したマクラーレンのハミルトンも、フリー1でライッコネンが記録したタイムに僅かに及ばなかった。

 金曜日のフリー走行は、燃料搭載量、タイヤのチョイス、空力のバランスなどによってそのタイムはまちまちとなるために、このタイムで予選・本選の結果を占うことは難しいが、フェラーリ、マクラーレンのように正しく速いチームはどのような状態でも良いタイムをたたき出す。

 決勝で中団を走ることになるマシンが初日のフリー走行でよいタイムを記録することもあるが、そのタイムを出すための良い条件の中で走った結果だと言うことである。今日のフリー2では地元出身のマーク・ウェバー(レッドブル)が2番手のタイムを記録しているが、これなどはその良い例だろう。

 確かに今シーズンのレッドブルのマシンはなかなか良い仕上がりのようだし、ウェバーも地元の声援がターボ代わりになったのかも知れないが、決勝レースでも彼がこの位置を走るということは、まず考えられない。

 また、どのような状況の中でも遅いマシンは、当たりまえの話だが、そのタイムは常に下位に位置することになる。こちらの好例がSAF1とトロ・ロッソだ。つまり、オーストラリアGPのトップ2はフェラーリとマクラーレン。そしてテールエンドがSAF1とトロ・ロッソということだ。残りの7チームはどうなるかわからない。当たりまえ過ぎて面白くも何ともない郷秋<Gauche>の予想だ。すまぬ。

 アルバート・パークはモンテカルロにも通ずる言わば特殊なサーキットであり、ましてや今シーズン最初のGP、しかもその初日の結果でシーズンを占うのは難しいと言うものだ。

 そんな中ではあるけれど、注目すべきはウィリアムズ。若い二人どこまで先頭集団についていけるのか、更に、ロズベルクと一貴のタイム差にも注目。次いでレッドブル。昨シーズンの好調を維持し、オフのテストでも速さを見せ付けていたわけだが、BMW、ウィリアムズといったライバルとどういう位置関係になるのか。マシンのポテンシャルが似たようなものであれば、荒れたレースになればベテラン二人の本領発揮でポイント獲得どころか表彰台の最後の一段を得る可能性も無くはない。

 アロンソを迎えたルノーが、第二集団の中でどの程度のポジションを獲得するかにも注目。また、そのルノーから放逐されたフィジケラが、冴えないマシンでどこまで頑張る事が出来るのか。現代のF1職人、フィジコのドライビングにも注目したいところである。
 
例によって記事本体とは何の関係もない今日の一枚は、蝋細工ような「ボケ」。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

D3対応修理完了

 4日に、SIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC HSMのD3対応修理の依頼のためにSIGMA本社を訪ねたことを書いたが、そのレンズがようやく今日、戻ってきた。

 依頼の時に10日程かかると言われたので、それじゃ困るので「至急」でお願いしたのだが、結局戻るまでに10日を要した。急いでと言わなければ、10日以上かかったと言うことかもしれない。

 4日の記事に「会津工場から送られてきたりして」と書いたが、郷秋<Gauche>の予想は見事に当たり、宅配便(元払いだった)の発送先はSIGMAの会津工場であった。しかし、その時の「シグマのレンズのファームウェアは、書き換えが出来ないのだろうと想像した。つまり、工場に送って、ばらして、最新のファームウェアを組み込んだチップと交換するんじゃないかと」という予想が、当っていたのかどうかは、結局判らないままとなった。

 修理納品書には「対応修理(D3)/ D3へのファームウェアの最適化調整を行いました」とあるだけで、それ以上のことはわからないのである。SIGMA本社に電話でもすれば教えてくれるのかも知れないが、まっ、そこまでしなくても、というところである。

 いずれにせよ、郷秋<Gauche>のSIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM はD3対応となり、いつD3を購入しても良い状態となったわけである。って、D3は高すぎるし、その前に欲しいレンズもあるから買えないけどね。
 
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

ついに薬に手を出してしまいました

 数年前から、2月に入るとクシャミ、鼻水、目の痒みに悩まされておりましたが、今年は例年にも増して激しい症状。特に目の痒みは耐え難いものがあり、気がつけば手で「ゴシゴシ」。これじゃ痒いだけではなく、細菌が目に入り病気になるんじゃないかと思い、ついに薬に手を出してしまいました。

 長期間の服用になりそうなので、一回2カプセル指定のところを1カプセルにしていますが、これでも十分に効果があり、クシャミも鼻水も目の痒みも相当改善されています。こんなに楽になるとは思いませんでしたが、今度は薬なしの生活には戻れないんじゃないかと言う気がして、ちょっとコワイ、かな?
 
例によって記事本体と何の関係もない今日の一枚は、今が盛りの椿。
コメント ( 2 ) | Trackback (  )

SAF1は昨年型、フェラーリは2009年マシンの開発着手

 2月29日に、ニワトリが先か卵が先かと題して、スポンサーが付くから速くなるのか、速いからスポンサーが付くのかについて書いた。つまり速いチームはますます速くなり、遅いチームはいつまでたっても遅いままであることについて考察(って程じゃないけど)したのだった。

 驚くべきことに、スクーデリア・フェラーリが2008年シーズンが始まる前に、既に2009年シーズン用マシンの開発に着手している事が報じられた。「速いチームはますます速くなる」の、まさに好例である。

 そんなフェラーリに対して、我らがSAF1はと言えば、ようやく昨日、2008年シーズンを戦うドライバーを発表したところ。ようやくドライバーが正式に決定したわけだが、シーズンを戦うマシンがどのようなものになるのかについては言及されなかった模様。

 言及されなかったというよりは、発表するだけの内容がないと理解するべきかも知れない。つまり、今シーズンを(前半は、と思いたいが)戦うマシンは昨年型のSA07をベースに、2008年のレギュレーション適用対策を施したものと言うことだろ。

 噂されていたインドマネーによる買収ではなかったことから、アンソニー・デビッドソンの留任とホンダからの技術(資金)支援が継続されることが確実になったことは幸いであるが、マグマグループとの関係がどのようなものになるのか判明していない現時点では、メルボルンのスターティンググリッドにつけること以外の、過大な期待を抱かない方が良いだろう。

 デビューシーズンと同様のテストなし、ぶっつけ本番でのシーズン入りとなるが、今後、財務内容が安定的に補強され、更にロス・ブラウン率いるホンダからの技術支援が本格的になれば、SAF1の成績も徐々に上昇することも考えられる。徐々にではあっても、速さを身に付けメディアへの露出が多くなればスポンサーの登場を期待することもできよう。

 フェラーリのように、更に1年先のマシンの開発までは望むべくもないが、せめて、シーズン中のマシン開発が他チームと同程度のペースで、最終戦まで行う事が出来る体制を期待したいものである。欲を言えば、シーズン後半には2009年用マシン開発に着手し、今年末にテストが出来れば申し分ないわけだが・・・。
 
 例によって記事本体と何の関係もない今日の一枚は、まもなく「とうが立ち」そうなフキノトウ。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

SAF1の「パートナート」とは

 SAF1の鈴木代表は、今日の会見で、「イギリスのマグマグループとの提携」及びドライバーを佐藤琢磨とアンソニー・デビッドソンとすることを発表した。

 琢磨の相棒がデビッドソンとなったということは、マグマグループとの「提携」が、一応、ホンダの意に適ったものである事が伺えるが、問題は「提携」という言葉である。あるメディアでは、「スポンサーではなくパートナー」と報道されているが、パートナーであるとするならば、マグマグループが取得したSAF1の株式はその50%。もしくは50%に近いものである事を思わせるが、「マグマ・グループがスーパーアグリF1チームの新たなチームのパートナーとしてチームを取得する」とも言われており、この言い方からすれば、これまで鈴木代表がもっていたSAF1の全株式がマグマ・グループに買い取られたと理解できる。

 今夕確認する事が出来るWeb上の情報だけでは、一体全体、今現在のSAF1の所有者が誰であるのかがまったく知る事が出来ない。もっとも、F1において大事なのはチームの所有者ではなく、マシンが優れているのかいないのか、ドライバーが誰なのか、チームの監督が誰なのかということである。

 チームの株式を誰が所有しているのかによって、今後のエンジン供給がどうなるのかなど、中長期的な問題は生じるが、少なくとも2008年シーズンを戦うに当っては、それほど重要な問題とはならないように思える。今日のところは、2008年シーズンにおけるSAF1の監督が鈴木亜久里氏であること、佐藤琢磨とアンソニー・デビッドソン、二人のドライバーによって2008年シーズンを戦うこと、そして、(SA07BなのかSA08なのかは依然として不明だが)SAF1チームのマシンに搭載されるエンジンがホンダ製であり、2台のマシンがアルバートパーク・サーキットのスターティンググリッドにつく事が出来ることを確認できたことを持って良しとするしかないだろ。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、竹林の中の散歩道。都市近郊の里山においての竹は、雑木林のクヌギやコナラを駆逐する悪者とされる事が多いが、竹林化の主たる原因は、社会構造の変化により雑木林の手入れが出来なくなったことであり、竹には何の罪もないことは明白。竹林の中の散歩は、雑木林におけるそれとはまた違った清しさがあり、一度覚えると病みつきになる。
コメント ( 1 ) | Trackback (  )

SAF1の機材はメルボルンに到着しつつある、らしい

 SAF1の2008年シーズン用の機材の第一陣が既にメルボルンに到着し、更に次便の到着を待っているところだと、複数のメディアが報じている。メルボルン入り前の琢磨が日本に立ち寄り、「メルボルンのグリッドに並ぶ」と明言していることからも、これらの報道は事実なのだろ。

 だけれど、メルボルンに送り込まれたと言うSAF1のマシンは、いったい07Bなのか08なのかについて触れたメディアはない。1月と2月にヘレス合同テストでSAF1が走らせたマシンはSA07Bと呼ばれていたはずだが、2月のテスト直前にはクラッシュテストに合格した事が報じられているから、1月と2月のマシンは、別のものであったのかも知れない。

 もっとも、F1マシンはシーズン中にもかなりのテンポでアップデートされるから、初戦と最終戦とではまったく別なマシンになっているというようなこともままある話し。その意味では07Bでも08でも良いのだが、問題は2月14日のヘレスの合同テスト以降、まったくテストをしないまま開幕戦を迎えるということである。これでは2006年のデビューの時とまったく同じであはないか。

 いかに琢磨が「開幕戦に向け万端」とコメントしてみても、準備不足どころか準備なしての「ぶっつけ本番」であることは明白。勿論、SAF1には走ってもらいたいし、ただ走るのではなく、少しでも上位に食い込む熱い走りを期待したいところだが、やはり、難しいと言わざるを得ないだろな。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、すみよしの森にある小さな石の祠。念のために辞書を引いてみたら、祠は「神を祭った、小さいやしろ(社)」とあった。では、社はといえば「一定の格式をもった神社」だという。これまで何度か「小さな祠」と書いた事があったが、辞書によれば、これは「重言」であるということになるが、写真の祠は余りにも小さいので、あえて「小さな祠」と標記した。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

2008年、トヨタは勝つつもりらしい

 FMotorsports F1によれば、7日に東京都内で開催した2008年モータースポーツ活動発表会の席上、渡辺捷昭社長が「F1ファンの皆様に初優勝の感動味わってもらいたい」と発言。念願の初勝利に意欲をみせたということである。

 郷秋<Gauche>も10日程前に、今年のトヨタはまずまずの仕上がりであるというようなことを書いたが、優勝するためには、フェラーリの2台とマクラーレンの2台、そしてBMWとウィリアムズ、レッドブルの6台の内の3台くらい、つまり6、7台のマシンを抜き去らなければならない。あるいは何らかの理由でこの6、7台がレースを離脱するような、特殊な事態になるとか。

 F1は参加することに意義があるのではなく、今は下位を走るチームであっても、いつかは表彰台を、更には優勝を目指してチームもドライバーもしのぎを削っているのである。だから、渡辺社長、勝ちたいと思う気持ちはわかる。2008年には自動車(市販車)の世界で名実共にNo.1になるであろうトヨタが、いつまでも中位を走る、その他大勢でいるわけにはいかないこともわかる。

 しかしだ、シーズン前のテストでたった一度、トゥルーリがトップタイムを記録したからと言って、18回のレースで、いるも先頭を走れるなんて思ったら大間違いだ。
 まっ、社長としては「今年も中団の中で良いところを見せたいと思っています」なんてコメントするわけには行かないか。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、芽吹きの時を待つ木。いっけん冬枯れのままに見える雑木林も、良く見ると春の準備が既に整っていることに気づきます。
コメント ( 3 ) | Trackback (  )

世界遺産巡礼の道をゆく ― カミーノ・デ・サンティアゴ ―

 
 巡礼路としては、最初に世界遺産に指定された「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の「今」を遍く縦覧することの出来る写真集。当blogの読者であれば、既にお気づきの通り、3月3日にご紹介した世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道―の姉妹編である。

 「巡礼の道」と言えば、熊野古道や四国の遍路道はすぐに思い浮かべることが出来るけれど、よもや現代のヨーロッパに「巡礼の道」があるとは思いもしなかった郷秋<Gauche>は、この書に出会って開眼した。現代のヨーロッパにあって、「巡礼の道」が存在し、そして、その道を歩く人々がいることに。

 だが、考えてみれば現代日本における「熊野古道」も同じである。「熊野古道」が世界遺産に登録されたことは知っていても、今でも山伏様の修験者がこの道を歩いているとは、日本人である郷秋<Gauche>にあっても、「世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道―」を読むまで、知ることはなかった。

 現代ヨーロッパにあっての「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」は、日本における「熊野古道」と同様の位置づけであるのかも知れないが、本書を読むと、ヨーロッパの「普通の」人々が、バカンスを利用したりしながらこの巡礼路を歩いていることを知る事が出来る。勿論それは「普通」のことではなく、日本におけるそれと同じように、相当特殊な人々の、特殊な行動なのではないかと想像することが出来るけれど。

 3日にご紹介した「熊野古道」もそうであるが、本書もまた、キャプションとノーツは、すべて日英二ヶ国語で標記されている。何故この手の写真集が大学出版局から出されることになったのかは不明だが、それ故の日英二ヶ国語でのキャプションと思われる。

 「熊野古道」同様、フォト・ルポルタージュ的内容であり、ヨーロッパにおける巡礼路を知るために、また東西の宗教精神の違い、あるいはそれの根付いた文化の違い、またそれらを包含する自然のありようを知るためには、貴重な一冊であることと思う。ぜひとも「熊野古道」と合わせてご覧になられることを、お勧めする。

世界遺産巡礼の道をゆく ― カミーノ・デ・サンティアゴ ―
南川三治郎著
玉川大学出版部 (ISBN:978-4-472-12004-6)
発行年月 2007年12月
A4版 127頁
3,045円(税込)

 なお、本書の出版元である玉川大学出版部では、本書の出版を記念し、同大学の博物館において企画展示(4月14日(月)~7月13日(日))および、著者、南川氏による講演会(4月19日および6月7日)を計画しているようである。詳細はこちらをご覧頂きたい。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

ポルシェがVWを子会社に?!

 昨日の夕食時、例によってビールを飲みながら、親愛なる神奈川新聞の経済欄(神奈川新聞にも経済欄はある)を見ていて、ビックリ驚いた。

 「ポルシェがVW子会社化」というタイトルの記事だ。どうしてたった一文字、「の」の字を入れて「ポルシェがVW『の』子会社」としないんだろうと思った。でも「ポルシェがVW『の』子会社(に)」なら判るけれど、おかしい。どう読んでも、「ポルシェがVW子会社にする」というタイトルだ。

 またまた神奈川新聞がやらかしたかと思い記事を読んで、郷秋<Gauche>は驚いた。記事は、どう読んでも「ポルシェVW子会社化する」という内容だ。

 記事内容とタイトルに齟齬がないことはわかったけれど、今度は別の疑問が・・・。つまりだ、子会社と親会社の関係って、当然のことだけれども、親会社の方が大きくて、子会社が小さいわけだよね。ということは、ポルシェがVWよりも大きな会社だと言うことか?

 ポルシェがVWより、少なくとも3倍以上高価なクルマを製造・販売していることは知っているけれど、台数では天と地ほどの差があるはずだ。調べてみると、VWの618万台(アウディ、シュコダ、セアトなどグループ会社の分を含む)に対して、ポルシェの販売台数は10万台足らず。いかに1台当たり3~5倍の価格のクルマを売っても、台数は60分の1以下。大人と子どもどころの差ではないではないか。

 この買収は、ポルシェサイドの監査役会がその計画を承認した段階であり、独禁当局の承認が必要との事なので、実現までには数ヶ月の時間を要するようだが、クルマ好きにはここ暫くはこのニュースから目が離せないなぞ。

注:「ビックリ驚いた」は、普通に言えば「重言」だが、郷秋<Gauche>が生涯の師と仰ぐ方が生前よく使われていた言葉であることから、郷秋<Gauche>も真似て良く使っている。勿論、師のように上手く使うことはできないが。
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、すみよしの森、山王神社境内にある、大人で二抱えはあろうかという藪椿の大木。樹齢360年と言われるこの椿は、横浜市の名木・古木の指定を受けている。
 ところで、「山王神社境内にある」と書いたが、4年間も毎週この前を通っていて、そこが「神社」であったことを、初めて知った郷秋<Gauche>である。確かに椿の前に白木の大きな鳥居がある。そして椿の木の奥には、セントバーナードの犬小屋程の大きさのお社がある。でも、これが「山王神社」という立派な名前を持っている「神社」であったことは、いま、初めて知ったぞ。
コメント ( 4 ) | Trackback (  )

トヨタ、航空機事業に参入

 自動車メーカー世界一の座を事実上手に入れた(2008年末には名実共に世界一となることだろ)トヨタが、今度は航空機事業に参入する。

 ホンダが100%自社開発の6人乗りのビジネスジェットで航空機事業に参入したのに対して、トヨタは三菱重工業が小型ジェット旅客機(MRJ)の開発・製造のために設立する会社に対して100億円程度の出資をすることでの参入となる。二者二様であるが、実にそれらしい選択ではある。

注:MRJについては、ネットで検索する他、郷秋<Gauche>が書いた2つの記事も参考にしていただければ幸いである。-->こちらこちら

 MRJに関するニュースでは、昨秋には搭載エンジンにプラット・アンド・プラットニー(H&P)を選定、年が変わり2月には主要コンポーネントメーカー5社を選定、更には複数の航空機メーカーの業界団体に加盟するなど、来るべきローンチに向けて着々と準備を進めている。

 ローンチのためには少なくとも100機程度の受注が必要だとされているが、ANA、JALのみならず欧米の複数のエアラインもMRJに関心を示しているというから、正式なローンチ決定の朗報も遠からず聞けるものを大いに期待したいところである。

 ちょっと待て、90-70席クラスのリージョナルジェットを持たないANAはともかく、系列のJ-AIRでボンバイディアCRJを運行し、2009年にはエンブレル170を導入するJALがMRLに色目を使っていると言うのはどういうことだ?

 50席のCRJはともかく、78席のエンブラエル170はMRJとまったく同じクラスだ。似たようなクラスで3機種も運行したんじゃ効率悪過ぎだろう。エンブレルは国策旅客機MRJ登場までの繋ぎということなのかな?
 
 例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、梅に次いで見頃を迎える、椿。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

郷秋<Gauche>、シグマ本社に行く

 シグマの10-20mm F4-5.6 EX DC HSM(製造番号2160001より前の製品)が、「D3」との組み合わせにおいて、「DX自動切り換え」に対応していない事が判明したことから、対応ファームウェアへのアップグレードサービス(無償)が開始されたことを1月24日に、書いた(こちら参照)。

 ネットで調べたら、シグマの本社が郷秋<Gauche>の生活圏のすぐそばにあるのがわかったので、すぐにでも直接持っていくつもりであったのに、諸事にまぎれて遅くなってしまっていたが、ようやく今日、行くことが出来た。

 シグマは、長らく東京都狛江市に本社を置いていたが、つい2年前に、川崎市麻生区栗木に移転したとのこと。現在の本社がある場所は、小田急多摩線黒川駅が最寄になるが、川崎のチベットと言っても良いような場所にある。元へ、川崎に山の手(の、奥の奥)である。

 ご存知のように、川崎市は東西に長く、海側の川崎がかつて公害の街と言われたのに対して、最西端の麻生区、特に小田急多摩線沿いの地域には、横浜市青葉区辺りと同じような、緑あふれる新しく清潔な街並みが広がっている。

 そんな川崎市麻生区にあるシグマ本社に出向いてきたのだが、ちょっと驚いた。サードパーティーの本社と言うと、何となく工事現場のプレハブに毛が生えた程度の社屋を郷秋<Gauche>は考えてしまっていたのだが、勿論そんなことはない。いやいや、立派な本社々屋であった。

 車寄せのある正面玄関(社長用なのだろ、黒塗りのレクサスLSが止まっていた)を入り右手に進むと商談スペースにもなるのであろう広いいロビーがあり、右手の壁際のショーケースには歴代のカメラ・ボディと現役のレンズ、ストロボがずらりと並んでいたが、超弩級ズームレンズ「APO 200~500mm F2.8/400~1000mm F5.6 EX DG」がなかったのが、ちょっと残念。

 可愛い受付嬢に、レンズのファームウェアのバージョンアップのお願いに来た事を伝えると「お掛けになってお待ちください」とのこと。座るとすぐに、件の可愛い受付嬢が、紙コップだったけれどお茶を持ってきてくれた。せっかくなので飲みながら待ていると程なく如何にも技術者然とした年配の担当者が出てきて、修理受付票を書いてくれた。

 ファームウェアのバージョンアップ、実は、その場で出来るのではないかと思っていたのだが、予想に反して作業に10日程かかるとの事。

 カメラ本体のファームウェアの入れ替えは、勿論自分でする。ネットワーク上から新しいファームウェアを一旦PCにダウンロードしてからカメラ本体に入れ込むわけだが、所要時間は数分程度である。なのに、シグマのレンズは10日間。

 郷秋<Gauche>は、シグマのレンズのファームウェアは、書き換えが出来ないのだろうと想像した。つまり、工場に送って、ばらして、最新のファームウェアを組み込んだチップと交換するんじゃないかと。

 勿論「至急」扱いで作業してくれるようにお願いをしたのが、作業が終わったら宅配便で自宅まで送ってくれるとの事。「着払いで」とは言われなかったから、送料はシグマ持ちなんだろうな。福島県の磐梯町(会津磐梯山の麓にある。昨年の夏に通りがかった事があるが、こちらもなかなか大きな建物であった)にある工場から送られてきたりして。

 立派な本社々屋、可愛い受付嬢(おいおい、またかよ!)、丁寧な対応の結果、郷秋<Gauche>の中でのシグマ株は赤丸急上昇。実は、ニコン純正の70-200mm F2.8を密かに狙っていたんだけれど、「シグマの70-200mm F2.8もいいじゃないか。VR(シグマではOS)は付かないけれど純正の半額(3/1にプライスダウンになっている)で手に入るんだから」と思い始めている郷秋<Gauche>である。
 
 今日の1枚は、本日話題にしたSIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC HSMで撮影した、七分咲きの「谷戸奥の一本梅」。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道 ―

 
 フランスからスペインへと続く「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に次いで、巡礼路としては2ヶ所目に世界遺産に指定された「熊野古道」の写真集である。類書は多く、今更と思われる方も少なくないだろうが、郷秋<Gauche>にとっては始めての「熊野古道」である。類書をまったく見ていないという勉強不足故に、見当違いを書くやも知れぬがお許しいただきたい。

 著者、南川三治郎氏は、本著のために世界にたった3台しか存在しないという「ディアドルフ8×20インチ」を撮影機材として選んでいる。現在、最も大きなサイズのフィルムを使うカメラとして、8×10(「エイト・バイ・テン」と読む。8×10インチのシートフィルムを使う)は知っていたが、「8×20」などというカメラがあるとはまったく知らなかった。

 四半世紀もの間、倉庫で眠っていたという機材を整備し、同時に8×10と4×5(「しのご」と読む。4×5インチのシートフィルムを使う)用のアダプターも新たに製作したという。フィルムは富士フィルムが用意したらしいことが窺われるが、果たしてどのようなレンズを使用したのかについては、残念ながらまったく触れられていない。

 霊験なまでに美しい道だけを描いた著書ではない。点在する寺の本尊も写し取り、修験道者の姿も、古道の中で今を生きる農家の人々、子どもたちの姿をも取材しているがために、百数十点の写真を縦覧すると、読者の中には、あるいは散漫な印象を持たれる方もおられるかも知れない。しかし、郷秋<Gauche>はそれを、是としたい。なぜならば、古道はかつて生きていた道であるだけではなく、今もなお、その地で暮らす人々にとってはなくてはならない道であるのだから。

世界遺産巡礼の道をゆく ― 熊野古道 ―
南川三治郎著
玉川大学出版部 (ISBN:978-4-472-12003-9)
発行年月 2007年12月
A4版 126頁
3,045円(税込)
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

2008年、注目すべきはウィリアムズ

 3月最初の日曜日。2週間後のこの時間には今シーズン最初のレース、アルバートパーク・サーキットでのオーストリアGPが終わり、2008年各チームの勢力分布がある程度わかっていることだろ。ただし、アルバートパーク・サーキットはその一部が公道であることなどから、次戦以降続くパーマネントコースでの戦果をそのまま占うことは出来ないことには注意する必要がある。

 さて、シーズン前のテストで断トツの速さを見せ付けたフェラーリが、今シーズン最もチャンピョンに近いところに位置していることに異論を挟む方はいないだろ。そしてフェラーリを追うのがマクラーレンであることも。2007年に死闘の末にチャンピョンを獲得したことからスクーデリア・フェラーリのモチベーションは非常に高い。F1で勝つためにはこの「モチベーション」が大きな意味を持つのである。

 そのことから言えば、今年のルノーは2006-2006年チャンピョンを向えモチベーションは2007とは比べ物にならない程高まっているはずだが、その気持ちにマシンが追いつくには暫くの時間がかかることだろう。つまり、シーズン後半からは表彰台を巡る争いに絡んでくることはあっても、チャンピョンシップを争える位置にはいないと言うことだ。

 2008年、フェラーリとチャンピョンシップを戦うのは、勿論マクラーレンではあるが、いまだに「スパイ事件」を引きずるチームのモチベーションは如何に。

 さて、2008年は、フェラーリとマクラーレンを追いかけるセカンド集団の戦いが昨年以上の火花を散らすことは確実である。昨年はセカンド集団トップの座を確実なものにしたBMWだが、シーズン前のテストではいまひとつさえないまま。逆に昨年BMWの後塵を拝したウィリアムズが、シーズン前のテストでは快調に飛ばしている。

 1997年以来勝利から遠ざかっているウィリアムズだが、ご存知の通り1986-87年にはホンダエンジンで勝ちまくり、ルノーエンジンを搭載した1992-95、1996-97にはチャンピョンに輝くなど、コンストラクターズタイトルを9度ものにしたF1におけるプライベートチームの雄である(ホンダエンジン、ルノーエンジン搭載時代は、実質的にはワークス体制であった)。

 そのウィリアムズが2008年シーズン前のテストでは終始好調な走りを続け、ある時には、その日の最速タイムを中嶋一貴が記録し締めくくるなど、日本人F1ファンには嬉しいニュースもあったことは記憶に新しい。その中嶋とコンビを組むニコ・ロズベルクはチーム3年目。若いがこれまで安定した走りを見せており、マシンの調子が良い今年、大いに期待されるところであるが、「今シーズンウィリアムズが3番手に浮上するのでは」との問いに、「ウィリアムズは3番手になれない」と答えるなど、堅実なところを見せている。

 昨シーズン最後の1戦を走ったとは言え、実質的には今年がデビューシーズンとなる中嶋一貴だが、こちらは今年の目標を「チームメイトに勝つこと」と語りながらも、「チャンスはあります。もちろん簡単ではありませんけど、でも僕としてはチャンスがあると思っています」と、隠れたる自信を見せながらも慎重な姿勢を崩さない。

 ニコが22歳、一貴が23歳と若いコンビであるが、少なくともコメントを聞く限りでは浮かれたところはなく、共に自身と自チームの力とポジションをしっかり把握しており、頼もしい限りである。二人揃って二世ドライバーであることから、何かにつけてその事が取りざたされるが、2008年は、それぞれを一人のドライバーとして、じっくり観察し、そして応援させてもらいたいと思っている。
 
例によって記事本体とは何の関係もない今日の1枚は、今が見頃の梅。
コメント ( 2 ) | Trackback (  )
« 前ページ 次ページ »