市内堀の「古土の溜池」は、農業用水用の溜池で、かつては集落の人達が、ここでコイやフナ、タナゴやナマズを捕まえて、自分たちの食糧としていたという。農家の人達の貴重なタンパク源であり、大きな恵みを与える溜池だったわけだ。
しかし、何者かがここにブラックバスを放流したため、生態系に大きな変化が起きた。春川町内会長によれば、「メダカやタナゴ、ナマズなどがいなくなった。もう大きなコイしか生息できない」という。また「ブラックバスは昆虫の幼虫も食べるから、昆虫も少なくなってしまった」と嘆く。本当にトンボの一匹も飛んでいる姿を見なかった。
「古土の溜池」は近年、ブラックバス釣りの隠れた穴場になっていた。釣り人のマナーはよろしくないようで、ルアーやテグスも落ちていて、草刈りの時大変危険な思いをするという。地元の人は、ブラックバスを放したのは業者ではないかとさえ言う。人気のブラックバス釣りのポイントが増えれば、ルアーや釣具が売れるからだ。また、釣り人は釣ったブラックバスのほとんどを再び放す。三十センチ以上のものは食べてもうまくないのだそうだ。
それにしても捕獲作戦は困難を極めた。池の水を落としたら、水中の藻が表面に現れ、ブラックバスの格好の隠れ家となってしまったからだ。捕獲されたブラックバスは体長四~五センチの幼魚も多く、これらを完全に駆除するのは至難の技である。
春川町内会長の「一匹残らず」の掛け声もむなしく、絶滅作戦が成功したとは言えなかった。会長は「作戦を練り直して来年もやらなければならんかなあ」と話した。
「古土の溜池」は面積も大きく、中央に弁天島もあって、なかなかのロケーションである。ここにメダカやタナゴが復活し、遊歩道が整備され、植樹された桜の花を楽しむ日がくることを期待したい。
P align="right">(越後タイムス10月6日「週末点描」より)
しかし、何者かがここにブラックバスを放流したため、生態系に大きな変化が起きた。春川町内会長によれば、「メダカやタナゴ、ナマズなどがいなくなった。もう大きなコイしか生息できない」という。また「ブラックバスは昆虫の幼虫も食べるから、昆虫も少なくなってしまった」と嘆く。本当にトンボの一匹も飛んでいる姿を見なかった。
「古土の溜池」は近年、ブラックバス釣りの隠れた穴場になっていた。釣り人のマナーはよろしくないようで、ルアーやテグスも落ちていて、草刈りの時大変危険な思いをするという。地元の人は、ブラックバスを放したのは業者ではないかとさえ言う。人気のブラックバス釣りのポイントが増えれば、ルアーや釣具が売れるからだ。また、釣り人は釣ったブラックバスのほとんどを再び放す。三十センチ以上のものは食べてもうまくないのだそうだ。
それにしても捕獲作戦は困難を極めた。池の水を落としたら、水中の藻が表面に現れ、ブラックバスの格好の隠れ家となってしまったからだ。捕獲されたブラックバスは体長四~五センチの幼魚も多く、これらを完全に駆除するのは至難の技である。
春川町内会長の「一匹残らず」の掛け声もむなしく、絶滅作戦が成功したとは言えなかった。会長は「作戦を練り直して来年もやらなければならんかなあ」と話した。
「古土の溜池」は面積も大きく、中央に弁天島もあって、なかなかのロケーションである。ここにメダカやタナゴが復活し、遊歩道が整備され、植樹された桜の花を楽しむ日がくることを期待したい。
P align="right">(越後タイムス10月6日「週末点描」より)