玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

夏が来れば思い出す

2008年02月07日 | 日記
 いきなり昨年十二月の有効求人倍率が一・三九倍(パートを除く常用)、一・二八倍(パートを含む全数)となり、ハローワーク柏崎によれば「調べたわけではないが、ここ十年来なかった高水準」とのことで、びっくりしてしまった。
 有効求人倍率は景気の指標として重要なものであり、この数字だけを見ていると、昨年末にかけて柏崎の景気は“急上昇”という風に見えなくもない。柏崎管内の有効求人倍率は、原発建設時に異常にはね上がり、建設終了と同時にどんどん落ちていって、平成十三年~十五年には〇・五倍のあたりで低迷していた。
 その後、景気の回復とともに少しずつ上昇して、ようやく平成十八年には一倍台に戻した。昨年の中越沖地震によるプラント5の撤退や、飲食・宿泊業の受けた大きな被害で、倍率は下がるのではないかと懸念されたが、そうはならなかった。
 しかし、パートを含めた新規求人、求職状況を見ると、求人数は横ばいだが、求職者数が激減していることが分かる。有効求人倍率の上昇はこのことに起因していて、必ずしも活発な景気を反映しているわけでもないようだ。地震の影響で求職どころでないという実情もありそうだ。
 一方、飲食・宿泊業の求人が昨年に比べて倍増している。これは、東京電力が社員を積極的に観光客として柏崎に送り込んでいることも一因のようで、内藤観光協会会長によれば、「宿泊は戻った。満員で断っているところもある」くらい好調という。
 しかし、内藤会長は「東電客もいつまでも続くわけではない。今年の夏が勝負だ」と話している。内藤会長は「夏が来れば思い出す」の歌の文句を引いて、中越沖地震時、原発から上がった黒煙のイメージが、観光客の心に甦ってくることを心配しているのだ。

越後タイムス2月1日「週末点描」より)