玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

目的地は文翔館

2009年10月07日 | 日記
 目的地は山形県山形市の「文翔館」。朝六時にカーナビ付きのワンボックスカーに乗って柏崎を出発した。自分の車には付いていないから、音声でガイドをしてくれるカーナビがとても珍しくて楽しかった。
 目的地に近づくまで、「この先を右に曲がれ」だの「左に曲がれ」だの案内してくれ、到着時刻まで予測してくれるのである。とても便利なものだと思った。しかし、古いカーナビだったようで、新しくできた道路を走る時には、画面上では田んぼの中を走っているように表示される。
 それより困ったのは、大事な山形市内に入ってからは、カーナビがすっかり無口になってしまい、何の案内もしてくれなかったことだ。あとは地図をたよりに走ったので、結局古いカーナビは何の役にも立たなかったことになる。
 市内の繁華街に入ると、正面突き当たりに歴史的建造物が見えてきた。これが目指す「文翔館」に他ならない。大正五年に再建され、国の重要文化財に指定されている、旧山形県庁舎である。遠目にも中央にそびえる時計塔が美しい。近づくと大理石貼りの重厚な建物であることが分かる。
 そんな建物の中で、第二回目の「ボーダレス・アート展in山形」は九月二十三日まで開催されていた。我々は、そこで展示されていた作品の一部を、今月十七日からの「無心の表現者たち~アール・ブリュットin柏崎」のために受け取りに行ったのであった。
 「文翔館」は広く県民に開放されていて、五つの会議室と八つのギャラリーなどが、割安で利用できる。歴史的建造物が、現役で活用されていることは、とてもいいことだと思った。
 「ボーダレス・アート展」の実行委員長に話を聞くと、山形市ではここしか大きな展示スペースはないのだそうである。県立美術館が二つもある新潟県とは大違いだが、それでいいのではないか。
 「ボーダレス・アート展」のスタッフは、東北芸術工科大学の学生をはじめ、若い人ばかりであった。「無心の表現者たち」展実行委員の平均年齢は五十歳台であるから、比較のしようもない。暗然たる思いに駆られてしまったが、老骨に鞭打って頑張るのみ。

越後タイムス10月2日「週末点描」より)


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