離婚の際の、さらにはその前段階の別居中における、子供の面接交渉について、
従来は副次的な主張だったように思いますが、
近年は、それ自体がメインテーマになったようです。
こどもとの面会交流のあり方についても、細かな配慮を要求する当事者の申立について
裁判所も実態に則した判断をするようになってきました。
家裁月報の最新号をみていると、調停で合意した面会交流を拒絶したことが
債務不履行にあたると認められ、監護親は非監護親に損害賠償責任(慰謝料)として
70万円の支払いを命じた判決が紹介されていました。(横浜地裁H21.7.8判決)
高裁もこの判決を支持しています。
この種の事案に損害賠償を認めた多分初めての判決と思います。
慰謝料の額からいっても、裁判所が面接交渉権の重大さを認識していることが
理解されます。
また、子供の引き渡しについても、その引き渡し命令に応じない親に対して、履行を
強制する申立を認容する判断が出されることも多くなりました。
子を思う親の気持ちを思うと、特に監護親になれなかった親のつらい思いについては
無力を感じるだけなのですが、
離婚をする限り、どうすることもできません。
離婚をした場合の親の子供の監護を巡る法律関係について、ようやく日本でも
メインテーマとして認められるようになり、関係者の間で、あるべき親子関係について
現実的で柔軟、妥当な解決を模索する動きが真剣になされています。
国際結婚が破たんした場合のこどもを巡る争いのルールを決めたハーグ条約ですが、
G7で加入していないのは日本だけということですが、
国内の状況をみると、もうそろそろ加盟してもいいのではないかという気がします。
国内で女性たちは有利な戦いをしています。
その逞しさがあれば、外国ででも戦っていけると思います。
内弁慶にならずに、外に向かっても権利主張をする、交渉をすることは
これからの時代にはどうしても必要です。
わたしたち法律家は、個別事例で日本人女性の権利が不当に侵害されることの
ないように何をなすべきか、どう対処すべきかを具体的に検討する責任があり、
それに応えられるよう研鑽をする必要があるといえましょう。