シリーズ3(BBBの最初の放映2003-2004)の最終話です。
シリーズ3は、懲罰法廷(Health Hazard)(2003年11月27日放送、視聴者数660万人)、
自由を買える男(Judicial Review)(2003年12月4日放送、視聴者650万人)、
陰謀(Conspiracy)(2003年12月11日放送、視聴者660万人)、
そして携帯訴訟(Econimic Imperative)(2004年1月26日放送、視聴者620万人)
の4話です。
さて、ANXミステリーでの放送は時機を得たものです。既に皆様もご承知でしょうが、
WHOからこの5月31日、携帯電話の使用で脳腫瘍リスク増大との発表があったばかりでした。
参考のために、CNNの日本語版からコピーしたものを末尾に貼り付けておきます。
本話の携帯訴訟も携帯電話が原因で悪性脳腫瘍になったというものです。
ダイアナ・ハルシーという未婚の母が被害者です。
前段のお話は第9話の「懲罰法廷(Health Hazard)」に出てきます。
(これについては、順序が逆になりましたが近日中にご紹介します。)
ジョー・ミルズが代理人です。
携帯電話会社はワン・ウエイ(One Way)という会社です。
会社の代理人は、ディード判事の元妻のジョージ・チャニングです。
彼女の依頼者は大企業が多いです。訴訟よりは話し合いを好みます。
ジョーとは違ったタイプですが、やり手です。
お父さんは高裁判事のジョセフ・チャニングです。ディードとは違って典型的判事、無難主義です。
ですから、ディードの天敵であるイアンともうまくいっています。
第9話を受けて、ワン・ウエイ社が和解に応じることを決めたところからスタートします。
ジョージが「和解することに決めたことをご報告できて嬉しいです」と神妙に始め、
ディードも「和解の理由が何であれ、こういう訴訟はストレスがきわめて大きいし、費用も嵩むので
良かった、原告もいいですね」と、和気あいあいの雰囲気ですが、
肝心の原告が法廷にまだ姿を見せていません。
「こういうことはこれまでに無かったのですが、連絡もとれていません。
本人の確認が取れていないので、ちょっとお待ちを」というジョーに、ジョージはわざと聞こえるように
「死んでしまったのかも」と呟きます。これがジョージのやり方なんです。
わざわざ相手の神経を逆なでするようなことを平気で言ってしまうのです。
実は、ダイアナの脳腫瘍は取り去ることは危険でできないのですが、プラントを埋め込む治療
をすることになっていたのです。
危険の告知を受け、手術の同意書にもサインしていました。
ところが、急に医療トラストから治療費を出せないといわれ、手術を断念せざるを得なくなったのです。
彼女の治療は試験的なものなので、トラストには負担義務がないというものです。
彼女が裁判に遅れた理由です。
事情が変わったので、ダイアナの気持ちも変わりました。
和解を拒否し、裁判を進めることにしたいというのです。
ジョーが、そうはいっても裁判を進めるかどうかは裁判官次第よと助言しますが、彼女の意思は固いです。
手術ができないとなると、いつ死が来てもおかしくないという状態です。
6歳のマイケルが一人残されます。
彼のために、お金を残してやりたいという気持ちがあるようです。
多分、ディードでなければ、裁判は終わりになったかもしれないのです。
ですが、ディードですから、何でもありです。
(イアンが常々ディードは信頼できない(not reliable)というのはこういうことです)
ディードはこういうタイプの訴訟の大変さを説明しますが、ダイアナとしてはやるしかないわけです。
というのも、手術の中止は、ワン・ウェイ社の圧力があったからなんです。
ダイアナの気持ちはわかりますよね。
ディードは陪審員選任の手続きにはいることを告げます。
早速、ジョージは異議を申し立てます。こういう裁判は技術的、専門的知識が必要でなので、
陪審裁判は適当でない、現に、今ではこういう裁判を陪審員のもとですることはほとんどなくなっていると
いうものです。尤もな意見です。
また、陪審員は感情的になるので、このような裁判では自分の依頼者に不利であると、食い下がります。
「裁判官にも感情はある。ただ、裁判官は感情を隠すのがうまいだけだ」とディードの反論です。
裁判官も感情で動くということなのです(みなさんも納得させられることがあるでしょう)。
ところで、陪審制ですが、コモンローの国では、民事も刑事も陪審が原則でした。
書物によると、裁判官も今のようにプロフェッショナルではなかった、ということで、知識の不足分を
陪審員が補う必要があったというものです(この発想おもしろいですね。)。
話がそれますが、数年前にアメリカの陪審制の視察をしたことがありました。
彼らによると、仮に誤判があったとしても、陪審員の誤判は許せると言っていましたが、
とても印象的でした。
民主主義とはそういうものなのですね。
さて、民事について、実際に陪審がおこなわれるのは現在では全体の1%程度ということですが、
陪審員による裁判を受ける権利は、民事についても今も保障されています。
どういう場合には必ず保障するかなど、法律で詳細な定めがあるようです。
ジョージの異議に対し、ディードは条文を引用して、最後は、裁判官の裁量によることになっている
と撥ねつけてしまいます。
陪審員が選任されました。こういうディードの訴訟指揮をみると、ディードが被害者よりであることは
なんとなくわかりますね。
ただ、ジョージは和解は取り下げることなく、そのまま維持することを明らかにします。
いよいよ証人尋問です。
原告本人が最初です。途中で、放心するような場面があり、確実に健康が損なわれていることが
わかります。
彼女が選んだタイプは小さくてかわいいものです。
選択の理由について、小さいということと無料パッケージの内容の二つを挙げていました。
一日の使用回数・時間(1日平均23分、1回あたり1分30秒)、どういう場合に使うかなど
細かく証言させていました。
なお、彼女の仕事はがん患者のカウンセリングをする看護婦です。
いかに携帯が必要か(仕事上)、必需品化していることも証言させます。
当然、どのような症状がでるのか、その始期、なども詳しく聞きます。
さらに、使用説明書に使い方についての注意書がないことも確認しました。
正直、1日23分は、少ないとはいえないとは思いますが、だからって何なのというのが感想です。
原告の尋問を聞いただけでは、脳腫瘍の原因が携帯電話ということまでの心証は難しいかも?
今度は被告側ジョージの番です。
ミセスと呼びかけます。ジョーが記録をみてミスだとわかっているはず、正確にと異議を申立ます。
ジョージはわかって使っているのです。ダイアナは未婚の母です。
陪審員向けに(中には未婚の母に偏見を持っている人もいるでしょう)、わざとなのです。
陪審員の方を向いたり、陪審員にいかにアピールするか、大変神経を使っているのがわかります。
日本では、相手は裁判官だけですので、かなり違うなと感じます。
なお、ジョージのこのやり方、別のやり手の弁護士カウントウエルと似ています。
興味深いです。
両親のことを聞きます(全部事前に調査済みなのです)。母親は乳がん、父親は脳腫瘍で死亡したと
証言を引き出します。
「その他の身内についてはどう?」
「いるかいないか付き合いがないのでわかりません。」
ジョージ「そうすると、あなたの身内のひとは「全部」がんで死んだということになりますか」と
用心深か~く質問します。「全部」というところをゆっくりと力を入れて強調します。
「そうです」ダイアナはそっけなく認めます。
実際は二人なんです。でも全部なんです。
ですが、こういう風に「全部がんで死んだ」という言い方で纏めることにより、
彼女のがんは遺伝的なものだということが、陪審員の頭に刷り込まれてしまいます。
「だってみんながんで死んだんでしょう」と。
ジョージはなかなかのやり手ですね。
反対尋問は成功です。
ということで、原告本人の尋問が終わった段階では、被告有利と感じました
さて、場外では、例のイアンと、ワン・ウェイ社のCEO、貿易産業大臣のニール(ジョージの現在の恋人)、
もちろんジョージも呼び出されます、が密談です。
ディードをいかに陥れるか、というより辞任させるかについての策を巡らしています。
どうして、ディードが狙われるのでしょう?
イアンは今では意地になっている可能性がありますが、もともとは役人として政治的な圧力に弱い
のです。どの判事も、自分可愛さに、陰に陽に、配慮して行動するのですが、
ディードだけは、自分こそは「正義の味方」あるいは「正義の体現者」と自負していますから、
お偉方の政治的な意向などものともしません。そういう意図や企みに気づくと、逆に頑固になり
断固戦う決意をします。
ディードの反逆に負けた者は、顔を潰されたということで、ますます恨みが積り重なっていくわけです。
今度こそはとなります。
イアンは限界に来ています。
ニールですが、携帯電話事業の認可のときに大きな金が動いていますが、それにかかわっています。
資本主義の原理よなどと一応は反論しても、やはり、大きな力のある事業会社とは、良好な関係を
維持しておきたいわけです。
CEOはというと、こういう裁判になると会社の信用にかかわり、株価は一気に下落してしまいます。
争いが長くなると倒産の危機も出てきます。
事業を大きくするために、妻にも子供にも贅沢をさせず有り金全部を投資してきた、そういう気持ちが
わかるか、20億円の金を儲けるということがどういうことかわかるかなどと
悪態の付き放題です。
ディードを殺せと言いかねないほどの怒り様です。
イアンにはいい策があるようです。
ジョージですが、離婚はしてもディードには一目を置いています。
今もある種の愛情を持っているようです。娘のチャーリーを通して警告をします。
官舎の中は盗聴されている可能性があり危険というので、ディードを外に連れ出して話します。
ホント緊張しますね。
だだし、具体的には何をしかけてくるのかわかりません。
ディードの裁判の進行に直接口出しすることはなくなっているようです。
そういうことは逆効果だと彼らも勉強したのです。
ということで、いかに辞任させるかに集中しています。
ディードは、そこまでやるかとチャーリーの話に半信半疑です。
そして会社の方はというと、法廷外で証人たちに圧力をかけ続けています。
まず、ダイアナの担当医です。
ダイアナにはワン・ウェイから圧力があって治療費が出なくなったと話していましたが、
法廷では、最初は怒ってとんでもないことを口走ってしまったが、冷静になると
間違っていたと証言を変えました。
本件のような場合、重要なことは危険性を会社が知っていたかどうかです。
もし、事前に知っていたとしたら、やはり責任を免れることはできないでしょう。
携帯電話一般というより、このタイプの携帯についてです。
前述しましたが、ダイアナが使っていた携帯電話は小さいものでした。
その携帯電話の開発段階で研究者が危険性を指摘するメールを会社幹部に送っていた
のです。メールによると「時限爆弾を市場に売り出すようなものだ」と警告しているのです。
開発費用に莫大な金がかかっているということで、その警告を無視して売り出したのです。
こういうことがわかりましたが、問題はそのメールは会社から正式に提出されたものでは
なかったということです(詳しくは第9話の懲罰法廷でやり取りがされています)。
証人台の研究者は「時限爆弾を市場に売り出すようなもの」というメールについて聞かれても、
忘れたといって無反応なのです。
こういう証言は、日本の場合、裁判官は大抵、そのまま採用します。
陪審員のような素人の場合はどうなのでしょうか。知りたいですね。
(今回は、残念なことに和解成立なので、陪審員の判断を知るチャンスはありません。)
原告から、専門家(科学者)二人の証人申請をします。
一人の科学者は卒業大学を偽っていたようで、それを見抜けなかったのは原告側の痛手でした
(本件のように一方の当事者が金に糸目をつけないで訴訟活動をすると、一方の当事者は
非力を感じるものです)。
もう一人は、こういう研究の第一人者です。研究中のものについて
絶対かという質問をされると「可能性もある」という回答になってしまわざるを得ないのですが、
やはり専門家証人の限界でしょう。結局は、そのほかの証拠と総合的に判断するということで
それだけでは決定打にはならないのかもしれません。
しかし、それでも、どちらもあり得るという証言は、こちらの主張を認めさせるために必要では
あります。
この証人は、特にこのタイプの携帯(小さい)の危険性について、小さいと光でも一か所に集中しやすい
それと同じように熱を発生しやすいとか、携帯の使い方からどうしても脳の側頭葉が影響を受けやすい
など、原告使用の携帯との関係や被害の具体的状況との関係について具体的な証言を引き出したので、
それなりに有効だったと思います。
ジョーは勝訴の見込みは五分五分との意見、ジョージは被告側が有利とそれぞれの依頼者に説明
しています。ジョーがいうように陪審員がどう判断するかです。特に圧力をかけた証人の証言について
です。また、立証責任は原告にありますから、ディードの最後の説示が影響するかもしれませんね。
メールの真否が問題になったので、その関係の証人です。
会社側は、研究者とメールをやり取りした役員の秘書(秘書がメールの送受信のすべてを管理している、
会社幹部を証人席に立たせないため)を申請します。秘書はそういうメールは一切
見たことがない、会社幹部のコンピューターのものではない、バックオリフィスなどのソフト
を使えば、他人のパソコンに侵入できるなどと証言します。
原告側は、いったん消された情報を復元することができるかとか、パソコンの所有者に知られずに
情報を操作できるかなどの知識をもつ専門家の申請です。
つまり、証拠に提出されたメールは、当然ながら、ワン・ウェイ社のコンピューターからは削除
されているので、復元したものです。
この証人は、復元した本人でもあるのです。この人はアルディ・ウィッテンと言ってブリッジズ巡査部長が
連れてきた人です。
復元の事情を証言します。
さて、ディード陥れ作戦の方ですが、今回はパソコンの情報操作が絡んでいます。
秘書のクープさんが、ディードのパソコンの画面のカーソルが急に動き出し、
ファイルが送られてきたのを偶然見つけました。
不審に思ってクリックすると幼児ポルノの写真です。それが
いっぱい詰まったファイルが突如、ディードのパソコンにダウンロードされたのです。
法廷から帰ってきたディードはクープがパソコンの前で呆然と立ちすくんでいるのをみて
近づきます。
画面を見てショックを受けます。
クープはもちろんディードがそういう人間でないことは知っていますが、
兎に角何とかしなくてはなりません。
ロウに頼んだらなどというクープに、警察に相談すればすぐに噂が広まり、自分の名誉が
傷つく、事実かどうかは関係ない、何とかしなくてはと焦ります。
本当にディードを陥れる策略が進行していたことはわかった。ただ、裏にいるのは誰か、
目的は何かです。
すぐに誰かがこれを見に来る、その人が犯人だ、必ず来るから待っていればよい、とクーには
いうものの、それでは遅すぎます。
誰かが不正操作をしたことは事実だが、これが明るみに出ると誰も信用しないだろう。
でもどうする、何ができる?ディードは自問自答します。
ディードが切れものといわれるのは、こういう危機の対応が抜群だからです。
ショックでソファーに倒れこんだものの、ふとチャーリーの警告を思い出します。
早速、裁判所内にいるはずのジョージを呼ぶようクーに頼みます。
ジョージは、「私また何かしでかしたのかしら」と心配しながら来ます。
ジョージも見て驚きです。
でも、詳しいことはわかりません。ただ、「あの人たちは殺しかねないわよ」とつい口走ってしまいます。
ディードには少し見えてきました。
さて、いったん法廷に戻ります。
心ここにあらずです。ジョーも心配そうです。
ディードは傍聴しているブリッジズ巡査部長に気が付き、クープに裁判官室に来てもらうようにします。
彼との出会いも第9話です。コンピューターの知識がそれなりにあることが分かっています。
ディードが彼を信頼できる人物と見込んでジョーにも紹介しています。
この傍聴もジョーのお手伝いでダイアナ事件に関わっていたからです。
ブリッジズ巡査部長は、消しても復元できるので、パソコンを持っていかれるとどうすることもできない。
自分の知識ではどうすることもできないというのです。
バックオリフィスのようなソフトを使えば、本人に気づかれずに操作できると説明されます。
さあ、とうとう来ました。
イアン(これは予想できました)とエヴァラード判事です。
ディードは仲間のエヴァラードがここまで関わっていることを知って ショックです。
とにかく時間稼ぎをする必要がある(何か菅首相を思い浮かべました)、
だからって何ができる?今のところ何もない。でもとにかく、引き延ばしだということでしょう。
それ以外に、そもそも何でこういうことになったんだ。真相は知っておきたいという気持ちもあった、
こちらの方が主かもしれません。
「警察から、ディードがパソコンに児童ポルノの画像を保持しているとの通報があったので
パソコンを渡してほしい」とイアン。
「どこの警察の誰だ」ディード。イアンはいえません。
横からエヴァラードが助け舟「そういうことは深くは聞かないものだよ」
ディードもないとはいえないので「わけもなくわたせない」などと食い下がるだけです。
イアンは「そういう中傷をそのまま放置することはできない。確かめる必要がある」と、もっともらしい言い訳を
します。
ディードはエヴァラードにも食ってかかります。同じ裁判官じゃないかと。
イアンは「早く渡すように同意してほしい。同意しなければ令状をもらって押収するだけだ。
令状の手続きもすんでいる。関係者は多くなれば、知る者も多くなる」などと脅します。
ディードはジョージが口走ったことを思い出したのでしょう。
「早くっていうのは、この裁判が終わる前か」と罠をかけます。
イアンは返答に窮します。
背後にワン・ウェイ社がいることを知ったはずです。
そういうやり取りをしているとブリッジズ巡査部長が「それよりみたらどうですか」などと
言い出しました。ディードはキョトンとしています。
ブリッジズ巡査部長が検索しても出てきません。
イアンもエヴァラードも怒って出て行きました。
あるはずのものがなくなっているのでディードが「どうしたのか」ときくと
ブリッジズ巡査部長はこともなげに「削除しました」と。
ディードは「証拠をもみ消したといわれてしまう。なんてことをしたんだ」と、これはいかにも
裁判官らしい反応です。
「すぐに復元できます」から、問題ないわけです。
でも、ブリッジズ巡査部長のとっさの機転で、時間稼ぎはできました。
でも、逆にいえば、彼らも容易に復元できるわけで、パソコンを彼らに渡すわけにはいきません。
やはり、どうなるの?
これ以降、ディードはいつもパソコンを持ち歩くことになります。
ディードはまた法廷にもどります。
いよいよ最終弁論です。
ジョーが陪審員に向けて纏めをしています。
最後の締めの言葉かなというときにドアが開いて人が入ってきます。
何かを聞いたアソシエイトの弁護士はジョーの腕を掴んで注意を促します。
「ダイアナが死んでしまった」のです。
ジョーは暫く言葉がでません。
ようやく「死んでしまった」で弁論を締めくくりました。
ディードは心配そうにジョーを見ています。
ジョージはプロに徹していますから、さっそく、当事者の原告が死亡したので、本件訴訟は
終了だと意見を述べます。
でも、こういう場合すぐには終了しないものです。少なくとも日本では。
ディードもすぐ気がつきます。
そうです。息子がいます。息子は相続人です。
日本では相続人が訴訟も承継することなります。
イギリスでもそういう仕組みはあるようです。
そこで、ディードは和解の可能性を指摘します。
ワン・ウェィ社は訴訟を進めるに当たって、前述のとおり和解はそのまま維持するとしていました。
ジョーは残された息子のために和解は願うところです。
ジョージは依頼者に相談したいのでちょっとだけ時間をと言い出します。
そのとき、クープからメモがあり、
アルディ・ウィッテンがブリッジズ巡査部長と裁判官室にいるというのです。
ディードは慌ててしまします。
「アルディ・ウィッテンはこの裁判での証人じゃないか。裁判官室にはいるなど許されない」と。
ディードは相談に時間がかかるでしょうと、急きょ明日まで延期することにして
部屋に帰ってきました。
ワン・ウェイ社の営業幹部は、もうディードは終わったから、何を言っても気にすることはない
と謎めいた言葉をジョージに残します。
つまり、今回の一件にはイアンだけでなくワン・ウェイ社も関与していたこともはっきりとなりました。
怖いですね。
ディードが非難する間もなく、ブリッジズ巡査部長は自分の手に負えないので頼むことにした
と悪びれるところはありません。
アルディ・ウィッテンは自信満々、「任しといて」という感じで、淡々と作業を続けています。
彼によると、新しいハードウエアにポルノ写真以外の情報を移動させる、そのうえで、ポルノ写真だけが
残ったハードウエアをパソコンから外すというものです。
イアンたちも他のパソコンを通してディードのパソコンの中を見ています。
ディードのパソコンから情報が消えていくのが見えます。何もできないというのです。
ジョージの恋人のニールもディードの最後を見るために来ています。
当然、エヴァラードもいます。
エバラードは証拠がなければ、みんなに言った手前、格好がつかない、
また無能と非難されるとイアンを責めます。
ニールも何とかしろと文句です。
イアンも法務長官からディードのパソコンの中にポルノが残っていなければ駄目だと厳しく指示
されているので、とにかく作業を止めさせるしかないと、押し掛けることになりました。
クープはドアのところでイアンたちの動きを見張っています。
「あ。姿がみえました」
あっという間にイアンたちが部屋に到着です。
パソコンからハードウエアを取り外したところです。
ブリッジズ巡査部長「早く処分してください」
ディードは取りだしたCDのようなものハードウエアに火をつけて壊してしまいました。
「早くわたせ」というイアンに壊れた残骸をどうぞと差し出すのです。
要は物理的に破壊したということです。復元のしようはないわけです。
またしても、ディードは危機を脱しました。
そして、またしてもイアンは、そしてエヴァラードもディード潰しに失敗です。
ディードの義父のジョセフ・チャニング高裁判事からは、証拠もないのにあんな酷い中傷では
ディードに謝罪するしかないねと言われる始末です。
さて、ディードの女性関係ですが、カウンセラーのレイチェルとは完全に終わったようです。
レイチェルとはジョーやジョージのことを知った上での付き合いだったのですが、
ディードに電話をしても出てくれないので、法廷に姿を現します。
ちょうど、ジョーとジョージが代理人で戦っています。
それを見て、どちらの女性も素晴らしい、ともて勝てる相手ではないと悟ったようです。
娘のチャーリーには、レイチェルも含め、こういう女性たちと同時に付き合いができれば最高だ
などと言って呆れられてしまいます。
これは次回以降に続くのかもしれませんが、実はダイアナは死後の息子マイケルについて
ジョーに養子にして面倒をみてほしいと頼んでいたのです。もちろん、とても責任重大で
引き受けられないとジョーは拒否をし、ダイアナもそれを受け入れてはいたのですが、
ダイアナの死亡が現実のものとなった今、どうすべきか、そのまま一人にするわけにはいかないと
真剣に悩んでしまいます。
ディードは反対です。仕事のうえに子育てでは「二人の時間がなくなってしまう」などと
ついつい本音が出てしまいました。
ジョーも気づきます。そして、ディードは「あの子は犬が好きかな。ミミ」などと言いながらそのミミと一緒に
ジョーの後に従います。
この二人の恋の行方、気になります。
もうひとつ、堅物にみえる義父のジョセフ・チャニングですが、
エヴァラードの奥さんと何かあったのではないかと思われるのです。気のせいでしょうか。
今後の展開が気になります。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
冒頭のところで、気軽な事件がありました。
何度もお話するとおり、ハイコート・ジャッジは多様な事件を扱っています。
今回は下級審の接近禁止命令に対する判断です。
夫が暴力を振るうので、接近禁止命令が出たようです。
命令の内容は、夫は一階にとどまり、それ以外の部分には立ち入ってはいけないというものです。
家庭内別居のようなものですかね。
でも実際このような命令に意味があるのかどうかです。
現に、ディードのところにきたのは、夫がこの命令に何回か違反しているということなのです。
ところが妻は命令違反を許しているようなのです。
その理由は、死んだ息子の意思だというのです。
(遺灰の入った壺を持たせたり、若干おふざけです)
ディードもうんざりしたようで、どっちもどっちだ、こういう審理は時間の無駄といって命令を取り消して
しまいます。
この手続きではいつもの法廷は使っていますが、普通の背広姿で、鬘なしです。
そもそも、家庭内別居のような場合に、接近禁止命令(あるいは立入禁止)を出したこと自体が
問題だったように思います。
ディードはそのあたりを見て、要は犬も食わぬ夫婦喧嘩に付き合わされたということなのでしょう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「新しい発見」
裁判官だけでなく、弁護士や検事役の弁護士も法服に鬘をつけています。
弁護士は事務所から通うわけです。
ただ日本とは違って、弁護士会館が近くにあり、そこに弁護士たちの事務所があるとの理解ですが、
弁護士会館で身支度して法廷に出廷するのか(ときどきそういう姿を見かけていましたので)もしれない
と思っていましたが、謎でした。
裁判所の中に更衣室というかロッカー室があるようです。
そこで、身支度するということが分かりました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、いつものとおり「題名」についてです。日本訳の「携帯訴訟」はわかりやすいです。
原題の「Econimic Imperative」はどういう意図なんでしょうか。
経済的必要とでもいうのでしょうが、ダイアナの経済的必要とワン・ウェイ社の訴訟を抱えたことの経済的問題の解決の二つをひっかけているのではと、個人的な意見です。
ワン・ウェイ社が謀略に失敗し、結局和解をすることになったのは、裁判の存在自体が会社の評判に
悪影響を及ぼし、経済的に大きなマイナスになるからです(勝つか負けるかは陪審員の判断次第です。
控訴はできますがリスキーなわけです。ダイアナの死亡は陪審員に大きな影響を与えるでしょうし。
被告が勝ったとしても原告は控訴するでしょう。いずれにしても裁判が継続するのです。)
それぞれの経済問題が本件訴訟を起こし、本件訴訟を難しくし、特にディード潰しの動機になったわけです
から。皆さんはいかがお考えでしょうか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
和解の内容ですが、
学費と毎年2万5000ポンドを大学卒業までというのです。為替相場によりますが、
最低5000万円以上にはなるでしょう。
大きいですね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、最後にWHOの報告についてのCNN(日本語訳)の報道を載せておきます。
電子レンジについても危険だといわれていましたね。
でも、携帯はなくてはならないものなのであり、常に身近に持つものですから、危険といわれても困惑です。
この記事によるとアイフォーン4では15ミリ離すようにとの説明書があるというのですが、今まで
知りませんでした。
携帯電話で通話するとき、耳をくっつけていましたが、これは良くないということだとわかりました。