弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

フェイスブックを使った陪審員、懲役刑を受ける

2011年06月18日 | ひろみ塾・法律編

フェイスブック、ツィターなどのソーシャルネットワークが広く
使われるようになり、
これを巡って、新しい問題が起こっています。

アメリカのウィーナー下院議員さんのツィターでのわいせつな写真
問題は、もともとは個人間での写真交換が
間違って公表されたのが始まりです。
とうとう、木曜日に辞任しました。
オバマ大統領が、もし自分自身がそのような立場であったなら、
辞任しただろう、と暗に辞任を示唆したことが大きいといわれています。
プライベートなことではありますが、
そもそも国会議員のようなパブリックサーバント(公務員ということでしょう)は
みんなに奉仕するのが仕事である、ところが
このような騒ぎになり、もはや効率的に仕事をすることができない状態になった
のだから、辞めるべきというのがオバマ大統領の考えです。
もっともです。

余談ですが、辞めるべきと四面楚歌の状態にあり、もはや効率的な
仕事などできないにも関わらず、総理の座にしがみついている菅総理
についても、オバマ大統領は同じことをいうのではないでしょうか。
今日の目的は、そういう次元の低いことではありません。

イギリスやアメリカでは今も陪審制度が重要は役割を果たしています。
陪審員は、法廷に現れた証拠に基づいてのみ判断でき、判断しなければなりません。
また、他の陪審員と議論する他は、第三者と話し合うことはできません。

ところが、インターネットの時代になると、パソコンをとおして、
事件について検索することが可能です。
ですから、いろんな予断を抱くことになります。
それはそれとして、今回は、陪審員の女性と被告人だった人が
フェイスブックを通して35分間にわたり100のメッセージのやり取りを
したということです。
被告人だったとというのは、フェイスブックでチャットした時は
被告人は無罪ということで釈放されていたのです。
ただ、その彼女の裁判の陪審員ではあったのです。
アクセスは陪審員の方からあったようです。
双方違法との認識はあったようで、1回目のは全部削除したから
大丈夫よなどというチャットもあったようです。

問題は、その彼女の元男友達出共犯の男性の裁判はまだ継続中だったことです。
そのほか、何人もの犯人がからんだ600万ポンドの麻薬がらみの事件でしたが
それが、このような陪審員の違反ですべて無効になってしまったのです。

ということで、この陪審員には8か月の実刑が、
元被告人には2カ月、2年の執行猶予判決が言い渡されました。
(彼女は3歳の子供があり、面倒をみる必要があるということで、
実刑は免れたのです)
審理には影響はなかったようですが、
警告の意味で、厳罰の言い渡しとなったようです。

イギリスやアメリカの場合、処罰をするのは国民との発想です。
日本のようにお上がすることではありません。
その思想が陪審員制度の支えなのですが、
現代は誰もがパソコンやスマートフォンを通して
インターネットやソーシャルネットワークで情報を
検索したり共有することができます。
しかも情報の精度はピンキリです。

陪審制度の維持には難しい時代になりました。