弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

陸山会事件、控訴決定

2012年05月09日 | 生き方・人生

控訴期限を明日に控え、とうとう検察官役の指定弁護士は
控訴を決めました。
見過せない事実誤認があるという理由です。

弁護士をしていると、「見過せない事実誤認」というのは珍しいことでは
ありません。
そして、いったん一審の判決が出ると、高裁は往々にしてその事実誤認に
乗っかることが多いように思います。特に、新しい証拠が出せない場合は・・

ということで、随分悩んだ末での結論と思われます。

高裁には、有権者である国民の素直な常識で理解できる判断をしてほしいです。

検察審査会、指定弁護士の使命でもあります。

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アメリカのフロリダガンマン事件ですが、5月8日が、認否の答弁をする期日
でしたが、被告人本人は欠席、弁護士が無罪の答弁をしたようです。
アメリカでは迅速な裁判を受ける権利は憲法で保障されています。
フロリダの場合、起訴後175日以内のspeedy trial を受ける権利とされていますが
被告人側はこの権利を放棄し、慎重な判断を求めることにしたようです。
マスコミや世論の鎮静化も期待しているようです。
先にも紹介したとおり、20万ドルの寄付もあったので、当分の生活費の心配も
不要になったことも影響しているようです。

アメリカの法律がわかるにつれ、ものの考え方が如何に異なるかについて
ちょっと戸惑いつつあります。

なお、アメリカには大陪審という制度があります。
これは、裁判をする通常の陪審とは違って、
起訴するかどうかを決めるためだけの陪審です。
アメリカでは、重罪の場合は、この大陪審による判断を求める権利も原則的に
憲法上の権利なのです。
素人の検察審査会など不要だという意見もありますが、
そもそもアメリカを含め英米では、素人の、というのは普通の人のということですが、
社会の常識のうえに刑事事件もあるのは当然との考えなのです。