福祉サービスの高齢利用者の現金を横領したとして、小川署は30日、業務上横領の疑いで、小川町社会福祉協議会元専門職員の会社員の女(49)=東京都立川市幸町4丁目=を逮捕した。
逮捕容疑は2014年12月15日ごろ、同社協が運営する福祉サービス利用援助事業の利用者の男性(81)=小川町=の預金口座から引き出した現金約13万円を横領した疑い。同署によると、女は「横領はしていない」と容疑を否認している。
■社協会長が謝罪会見
同社協の会長を務める小川町の松本恒夫町長が同日、記者会見し、「町民の皆さまに対する信頼を著しく失墜させ、大変申し訳なく、深くおわびします。二度と起こさないように管理体制の強化を進め、職員の倫理、モラルの向上を図りたい」と謝罪した。
同社協によると、女は2006年4月に臨時採用された。08年から高齢者や障害者の現金管理を代行する事業に関わり、09年に専門職員として採用された。その後、16年3月まで同事業を担当し、同年7月に自主退職した。
同事業は県社協から委託されたもので、通称「あんしんサポートネット」。判断能力の不十分な高齢者らの自宅、施設を定期的に訪問し、福祉サービスの利用や暮らしに必要な現金の出し入れを支援する。
不正が発覚したのは15年4月。事業の管理が不十分だったことから利用者の通帳を確認するなど内部調査したところ、事務局次長の決済用印鑑が不正に使用されていることが判明した。女が担当していた利用者16人のうち4人(男性1人、女性3人)の預金の不正引き出しが、41件(計514万2684円)あったことが分かった。
女は金庫から通帳を取り出せる立場で、預金を下ろした際の書類を隠していたという。女は上司の印鑑の不正使用や、通帳の無断引き出しは認めたが、横領については否認したという。社協が被害届を出し、小川署が昨年2月に受理した。
元専門職員の逮捕を受け、謝罪する小川町社会福祉協議会会長の松本恒夫小川町長(中央)
2017年1月30日 埼玉新聞