ゴエモンのつぶやき

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知的障害者が転がり落ちていく先に犯罪がある――弁護士が模索する「福祉」との連携

2017年02月07日 02時55分06秒 | 障害者の自立

「累犯障害者」という言葉がある。知的障害や精神障害があり、犯罪を繰り返してしまう人のことだ。法務省の研究所の報告書によると、知的障害があるか、その疑いがある受刑者の数は約1300人だとされている(2012年調査)。その中には生活環境に問題があるため、犯罪に走ってしまう障害者も少なくない。

「罪に問われた障害者」には刑事弁護だけでなく福祉的な支援が必要だ。そう考えて、司法と福祉の橋渡しをしようと模索している弁護士がいる。支援団体「東京TSネット」の代表理事を務める浦崎寛泰弁護士である。なぜ「罪に問われた障害者」に支援が必要なのか。求められているのは、どんな支援なのだろうか。(亀松太郎)

●前科17犯の男性を鑑定したら「IQ56」だった

東京・飯田橋に法律事務所を構える浦崎弁護士は4年前、刑事事件の被疑者や被告人となった知的障害者や精神障害者を支援するため、福祉の専門家とともに「東京TSネット」を立ち上げた。罪に問われた障害者が犯罪を繰り返さないように、弁護士と社会福祉士が連携して更生をサポートしている。

被疑者や被告人の中には知的障害や発達障害を抱えた人もいる。そのような「触法障害者」には福祉的な支援が必要だという。しかし「弁護士の多くは福祉へのチャンネルを持っていないので、どこに連絡したらいいか分からない」(浦崎弁護士)。そこで、東京TSネットが弁護士と社会福祉士を仲介して、罪に問われた障害者の支援につなげているのだ。

触法障害者の具体的な姿とは、どのようなものだろうか。浦崎弁護士は一つの例として、千葉の法テラスで働いていたときに弁護した「前科17犯の男性」をあげる。傷害致死事件の被疑者だった。

「この男性は軽度の知的障害の人で、環境の良くない福祉施設にいるときに、認知症の老人の世話を命じられました。ところが、知的障害のために世話の仕方が分からなくて、その老人をボコボコにして死なせてしまったんです」(浦崎弁護士)

男性は40代だったが、それまでに17回も罪を犯していた。万引きや無銭飲食などで、刑務所に出たり入ったりすることを繰り返していた。この男性を鑑定したら、知能指数(IQ)は56で、軽度の知的障害と判断されたという。

「実は、知的障害でも最重度とか重度の人は、そもそもコミュニケーションがうまく取れないので、刑事事件になりにくい。事件になるのは、IQが50~80くらいの軽度・ボーダーの人なのです」

浦崎弁護士はこう話す。

「知的障害や精神障害が直接犯罪の原因になるのではなく、障害を背景に貧困やストレスなどの問題に陥り、その結果として犯罪につながる場合が多い。前科17犯の男性の場合も、知的障害があるから事件を起こしたというよりも、適切な支援がないから、いろいろな問題が起きていた。ところが、一応コミュニケーションはできるので、知的障害に気付かれず、支援をきちんと受けていなかったんです」

●社会福祉士と連携して「触法障害者」を支援

この男性の裁判で、浦崎弁護士は社会福祉士と連携して、出所後の更生支援計画を考えてもらった。また、社会福祉士に情状証人として法廷に立ってもらい、裁判員に向かって「きちんと支援できる」とアピールしてもらった。

その結果、求刑10年に対して、判決は6年の実刑判決となった。男性は5年ほど刑務所に入ったが、今回は出所後の支援者がいたので、刑期の途中で仮釈放が認められた。

「出所のときは私も迎えに行きましたが、彼は『出迎えの人がいたのは初めてだ』と話していました。彼のような知的障害者の場合、支援がないからどんどん転がり落ちていって、その先に事件があるんです」(浦崎弁護士)

刑事事件が起きたとき、弁護士はそのような「触法障害者」と接することになる。その際に、ただ単に刑事裁判のための弁護活動をするだけでなく、社会福祉士として連携して、福祉的な支援をすることができれば、「次の犯罪」を防ぐことができるのではないか。浦崎弁護士はそう考えている。

浦崎弁護士が代表を務める「東京TSネット」では、知的障害や精神障害のある被疑者や被告人を担当することになった弁護士に社会福祉士を紹介したり、社会福祉士に刑事裁判の仕組みを理解してもらうための勉強会を定期的に開いたりしている。

「TSというのは『トラブル・シューター(解決する人)』という意味です。社会の中で事件を起こしてしまった人のトラブルを解決できる人を増やしていきたい。そんな思いで、弁護士と福祉をつなぐ活動を続けています」

浦崎 寛泰(うらざき・ひろやす)弁護士

1981年生。2005年弁護士登録。法テラスの常勤スタッフ弁護士として、長崎県の離島(壱岐市)や千葉市で活動。現在は、東京都内において、司法ソーシャルワークの視点から高齢者や障害者の権利を護る活動に力を入れている。一般社団法人東京TSネット代表理事。
 
2017年02月05日     
 

障害者差別解消法の周知進んでいるか

2017年02月07日 02時51分45秒 | 障害者の自立

 どこまで浸透しているのだろうか。そんな疑問もよぎる。障害者差別解消法のことだ。法の意義を地域で率先して理解し、一般住民にも周知する立場の自治体の対応が遅いように見えるからだ。

 障害のある人もない人も、互いに分け隔てなく、ふつうに暮らせる関係、社会を築いていく。これが差別解消法の目的である。昨年四月、施行された。

 法は、行政や事業者に不当な差別、不平等な扱いなどを禁じ、障害者の求めに応じた手助けなどの合理的配慮を求めている。

 全国の自治体に、職員の「対応要領」を策定するよう努力義務で促しているのもそのためだ。

 ところが、施行半年後の昨年十月時点で要領を作っていたのは、全国の市区町村(都道府県を除く)の半数にも満たぬ43%だったことが、内閣府の調査で分かった。

 年度内には策定予定という自治体を合わせても全部で七割ほど。残り三割の自治体の動きは、のんびりしすぎていないか。

 市区町村職員は障害者にとって身近な存在。法をよく知り、地域で暮らす彼らとどう向き合うか。施策を進める上でも要領は大切な指針になる。実際、策定を終えた横浜市は、幅広く当事者から意見を聴き、視覚障害者への合理的配慮の一例として「ホームページの文字データを音声に変換できるように掲載」と明記した。

 昨年十二月、愛知県尾張旭市で開かれた同法を考えるシンポジウム。地元NPO代表の重症筋無力症の女性や、子育て奮闘中の四肢まひのお父さんら障害者五人が、思いを自由に述べた。一人が点字ブロックの整備を訴えると、すかさず一人が「点字ブロックは車いすには通りにくい」などと。

 参加者の感想文には「まずは知ることが必要と感じた」「この法は健常者のものであることも分かりました」などとあった。

 「私たちのことを私たち抜きに決めないで」という言葉がシンポでは繰り返された。それほど障害者の歴史は、いわれない偏見や差別、無視で覆われてきた。

 国民の約6%、二十人に一人が障害者というデータもある。

 人ごとではないのに、想像力を膨らませることができる人がいれば、そうでない人もいる。誰もが隔てなく暮らせる社会を築くのは容易ではない。解消法はその“根拠”になり得る。だからこそ現場はしっかり対応し、伝道師のように広めていってほしいのだ。

2017年2月6日   中日スポーツ


車いすの人などモデルのファッションショー 千葉

2017年02月07日 02時43分20秒 | 障害者の自立

東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、障害のある人への理解を深めてもらおうと、車いすの人などがモデルとなったファッションショーが千葉市で開かれました。

この催しは千葉市などが開き、会場の千葉市美浜区のショッピングモールの一角に100人余りの買い物客が集まりました。
はじめに、車いすの人など女性6人が色とりどりの衣装をまとってモデルとして登場し、ステージをゆっくりと進みながら笑顔で手を振っていました。訪れた人たちは写真を撮ったり、歓声を上げたりして楽しんでいました。
ショーにはパラリンピック種目、ボッチャで活躍している大濱梨沙選手や、東京大会から正式種目となる車いすバドミントンの村山浩選手などもモデルとして参加し、会場を盛り上げていました。
船橋市から訪れた40代の男性は「皆さんきらきら輝いていて、すばらしかったです」と話していました。
モデルの女性の1人は「緊張しましたが、とても気持ちがよかったです。障害者だからといって壁を作らないで、みんなで幸せに過ごせる社会になってほしいと思います」と話していました。

2月5日   NHK


知的障害の42歳男に実刑判決

2017年02月07日 02時36分40秒 | 障害者の自立

執行猶予中に窃盗、前橋

 窃盗事件などで有罪判決を受けた後、保護観察付きの執行猶予期間中にコンビニで雑誌を万引したとして、窃盗罪に問われた知的障害がある被告の男(42)に前橋地裁(野口佳子裁判長)は6日、懲役8月(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。

 判決によると、昨年9月7日夜、前橋市内のコンビニで成人雑誌12冊(計約8600円相当)を盗んだ。

 検察側は論告で「身をもって行為の悪質性を認識させることが再犯防止につながる」と指摘。弁護側は「コンビニの事件から逮捕まで約1カ月は万引しておらず、この間に入所していたような福祉施設に戻る必要がある」と主張した。

2017/2/6   BIGLOBEニュース

発達障害児、チームで支え 群馬・館林の取り組み

2017年02月07日 02時23分53秒 | 障害者の自立

 文部科学省の調査(2012年)によると、全国の公立学校の通常学級に在籍する小中学生のうち、発達障害の可能性がある子どもは6・5%いる。40人クラスならおよそ2人の割合だ。発達障害がある子どもには早期の診断・療育から就学まで切れ目ない支援が必要とされている。群馬県館林市は12年に、母子保健▽障害者施策▽保育所▽学校--を所管する四つの部署が連携する「チームで支える仕組み」をスタートさせ、注目されている。

  ●部局越え連携

 館林市の発達障害者支援は部局の垣根を越え、健康推進課▽社会福祉課▽こども福祉課▽学校教育課--の4課の連携を強化しているのが特徴だ。

 基本的な流れはまず、生後4カ月~3歳児に市が実施する健康診断などの場を通して、健康推進課の保健師が「気になる子ども」を見つける。例えば自閉症の場合、「視線を合わせにくい」「なかなか泣きやまない」などの「育てにくさ」を保護者が感じていることが多い。保護者の悩みを聞きながら子どもの観察を続け、保護者との関係を築く。

 保護者の同意を得られれば専門医が診断し、保護者に結果を告げる。発達障害があれば、社会福祉課が中心となって、専門家が科学的根拠に基づき、療育にあたる。最初の8回は無料だ。

 療育での様子や情報はこども福祉課が所管する保育所や幼稚園と共有する。療育にあたる専門家が保育所や幼稚園に対し、子どもへの接し方などでアドバイスすることもあれば、保育所や幼稚園側から「気になる子ども」の情報が担当課に寄せられることもある。

 小学校入学が近づけば、市教委の学校教育課を通して小学校とも情報を共有し、学校からの相談にも応じる。

 ●教員、保育士に研修

 4課の連携を深めるため、市は毎月1回、担当者による意見交換会を開いている。

 このほか部局の垣根を越えた取り組みの一つとして実施しているのが合同研修だ。市内のすべての教員や保育士に最低1回は参加するよう呼びかけている。

 昨年11月の研修には、市内の小学校の教員や保育士ら74人が出席した。この日のテーマは「自閉症者への支援のあり方」。講師はこの分野の国内第一人者、臨床発達心理士の服巻(はらまき)智子さん。自閉症の特性や、成長過程で起こりがちなトラブルや対処法などを説明した。

 服巻さんによると、自閉症の子どもが小・中学校に入学して最初に表れる問題が不登校だという。「自閉症の子どもは環境の変化を苦にする。その特性が分かっていれば、前もって練習することができる。障害に合わせた学習支援を用意しておくことが重要です」と強調した。

 研修に参加した女性保育士(49)は「かつては集団保育が当たり前だったが、今は自閉症の子どもを無理に集団に入れず、子どもの気持ちが落ちつくよう希望を聞いて別の部屋に連れて行ったり、別の活動をさせたりしている。保育所での取り組みをどう小学校につなげられるか考えたい」と話した。

 この支援事業で中心的役割を担う群馬大付属病院の小児科医、岡田恭典さんは、部局を越えた連携を始めた結果「特に乳幼児期の支援がスムーズにつながるようになった」と手応えを感じている。

 例えば、保護者の中には、自閉症の診断結果を告げられると、混乱して泣き出す人もいる。そんな時、保健師が保護者の感情を受け止め、療育や今後の対応を説明する。医師も「早く診断できて良かったんですよ。医師の診断があれば、この子に合った教育を受けられます」などと話す。岡田さんは「発達障害は地域全体、社会全体で支えていくもの。それにはチームで対応し、各自が専門性を発揮することが求められる」と強調する。保護者にも、子どもの特性を知り、それに合わせた接し方を助言している。

 一方、連携が不十分だと、適切な支援につながらないこともある。例えば、小学校入学後に多動などの特性が見られた子どもについて、学校が保護者に医療機関の受診を勧めたものの、医療機関が薬を処方しただけで終わってしまうケースだ。学校が医療に任せきりにし、対症療法で済ますだけでは適切な支援にはならないというわけだ。

 ただ、連携を進めていくには課題も少なくない。早期発見・診断ができても、保護者の感情を受け止められるか▽適切な療育に結びつけられるか▽適切な就学、就労への道筋を立てられるか--といった課題にはそれぞれの専門家のスキルアップが不可欠だ。

 ●市民も重要な戦力

 館林市は発達障害に関する市民講座にも力を入れている。市のスタッフは「発達障害者を支える『チーム』には住民も含まれる。連携を進めていく土壌として住民の理解も必要になる」と話している。【鈴木敦子】

 ●情報共有と保護者合意

 2016年8月に施行された改正発達障害者支援法には、国や自治体の責務として「切れ目ない支援」の必要性が新たに盛り込まれた。

 発達障害者支援に関し、行政の関係各部が連携した取り組みは他の自治体でも始まっている。

 先進自治体の福岡県糸島市は、1997年度から、就学前健診を▽教育▽福祉▽保健--の3部門で共同開催している。佐賀県は自閉症の早期診断によって2歳ごろから療育に取り組んでいる。

 ただ「切れ目ない支援」を進めるに当たって課題になっているのが「個人情報」の壁だ。

 保護者の中には、子どもの障害を進学先に知られることを嫌がる人もおり、情報共有には課題が残る。群馬県館林市は「保護者の合意が得られれば、支援に関する情報を一元管理し、幼児期から学齢期、その先の就労時にもデータを生かしたい」としている。


発達障害

 脳機能の発達が関係する生まれつきの障害。読み書きや会話、計算、推論などが苦手な学習障害(LD)▽年齢に不釣り合いな衝動性、多動性などを示す注意欠陥多動性障害(ADHD)▽他人との関係づくりが苦手で、特定のものへのこだわりなどが特徴の自閉症▽言葉の遅れはないがコミュニケーションが苦手なアスペルガー症候群--などの総称。自閉症には知的障害を伴う場合もある。苦手な場面、得意なことは人によって異なり、個別の配慮が必要になる。

発達障害児の療育をする部屋。作業の中身や順番を分かりやすく提示する工夫をこらしている=群馬県館林市の市総合福祉センターで

毎日新聞   2017年2月6日