GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

井口和泉 料理家ハンターガール奮戦記

2015-11-03 04:54:39 | BOOK/COMICS
現代人は牛、豚、鶏等の獣肉も、魚介類や海産物も、スーパーに並んでるのを買う。
それを育てるため、それを捕るための行程や努力等を知らなくても買えるし喰える。
鶏はまだマシかな。モモ、ササミ、ムネ、肝、砂肝、カワって売ってるもの。でも、牛や豚になるとロースだのモモとかバラ以外の部位はどこへってくらい売ってない。売れないのか買わないのか知らないのか?それとも加工食材の原材料(例えばソーセージとかハムとか肉団子とか)として使ってるのかな。沖縄みたいにトンソクがどかんと売ってたり、鶴橋のように牛の内臓(ホルモン)が部位ごとに売ってるのは希少だ。

殺した命は残らず食べる。それが基本なのにね。

フランスではジビエとか、イタリアではスローフードとか言って、飼育や養殖以外の地元の自然狩猟による獲物料理も発展、推奨してる。
日本でも元々そうだろう?あえてジビエとか言わなくたって、川沿いの村や町では、鮎やイワナ、鰻等の地産物、山ではキノコや野草、猪や鹿、野鳥お食べてたはずだ。都会では、それが採れないから養殖や畜産されたものや、地方から海産物や山の幸を流通してもらって食べてた。
それが今じゃ完全逆転。養殖や畜産物ばかりが主で、海外からの輸入食材の加工食品を食べるのが当たり前になってしまった。

川や河、湖や池で獲れた魚なんて、その地元の旅館や料理店のみで供給されるものになってしまった。

市場にも問題がある。
せっかく猟師が猪や鹿を捕ってきても、加工工場や部位に分ける職人、パッケージする事等出来ないから。
薩摩黒豚だ、イベリコ豚だってのより、取れ立ての猪の方が美味いんだけど、市場には流通しない。
大阪でも能勢や猪名川、更に山奥のところでようやくしし鍋(ボタン鍋)が喰えるかなってくらい。
放し飼いの地鶏より安くプロイラー工場で生産される鶏が出回る。野生の鴨より飼育された合鴨。
鹿や狸、鳩や兎は馬鹿高い料金を取られるフレンチレストランやイタリアレストランに行かないと喰えない。しかもそれらは冷凍ー解凍品。

そう、豚、牛、鶏以外の肉はまともに流通してない。

その問題を考えたのが料理家の井口和泉さん。
ジビエ料理を作りたければ、自身が狩猟免許を取ってハンターになるしかない。と免許取得して猪等の解体現場で実際解体作業をし、その食材を使い料理を考える。
そんな活動をまとめた本が「料理家 ハンターガール奮戦記」

でもさ、ちょっと残念なのが、実際に罠や銃での狩猟を結局この本では彼女はしないのよね。
罠を仕掛けて捕らえられた猪を殺してもらうところ迄を友人の猟師がおこない、皮を剥いだり解体の処理~料理をするだけ。
それでいいのか?
勿論この人の目的はジビエ料理としての食材を求めた結果、猟師の資格があった方がいいってくらいだから仕方が無いのかもしれないが、やっぱりこの人は料理人であって猟師ではない。本の最後の方は、捕らえられた猪を殺すシーンにトラウマになり、解体が出来なくなってる。

殺した命を食べ尽くす。
これが人間が食べて生きる永遠の贖罪だ。
野菜でも魚でも肉でも。

それをわかりたくて、実践したくてジビエ料理に向かい、狩猟免許や罠免許を取ったのに、自分では絶命させられないってなめた事言う。
しかも猪ばっかりで、鹿やアナグマ、狐や狸、兎や鴨や鳩などほとんど出てこない。これでジビエがどうのって言えるのか?

何のこっちゃって本。表紙ジャケット見た時から「?」とは思ってたんだけどね。
ガールってのもちょっと疑問。本人が言ってるんじゃなくて本の発行者や編集者がどうせタイトルつけたんだろうけどさ。
この本のじびえりょうりがどうのこうのより、岡本健太郎氏の漫画「山賊ダイアリー」の方が、よっぽど素人料理でもあれこれ狩猟で獲ってきた獲物を色々考えて食べ尽くしてるぞ。

それでも途中迄は面白く読めるし、こういったジビエの取り組みは悪くないと思う。
何よりも鹿や猪などの狩猟後の処理施設、流通の問題、市場での需要と供給は、今後考えなきゃ問題だ。
食材は余す事無くいただく。
精進料理じゃないけど、まずはそこから料理屋も流通産業も意識してほしいな。

って偉そうに書いてるが俺も「ここ不味い」とか「これ嫌い」とか「面倒」って捨ててるところ多いから反省。




山賊ダイアリー 猟師になりたくなる漫画

2015-11-03 03:36:29 | BOOK/COMICS
役所で順番待っている時に何気なく射手に取った小冊子。
「I&U」なんだこれ?って読んでみたら地方都市のIターンやUターンを紹介する冊子。
どこどこの自治体だと、家も格安で貸してくれて近隣農家が農作物栽培指導もしてくれるろか、どこどこの自治体は漁師募集、親切丁寧、補助金も出るとか。更に地域発展のための広報プロジェクトメンバー(といっても村役場の職員)募集とか。

読んでみると募集内容は結構好条件なものばかりで、世間でニートとか引きこもりとか言われてる人達や、会社勤めが合わないとか五月病になった人人とか、ここじゃないどこかを探してる人にはうってつけじゃないのか?って。
実際に定年や転職でUターンやIターンをした人の体験談なんかも載っているこの冊子は、俺も読んでて、「農家もいいかなぁ。これからの食糧難、自作時給ってのは賢いかも」とか「片手間じゃなく安全や野菜を自分で作ってみたいなぁ」とか、「魚は海や川で釣って、新鮮な魚介類を自分で調理して保存する生活ってどうだ?」とか空想が広がった。
現実はそんな甘いものじゃないのは解ってるんだけど、子供の頃猟師や漁師に憧れた者にとって、この冊子は危険なものだった。

そんなとき読んだ岡本健太郎氏の「山賊ダイアリー」。 脱サラをして岡山の地元に戻って猟師になった体験記&ルポのこの漫画。読むと猟師に憧れてしまう。実際、この本を読んで銃が好きな俺は狩猟免許や銃取得許可を取りに行きそうになった。現在6巻迄出てるが、是非読んでくれ。

農家や酪農家の後継者がいない、漁師の高齢化って問題が深刻化してる。
都市開発、森林開発、ダム建設による山や河川の問題。資源の衰退。輸入木材に追われ国産樹木の伐採や手入れが出来てない上に、こちらも高齢化による今後の心配されてる。これでTPP成立して関税が廃止させられたら、どうなってしまうんだろう。

実際、都市開発によって山や自然が切り開かれ、イノシシ、熊、鹿等の動物が餌や寝床が無くなり、行動範囲を変えざるを得なく、その結果民家や農地、飼育作物や動物を荒らす。
対してそれを駆除するハンター、いわゆる漁師は高齢化が進み、更に規制ばかりが増えて思うように駆除が出来ないのも事実だ。
熊、鹿、猪の増え過ぎによる、農作物や設備の被害って深刻らしい。視野自治体は駆除に対して報奨金や奨励金を出してるらしいが、それも微々たるものだ。安全のためかどうか知らないが、漁期を決めてつ時点で、自然繁殖で増えるし、農作物の被害はその間広がる。ましてや期間決められると、その期間外は猟師だけでは喰って行けないんじゃないか?

先日もイノシシ被害からアジサイを守るため高圧電流線を設置してたのを、遊びにきた孫が触って川に落として感電死って事件があった。
その時も国や行政、そしてマスコミは、規定違反とか自作装置がどうのとかそんなことばかり。イノシシが民家近く迄降りてきてる現状が問題なのに、防御の設備に対してだけ騒いでた。
つい先日もイノシシ猟に出ようと猟犬や漁師が動いた地域で、飼っていたチワワが猟犬にかみ殺されたって騒いだバガかいる。大掛かりな駆除猟がおこなわれると告知されてるにもかかわらず、座敷犬をそこらに放し飼いにしてて、被害者面されてもなぁ。猟犬は飼い犬か獲物か話からなぇよ。

規定でがんじがらめにすればするほど、猟師の生活が成り立たない。流通が出来ないのなら自分で食べる分だけを獲るしかないものね。
猪を撃って、面倒だからそのまま朽ち果てさすとか、いたずらに殺戮してる訳じゃないんだからね。
猟師がいなくなると、ますます繁殖し続ける猪や鹿を駆除できない。この悪循環。行政や市場ももう少し真剣に考えてくれ。




ホリエモンが大嫌いだ

2015-11-03 01:19:32 | Talk is Cheap

堀江貴文氏。通称ホリエモン。俺はこの人が昔から嫌いだ。
学生時代に同級生だったら間違いなくパシリにしてると思うくらい、こいつが嫌いだ。

あった事も無い他人を嫌いだとか好きだとか言ってもしょうがないんだけど、こいつのコメントネットニュース等に流れる度に、うんざりする。
どうしてこいつはこんな視野が狭いんだろう・・・って。
バブル時に湯水のごとく湧き出てきた自称若手実業家と同じく、平成に出てきたIT長者はどいつもこいつも胡散臭かった。勿論中にはソフトバンクの孫さんや、楽天の三木谷さん、サイバーエージェントの藤田さんみたいに今もご活躍の方は多くおられる。
でも、このホリエモンはITブームで一気にライブドアで知名度を上げ、買収や株価つり上げをしたあげくの果てに選挙に迄出馬したお調子者。そのころから、なんでこんな馬鹿をみんな祭り上げるんだろう?って疑問だった。金を持ってるから?ただのオタクが一攫千金手に入れたから?
メディアに露出して喋ってる内容を聞いても薄っぺらく、一見もっともに聞こえるが根拠もプランもいい加減なものばかり。
その後捕まり収監されて、やっとおとなしくなったかと思えば、ここにきてまた一気に出しゃばり始めた。

なぜこんなタレントでもなく文化人でもない男を未だにネットが取り上げるのかもわからない。ライブドアの実績で未だにその業界ではカリスマ扱いなのかね。まぁそれはどうでもいい。

こいつが嫌いだって再認識したのは
1,TMレボリューションの西川君のハロウィンについてのコメントを、薄っぺらい持論で反論した事
2,寿司職人が独立する迄10年も修行するなんて馬鹿と言い切った事
この二つ。

1,のTM西川君が日本のハロウィンついて「ハロウィンの盛り上がりに水を差す気はないですが」と前置きしつつ、「本来のハロウィンで仮装するのは小さな子供達で、大人がコスプレして我がもの顔でねり歩いたりするもんじゃない」とコメントした件。
西川君はコメント当日及び前日にイギリスやアイスランドを訪問中だったから、現地のハロウィンを観て、日本のもはや仮装行列で地域に迷惑をかけるイベントと化したハロウィンイベントとの違いを指摘し、持論を述べた。
これは全くその通りだと思う。バレンタインでもクリスマスでも、節分だってもはや本来の伝統行事ではなく、現代風にアレンジされてる。そしてまだ日本に定着したとは言いがたいハロウィンに対しては俺も同意見だ。

子供が「Trick or Treat(お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ」ってお化けの格好をして各家庭を訪問するのが浸透するならいいと思う。 訪問される側の大人たちは、子供たちのためにあらかじめお菓子を大量に用意して待つ。これって地域の大人たちと子供たちが交流できるいい機会だと思う。田舎ではどうかしれないが都会では、昔みたいに近所付き合いとか無いもん。下手すりゃお隣りさんの顔もよく知らなく、会話もした事無いって人多いんじゃないかな。ハロウィンが地域コミュニケーションになるならいい事だと思ってる。
でも、それが今年も相変わらず渋谷をはじめとした大人の仮装大会に成り下がってるのが現状だろ?

でも、ホリエモンはどうやら違うみたいだ。
西川君のハロウィン論に対し、「別に何でもありでもいいんじゃないの。時代によって変化するのもまた文化」って。お前は石田純一かよ。日本にまだ根づいていない外国の宗教行事を、すでに文化とか時代とか言い切れる根拠は何だ?
とか言いながらこいつはちょっと前(10/5)の自分のツイッターでは、日本人がハロウィンに熱狂するわけは「SNSでのリア充のネタ作成の為じゃないの?」と書いてる。どっちやねん?
この根拠も大した知識も見解も無いまま思いついたまま語るクセは、昔から変わってない。

2,寿司職人の修行期間の事を書いたブログに対し「今時、イケてる寿司屋はそんな悠長な修行しねーよ。センスの方が大事」って。
なんだよその「イケてる寿司屋」ってのは?ってツッコミたくなるが、我慢して続きを見ると、フォロアーから「ご飯を炊く時の水分調節やシャリを握るのはそう簡単に会得できるものではない」と意見されてた。
それに対しホリエモンは「そんな事覚えんのに何年もかかる奴が馬鹿って事だよボケ」って返答。
お前はいつからすし職人になったんだ?何故そんな事を言い切れるんだ。

勿論短期間の修行で習得し、独立、その後独学で勉強してって職人さんもいるだろう。
でもな、修行が辛いからとか、いつになったらどうなるんだって修行途中で独立する職人は最近多い。
雇われるのは性に合わないってね。勉強してるって意識は無いのかもね。まぁそれはそれで仕方が無い。いつまでも下回りだとか、何かにつけて「修行だ」とか言われ、「見て覚えろ」だけだったら、非効率だしやる気も持続しないかもしれない。
実際、意味なく修行をするんだったら、手っ取り早く勉強して基本を習得して、お金さえあるなら独立して更に勉強して精進した方が早いかもしれない。

職人の寿司屋での修行と、チェーン展開してる回転寿しの修行。どちらが手っ取り早いってことだな。
一通りの手順やテクニックなら今じゃ寿司学校なるところでも教えてくれるらしい。でも、そんなところを卒業してすぐ独立したて奴の握った寿司、あなたは喰いたいか?
家をあなたが建てるとしたら、棟梁の元で20年修行してる大工がいる工務店に依頼する?大学や建築専門学校で勉強した奴らが多い工務店に依頼する?

ホリエモンは企業に勤めた事が無く、下回りや理不尽の上司に振り回された事が無い人だろう。取引先やお客様の事を考えて我慢したりした事も無いだろう。ましてや師匠について勉強したり教えてもらったり、取引先やお客を紹介してもらったりした事も無いのだろう。
ただ、最先端技術をいかに広めて売って、高く値を釣り上げ、売却する。
不動産やブローカーと変わらんな。ITって。(「みんなの笑顔のため」「今後の日本の発展のため」って開発してたり研究してたりする人はごめんね)

こんな人に修行の大切さをわかってもらえる訳も無いが、職人でもないくせに職人の世界を語るな。
デザイナーでもないくせに佐野さんを非難した尾木ママと何も変わらん。

せいぜい2年くらいで独立したがってる職人に、お金を出してあげて店でも作ってあげてくれ。そしてオーナー顔で連日行けばいい。
「新作」とか「日本料理の伝統をぶち破る」とかご大層な事を言って、周りから「若いのに大将って凄いね」って言われて有頂天にさせてあげてくれ。

実際そんなアホな奴の店がどんどんオープンしてる。多分親がお金を出してくれてるんだろうね。修行でこき使われるくらいなら自分の店を出しって。
そんな甘いもんか?料理の世界って?
脱サラとか手っ取り早くって開業したラーメン屋が年にどれくらい開店して、数年以内に何店閉店してると思ってるんだ?

修行の大切さは他の業界の人にはわからないと思う。特に今の若いサラリーマンや横文字産業の人はね。理解できる訳が無い。会社の骨を埋める気も会社とともに自己の成長なんて、絶対考える事無いだろうからね。

何故修行期間が長くなるのか?寿司職人や日本料理の職人の友人が多々いるから、そいつらから今迄聞いた話をまとめてあげよう。

親方と問屋に一緒に買い出しになんて行ってないければ、目利きも出来ない。本で得た知識では水揚げ各地で違う旬でさえわからない。
だから問屋の言うがままに一般的に知られてる高級魚を仕入れる。旬よりブランドね。それを「どうだ!こんな高級魚」ってメニューに。
客は『凄いねぇ」ってチヤホヤするかもしれないが誰も普段は食べネェよ。大間の鮪、閖上の蝦蛄、氷見のブリ、関サバ、・・・。こういったの喰う人は、わざわざ現地迄行って食べることをするから、町中では喰わないよ。河豚なら下関、牡蠣なら伊勢、蟹なら福井ってね。現地の方が新鮮で調理方法も色々あるしね。

素材を生かす調理法、さらには余すところなく使うメニューや技法を修行して習得してないから、せっかくの高級魚も刺身や寿司にするだけで、他の部分は?って使い方する。鯛やイサキの皮を塩焼きしたり、兜煮やカマを使った料理。鱈なら白子はどう調理する?昆布締めの加減は?コハダの塩加減は?約の?蒸すの?締めるの?熟成さすの?タレは、下地は?
結局、全部使えなければ歩留まり悪く、原価計算したら赤字だね。まぁ経理も知らないだろうけどさ。

下の子を育てる事も自分が修行してないから、指導出来るわけない。だからいつも人手不足(その前に給料払えないだろうけど)
自身がこれまで目で盗んだり、舌で覚えるって勉強してこなかったから、料理本や他人の料理を見てもアレンジやそこからの独創ができない。
ましてやこんな職人に「お客様に満足してもらうため」とか「お客様のために常に精進」とか出来るか?

さぁホリエモン。これでもお前は「長い期間の修行や苦労によって手に入れたものは価値がある」というのは偏見であり、寿司職人の修行というのは若手を安月給でこき使うための戯言に過ぎないというのか。
職人の技術と修行をなめるなよ。
根性主義の練習をしてる運動部の親・モンスターペアレンツかお前は。まぁお前は研究開発者の地道な努力を金にしか思ってないからM&Aとかできたんだろうけどさ。
職人の世界をわかってくれとは思わないが(どうせ理解しようともしないだろうから)、TVドラマ「下町ロケット」の阿部寛を見習ってくれ。