猫じじいのブログ

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韓国への輸出規制を強化する日本政府政の方針は妥当か

2019-07-09 18:59:01 | 日韓関係


TBSがこの土日に行った世論調査の結果は ひどい。日本人であることが恥ずかしくなる。

「韓国に対し、半導体の製造に必要な材料への輸出規制を強化する、政府の方針を妥当だと思いますか」という問いに、「妥当だと思う」が 58%、「思わない」が 24%、「答えない・わからない」が18%だった。

気を取り直して、調査方法を見ると、全国の18歳以上の男女2312人への電話による聞き取りで、1146人が答えたものだ。男女の別がないが、固定電話の回答者が577人、携帯の回答者が569人だった。

サンプル数が少ない。半数しか答えていない。固定電話が多いということは、半数近くは主婦層かもしれない。

この結果から、日本人の6割が、韓国への輸出規制に賛成だ、とは言えない。

しかし、相当数の日本人が、この輸出規制が深刻な国際問題であることを 理解していない、とまでは言っていいだろう。
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政府間の政治的対立で、相手国を経済制裁で抑え込もうというのは、暴力である。相手国を空襲で爆撃すると同じく、相手国の国民を巻き込むからだ。経済制裁は してはならないことなのだ。

経済制裁と兵器輸出規制とは異なる。兵器輸出規制は、平和を願う倫理的な動機から来る。

こんな経済制裁という暴力をこれまでふるってきたのは、米国だ。

ソビエト連邦崩壊の1991年まで、資本主義陣営と共産主義陣営とは冷たい戦争(Cold War)を行っており、軍事に転用できる工業製品は、製造加工機械に至るまで、輸出規制が行われた。また、日本やオーストラリア加盟国は、米国から、共産主義陣営にこれらの工業製品を輸出している商社のリストを受け、国内の企業がこれらの商社と取引をしないように、指導していた。この体制をCOCOMといい、1994年に正式に、解散した。

これが、共産主義陣営のミサイルや原子爆弾の製造を抑えるに効果があったとは思えない。
また、資本主義陣営の「特定の国」を対象に輸出規制するのではなく、リストにある資本主義陣営内の「特定の輸出業者」に工業製品を売ってはならないとするものだった。

したがって、今回の輸出規制とは、質的に異なる。

米国が、相手国にダメージを与えるために、明確に、経済封鎖を行ったのは、キューバ、イラン、北朝鮮、ロシアに対してである。キューバやイランに対してはオバマ政権が規制を緩和した。トランプ政権は、イランへの経済制裁を復活して、中東情勢の不安定を引き起こしている。
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したがって、安倍政権の韓国への輸出規制は異常事態なのである。

しかも、現在、安倍政権は韓国のムン・ジェイン大統領と話し合うことを拒否している。大臣レベルの話し合いも拒否している。聞きたいことがあるなら、輸出輸入担当の役人に合えばよいと、経済産業相の世耕弘成は、きのう、記者に答えていた。

さらに、まずいのは、この輸出規制をこれから、日本政府は強めると言っているだけで、どういう条件を韓国政府が受け入れたら、輸出規制を解除するのか、明言していないことだ。理由がわからない暴力ほど、始末の悪いものはない。

7月1日に西村康稔官房副長官は、韓国への輸出管理強化を政府が決めたのは、これまでに安全保障上好ましくない事例が過去にあったので、韓国との信頼関係のもとで輸出管理に取り組むことが困難になったとも語った。そのあと、それがどんな事例か、政府の誰も語っていない。

韓国への輸出規制強化は、韓国の経済を悪化させるだけでなく、いずれ、日本の経済にも跳ね返ってくる。日本は、これまで、韓国への輸出超過で、貿易収支をプラスにしてきたからだ。また、世界景気の後退のきっかけになるかもしれない。

参院選で、韓国に強い安倍晋三のイメージを強めるために、このタイミングで、この無謀な輸出規制に踏み切ったのではないか。安倍は、「強い外交」とネット上で参院選広告をうっているが、トランプ大統領に言うべきことをいわず、接待に明け暮れ、あげくには、韓国の国民を経済制裁に巻き込んで、空威張りしているだけの、最低の男だ。

また、7月1日から約1カ月間、韓国のホワイト国からの除外手続きとして、パブリックコメントを実施すると安倍政権は言っているが、いまだに、その手続きが透明になっていない。日本の極右「日本会議」が暗躍するだけだ。