猫じじいのブログ

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安倍晋三の5%ものコアな信奉者は何を思っているのか―信者研究

2019-07-12 23:38:24 | 安倍晋三批判
 
TBSが7月6日、7日に行った、18歳以上の国民への世論調査では、安倍内閣支持が、「ある程度支持できる」を含めて、58.7%があった。回答者が半数だったから、有権者の約30%が安倍内閣支持と言えるだろう。そんなものだと思う。
 
ただ、「非常に支持できる」と答えたものが世論調査で9.1%いたから、18歳以上の国民の中に約5%、強烈な安倍晋三ファンがいることになる。これを、ここでは、安倍晋三信者と呼び、考察したい。
 
残念ながら、TBSの世論調査では、安倍内閣を支持した者に理由を問うているだけで、「非常に支持できる」とした5%のコアな有権者層に理由を聞いていない。
 
世論調査では、実際、安倍内閣を支持する理由が、大きい順に「特に理由はない」の30.9%、「自民党を中心とした内閣だから」の30.8%だった。安倍内閣を「ある程度支持できる」とした層は、別に、安倍晋三個人の支持層ではない。
 
したがって、ここでは、読書メーターに投稿された、安倍晋三の『美しい国へ』(文春新書)への179件の感想文をもとに、安倍晋三信者について研究する。
 
安倍晋三を評価する読者たちの感想から見えるのは、安倍晋三が「理想を求める熱意の人」、「自分の言葉でわかりやすく語る人」、「反対があっても強い信念持ち続ける人」である。
 
すなわち、彼が何を理想とするか、どんな政策を実行しようとしているか、本音を語っているかを、別とすれば、信者からは安倍晋三はすばらしい政治家に見えるのである。
 
じつは、安倍晋三の語る理想は、これまでの保守イデオロギーと変わらない。安倍晋三信者は感想として次のように書き込む。
 
「戦後レジームからの脱却し、日本を取り戻さなければ、日本は護れない」「日本人はすばらしい民族性を持っている」「自虐史観ではなく誇りをもって、未来を展望」「安保強化により米国と対等の関係を築ける」
 
これらを、安倍晋三は「自分の言葉でわかりやすく語る」と信者は言う。
 
例えば、信者は安倍晋三が「信念を持ってきちんと説明している。ナショナリズムと郷土愛の部分良かった。」と称賛するのである。
 
じつは、戦前の修身(現在の道徳教科)の教科書も、両親への愛が郷土愛であり、郷土愛が愛国であると説く。安倍晋三は、子どものときから、戦前の修身の教科書で学んできたから、自然に、それが言葉に出るのである。
 
しかし、ちょっと考えてみれば分かるのだが、子どもが両親へ愛を示すのは、両親が弱って死にかけているときであり、普通は、逆に、両親が、愛情をもって、子どもを守り育てるのである。
 
「親への愛」は、儒教の思想からで、親孝行する良い子になりましょう、と言っているのだ。すなわち、子より親が偉く、住民より自治体が偉く、国民より政府が偉いという、上下関係がそこに潜んでいるのだ。
 
「愛国」とは、国民を愛すること、すなわち、人を愛すること、ではない。
 
本当は、国を愛するのではなく、人を自分のように愛すべきである。
 
安倍晋三は矛盾に満ちたことを、情熱的に語るだけだ。「安保強化により米国と対等の関係を築ける」というが、米国と武力で戦争するのでなければ、軍備を強化しても、米国との対等な関係が築けるわけではない。安倍晋三がトランプ大統領の接待に全力を尽くしたのは、トランプがトヨタの自動車に高い関税をかけないで欲しいからだ。
 
米国と対等の関係を築くためには、経済問題で、米国民に譲ることが、だいじである。軍事問題ではない。他人に寛容であることだ。
 
左翼が別に「自虐史観」をもっているわけでなく、過去に大日本帝国政府や企業が行った非人間的行為に関しては、事実は事実として認めているだけである。それによって、日本人が、別に、自分を卑下する必要はない。ところが、安倍晋三信者は、大日本帝国と自分を同一視するから、「自分の国に対する誇りを、何故か持ってはいけないように幼少の教育から仕向けられてきた」と考えてしまう。
 
安倍や信者が、国と自分とを区別できないとは、自分がないことである。国とは単に政府のことであり、現在や過去の政府と自分の意見が異なることなんて、普通にありえることだ。国を批判したって良いのだ。
 
安倍晋三信奉者は「拉致問題解決への強い意志」という点も評価しているが、強い意志とは口先のことで、安倍晋三はこの15年間何をしたのだろうか。
 
どうも、5%の安倍晋三信者は、自分の頭で物事を考えないから、「自分の言葉でわかりやすく語る人」にコロッとだまされるようだ。安倍晋三は、子どものときから、人をだませる人が偉いのだ、という帝王学を授けられているから、用心して彼の話を聞いた方が良いと思う。