猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

抑止力保有の自民党提言にニコニコする安倍晋三

2020-08-05 13:13:39 | 戦争を考える

新型コロナ対策では逃げ回っていた安倍晋三が、きのう(8月4日)、うれしそうに自民党のミサイル防衛の提言を受けとっていた。

これは、安倍内閣が進めてきた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(地上イージス)の配備計画の撤回を受けて、「迎撃だけでは防御しきれない」、「相手領域内での阻止能力を保有」と、これまでの「専守防衛」を踏み越え、抑止力強化を提言するものである。

「抑止力」とは、お互いに声を張り合って、こっちが強いと脅かし合うことである。一触即発の危険をはらむことである。喧嘩にならないようにするには、脅かし合うのではなく、「まあまあ」と言って落ち着くことであろう。

ところが、国の喧嘩は子どもの喧嘩とは違い、それぞれの国に為政者がいて、国民に人気がないとき、国の危機を訴えて、国民に自分のもとに結集するよう呼びかけるために、他国とわざと張り合うのである。

私の記憶で新しいのは、2001年9月11日のワールド・トレード・センターへの旅客機によるテロ攻撃である。

それまでは、ジョージ・W・ブッシュの大統領再選は無理だと思われていた。私が勤めていたIBMの従業員は、ブッシュをバカにした動画を見て笑いこけていた。ところが、旅客機テロ攻撃に逃げまわったブッシュは反撃を宣言し、アフガニスタンを占領し、イラクを占領し、他国の政権を勝手に崩壊させた。このことによって、星条旗をふるバカな国民によって、ブッシュは大統領に再選された。

しかし、その後に起きたことは、アメリカのアフガニスタンとイラクの占領支配を維持できず、中東に不安定な「破綻国家」を作っただけである。

いま、アメリカと中国のトップはそれぞれ国民に不人気である。トランプと習近平は、これまでの両国の経済的結びつきを壊し、互いに罵倒している。特に、政治的基盤の弱いトランプの喧嘩腰はひどい。戦争の一歩手前である。

安倍晋三は抑止力として相手の軍事基地を攻撃できる体制と言うが、抑止力は抑止力として機能しないのが現実である。これまでの歴史で、ほとんど毎年、局所戦争が大国間のあいだで起きてきた。

抑止力とは互いに理性があるから戦争にならないとの仮定にもとづく。しかし、戦争による支持率の向上があるので、理性があっても、トップは局所的な戦争をしてしまう。

アメリカと中国のあいだでも、アメリカが北朝鮮のピョンヤンに原爆を落とし、中国が日本の東京に原爆を落とし、これで、おあいこだね、と戦争を終結するかもしれない。トランプと習近平が張りあえば、当然ありうるシナリオである。

日本が抑止力をもっても、戦争への敷居が低くなるだけで、抑止力として機能しない。

新型コロナ対策の前面に出てこず、臨時国会開催も避ける安倍晋三が、自民党の抑止力保有の提言にニコニコするのは、とても、危険な兆候である。