昨夜、WOWOWでドキュメント映画『They Shall Not Grow Old』を流していた。ピーター・ジャクソンが脚本・監督した2018年公開のニュージランド・イギリス映画だ。
1914年から1918年の第1次世界大戦の兵たちの休息、補給、戦闘と死を扱っている。白黒のフィルムに色をつけている。だから、死体が生々しい。休息中の屈託のない笑いと動かない死体の対照がすごい。まだ無声映画の時代のフィルム映像に、退役兵のインタビューから得られたつぶやきが爆裂音とともに添えられている。
イギリスの各地やイギリス連邦諸国から戦争に駆り出された兵が、不ぞろいの、あるいは、虫歯治療の歯をむき出しにして、カメラに向かって笑っている。16歳の少年も兵として駆り出されている。無数の死体が戦闘の後に散らばっている。
最後は、2018年11月11日に戦争が終結し、帰還した兵に社会が冷たかったことを扱っている。仕事がなかったのである。ある帰還兵は、「しばらく見かけなかったが、どこかにいっていたのか」と問われる。
戦争は、意味のないことのために、死と体の損傷と苦痛と恐怖を、人々に強要する。
私の子ども時代、お祭りになると、神社の石段に手足を失った帰還兵が物乞いに座っていた。
今年は、戦後75年である。5年前の夏、戦後70年をむかえて、騒がしかったが、今年の夏は新型コロナ騒ぎで、日中戦争、太平洋戦争で多くの人々が無意味に殺されたことが忘れ去られようとしている。その責任は問われるべきである。勝ったものが負けたものを裁いたという東京裁判だけをNHKはドラマ仕立てで8月に放映したが、東条英機や岸信介や昭和天皇に、人々の「死と体の損傷と苦痛と恐怖」の責任があったはずである。日本人の手で彼らを裁き、復讐すべきであったと思う。
現在、戦争をたくらむものに対し、戦争は犯罪であることを教えてやる必要がある。