老津島の神も子らをいさめたか
子どもの声も浜も静かね 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=琵琶湖。奥津(おいつ)島の州崎(砂浜が湖中へ突き出たところ)で、近所の子どもたちが賑やかに笑い興じている。でも、ふっと静かになった。おや、波のざわめきも凪いだわ。須佐之男さまのお叱りがあったのかしら。
¶おいつ島=新潮版注は、延喜式の「奥津嶋神社」、現在の近江八幡
市「大島奥津島神社」か、とする。地図で確認すると、いまは湖の西岸
で地続きである。「おい」(老い)「わらはべ」(子ども)に掛ける。平王ク
は「老津島」表記。
□紫024:おいつしま しまもるかみや いさむらむ
なみもさはがぬ わらはべのうら
□悠024:おいつしまの かみもこらを いさめたか
こえもしないし はまもしずかね