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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

三菱一号館、旧東京中央郵便局とJR東京駅

2013年06月15日 | 日記
 12日、小田急線から千代田線に入り日比谷下車、有楽町電気ビル北館17階で研修受講。JR有楽町駅、旧そごうデパート(現ビッグカメラ)がすぐ目の前だ。このビルは前から知ってはいたが研修の機会で訪問することになるとは!じつは受講したのもこのビルから周辺を眺めてみたかったから、というのが動機のひとつ。
 17階の窓からの周辺がずいぶんと高層化されていることにあらためて驚く。とくに丸の内や東京駅周辺は、ガラス張りビルが林立してスカイラインを形成している。ほとんどが全面ガラス張りで容積率が増えた分、圧迫感を和らげようとしているのか個性を消して互いの姿を映しあっている。すぐとなりのスバル座が入っているビルは変わらないようだ。記憶のあるラーメン「なかもと」も地階に顕在なのがうれしい。中層のビルの屋上は、流行なのか緑化庭園化が随分と進んでいる。

 夕方5時、受講が終わってまだ明るい丸の内仲通を東京駅方面に歩き出す。この明治期以来の伝統あるオフイス街ビルの一階は、その格式の高さに注目したであろうブランド店が軒を連ねていて、大きく育った街路樹(おもにケヤキ)がつくりだす緑陰による気持ちの良い遊歩道となっていた。途中で三菱一号館にたち寄る。美術館はあいにくの休館、デジタルギャラリーをのぞく。明治創建時の赤レンガ建築の再現で議論はあるようだが、実際に訪れてみて当時のスケール感を実感するうえでこれは悪くないと思う。
 続いて、旧中央郵便局にやってきた。吉田鉄郎設計による正面ファサードと一部内部は残しての高層化。この手法にも議論と批判はあったようだが、そのままの保存がもっともよいという保守論調にもうなずけない。ファサードもタイルは新旧いりまっじて旧態イメージを残している。郵便局内部の受付まわりと列柱のスケール感は前の状態を体感できるように配慮されていて、あたらしく建設された空間との歴史的対比がおもしろいと思った。はたして、ブルーノ・タウトがこれを見たらどうのように評するであろうか、と想像をめぐらす。
 そして、ななめ向かいには復元なったJR東京駅。三階建てとドームが創建当時の姿なのだとか。周囲の風景からあきらかに浮き上がっていて、忠実な再現が逆に書き割りのような張りぼて觀を醸し出している。あきらかになじんでいない。しかし、駅の中心にこの意匠とスケール感が当時のまま現代に保存されたことが大事なのだろう。意識されていたかどうかわからないが、周辺ビル群との鮮やかな対比が逆に時代感覚を浮かび上がらせている。

 話題の建物を満喫したあと、JR線沿いに煉瓦高架沿いをふたたび有楽町方向に戻る。煉瓦高架こそが明治期のままの構造をそのままに引き継いでいるようで、こちらを土木遺産か文化財に指定してよいと思う。ガード下の連なるにぎやかな店舗はアジア的な混沌風景でなつかしくほっとした気にさせられる。
 有楽町駅手前にガードをくぐって反対側に出るとそこに「ミルクワンタン」の古びた看板とのれん。開店したばかりなのか、店主らしき人物以外に客はいない。昭和の残り香り、という言葉通りの店構え、何度かその名前は目にしたことがある記憶がよみがえり、思い切って入ってみる。この体験は次回に詳細を記したい。