日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

星の王子さまと赤いバラ

2014年05月23日 | 日記
 住まいの近くに“湘南”ならぬ“相南(そうなん)”という地所がある。そうはいっても一般的には何もイメージが浮かばないだろうけれど、東海大付属相模中学高校の名前をあげると、ああ“そうなん”ですか! といった、もうのっけから脱力感溢れる反応が返ってくるのだろうか?この辺りは小田急線でいうと、江ノ島線中央林間駅と小田原線小田急相模原駅を結ぶ三角地帯、相模原と座間と大和市の境界にあたり、住宅地の中に戦前からのゴルフ場(相模カンツリー倶楽部)が拡がっていて、適度に閑静で人為的ではあるけれど緑が豊かなところである。唯一の難点は、厚木飛行場に近くてときおり離発着する軍用飛行機の騒音に悩まされる点だ。

 天気がよくて気持ちいの良い休日、この辺りの住宅地を久しぶりに散歩しならが目に入ったいくつかのこと、連想したことなどを書き綴ってみるとする。まずは、東海大付属高校から脇に少し入っていくと、「相模原の住宅」(1992年、野沢正光建築工房)が目に入ってくる。ここは建築マップ横浜・鎌倉編でその存在を知ったところで、設計した建築家の自邸である。敷地は70坪あまりと周辺では平均的な広さ、OMソーラー設備を搭載した鉄骨造りの二棟を階段のある廊下でつなげた中庭に、珍しいセンダンの大木が枝を拡げているのが印象的なたたずまい。いまは鮮やかな新緑が芽吹きだしていてこれがもうすこしたって紫色の花が芳香を漂わし、初夏になると豊かな緑陰を住宅全体に広げてくれて、天然の避暑カーテンのような役割を果たすことになる。両側にはほかの住宅が並び、あまり外観が外からは望めないのが少々残念だが、基本的に簡素な素材を用いながら住み心地よさそうな住宅であり、よくメンテナンスが行き届いていて、建築家自らが愛着を持って住まわれていることが伝わってくる。

 その斜め前には、緑ヶ丘出雲神社の小さな祠がある。由緒書きによると、戦後このあたりが開墾されて新住民が暮らし始めたころに島根県出雲大社(竹内まりやの故郷だ)から分霊されたものだそう。鳥居の横には、狛犬のにかわりにウサギ石像がちょこんと鎮座している。りっぱな青銅製の龍口から自動で水を注いでくれる手水鉢もある。地元自治会でしっかりと管理されていて、地域コミュニティの拠り所となっているのだろう。
 神社と「相模原の住宅」の間の通りを進んだ先には、ベージュの家壁一面にバラを中心に春の季節のさまざまな花々でガーデニングされた住宅が目に入ってくる。角地に立つ住宅、90度回った玄関入口側まで花花で埋め尽くされているっていう感じで実にお見事!このあたりの家々は比較的敷地に余裕があるとことが多く、それぞれが思い思いに庭の木々や花々を育てていて、散歩していてすこし得をした気分になってくる。

 ここでようやくタイトルの「星の王子さま」にたどり着いたかな。相南とはまったく離れているが、昨年五月の帰省の際に関越自動車道下り三芳PAで見かけた風景のスナップがあまりにこの季節にぴったりなので、バラつながりでここに掲げようっと。ここのパーキングエリアは、星の王子様をモチーフにしたテーマパーク仕立てになっていて、建物・ショップ・庭園などすべてがその世界を構成している世界で唯一?のPAだろう。


 A.サン・テグジュペリ(1900-1944)の「LA PETIT PRINCE」“星の王子さま”本文プロット20番目には、王子さまが砂原と岩と雪をふみわけて歩いて行ったさきでバラの咲く庭にでるシーンが描かれている。