○アメリカ国内からはどう見える
さらに同紙はサイト上で、この問題について読者のコメントを募集しています。 回答者たちは一様に≪ニューヨーク・タイムズのオンライン・コメント欄に投稿する≫という属性を持つ人たちなので、アメリカ国民の代表的な意見とは必ずしも言えない気もします。
しかしそれを含みおいた上でも、コメントには一定の論調が見えて面白いです。
名護市民の選択に、アメリカの市民がどう反応しているか。特に、アメリカ国内からの投稿(と書いてある)コメントは主に——、
「第二次世界大戦が終わってもう65年たつのに、なんで5万人もの米軍がまだ沖縄にいるんだ?」
「世界中に米軍展開するなど、もうとっくに止めるべきだ。そんなことをしても、アメリカは世界中から憎まれただけ。もっと自国内の自国民を大事にしろ」
「私が日本人だったとしても、自分の国に米軍がいるのはいやだ。いったんやって来ると二度と出て行かないからだ。アメリカ人として、日本人を全面的に支持する」
「ついに『同盟国』のひとつが我々アメリカの帝国主義に立ち上がって『出て行け』と言おうとしているんだって?」
「日本は主権国家だ。その国の国民が、自分たちの国土に米軍はいらないと言っているなら、アメリカが強制する権利は何もない。アメリカはいい加減、よその国を『手下』ではなく対等な国として扱うべきだ」
「日本やヨーロッパでの米軍駐留は、税金のむだ遣いだ」
——という、「アメリカ帝国主義」に「いい加減にしろ」という意見が多い。しかも、やはり経済がこれだけ苦しいのだから『国内をもっとどうにかしろ』という意見が目立ちます。
(日米の)いわゆる「識者」と呼ばれる人たちが言うような、「2006年の日米合意を守れ、約束破りは二国間の信頼関係を傷つける」とか「日米安保体制にヒビが入る」とか、そういう意見はほとんど見られません。
そしてさらに。少し目線の違った意見がカリフォルニア州のアレンさんから。「世界第二位の経済大国となった日本はもう十分に、北朝鮮のたぐいに対しても、自国防衛は自分で出来るはずだ。
米軍はあっさり日本から引き揚げられないのか?」と。もう日本のことは日本に任せろと。
そして、ニューヨーク郊外ホワイトプレーンズのポールさんから。
「米軍基地を撤収して、日本の防衛は日本が全額負担するようにすればいい。ただし、北朝鮮がそっちにミサイルをぶんぶん飛ばし始めても、アメリカに泣きつかないでほしい(But don't come crying to the U.S.A. when North Korea starts lobbing missiles your way)」
つまりは、そこですね。「アメリカいい加減にしろ」も本音として(一部の)アメリカ国民の中にあるでしょうが、むしろ「日本いい加減にしろ=自分のことは自分でやれ」という方が、正直な本音なのではないでしょうか(自分がアメリカ人だったら、同じようなことを考えると思います)。
「米軍基地はいらないと言うなら自分の国は自分で守れ」というアメリカ一般市民の声に日本人としてギクリとする以上、そして沖縄にこれ以上の基地負担を強いるのは(道義的にも、公共財の均等負担という共同体の基本からしても)あり得ない以上、対等な日米同盟における自衛隊の役割について真剣に考えなくてはならないところまで、この国は来ているのだと思います。