「大阪水曜ほっと集談会」公式ブログ

2月19日(水)14時~・2月18日(火)20時~(ZOOM)にてリモート集談会を開催します

命について考える。

2021年12月03日 03時51分07秒 | コラム 

大阪水曜ほっと集談会一世です。

不注意からの事故で、生活が停滞し立ち止まる機会を与えられた私です。

もてあます時間の中で、学生時代に好きだった※吉野 弘氏の詩集を読み返しています。

常に社会的弱者に寄り添う姿勢と社会のひずみをさりげなく描いたその作品の数々に深く共感しています。

戦争体験や20代での3年間の療養生活が、社会派詩人と呼ばれる吉野氏の作品に色濃く投影されているように感じます。

 

生命は


自分自身だけでは完結できないよう
つくられているらしい


花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする


生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

 

世界は多分 他者の総和
しかし 互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず 知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄


ときにうとましく思うことさえも 許されている間柄
そのように 世界がゆるやかに構成されているのはなぜ?

 

花が咲いているすぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

 

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

 

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

 


もし私に森田療法を授けてくれた叔父がいなければ?

もし、河野 基樹医師との出逢いがなければ?

もし私がパニック発作で苦しんでいた時に、が真夜中に話を聴いてくれなかったら?

自分が、自分がと、自分で生きていると思うと辛い。

生かされていると思うとありがたい。

命は自分だけでは、完結できない。

欠如だらけの私であることに顔面を強打してようやく気付かされたようです。

それを教えてくれた三人の恩人に、永遠に会うことができない一世です。


2021・12・3 一世

※参照 吉野 弘氏 詩人 詩集「命は」より抜粋


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