Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

浸潤

2006-09-04 | 医療・病気・いのち
 癌は大きくなるにつれて、周りの正常な組織や、近くにある他の臓器に入り込んでいくことがあり、これを浸潤といいます。そうなると、もともと癌ができた臓器からの症状とは異なる症状が出てきます。

 たとえば、大腸や直腸から膀胱に浸潤すれば、排尿時の痛み、尿に血が混じる、尿に便汁がまじるなどの症状が出ることがあります。食道がんが大動脈に浸潤すれば、突然の大出血で命をおとすことがあります。胃癌がすい臓から胆管まで入れば黄疸が出ることがあります。

 このような浸潤による症状が出てくるようでは、かなり進行した状態で、根治できる可能性はだんだん低くなります。ここになるまでには、年単位の時間がかかっているはずですし、半年前に検査をしていれば、また随分様相が変わっていた可能性もあります。癌はできないほうがありがたいのですが、もしできたものなら、少しでも早く診断をつけ、治療を開始する必要があります。

 定期的な検診を受けるとともに、何か気になることがあれば、ぜひ医師に相談していただきたいと思います。

両刀づかい

2006-09-04 | 医療・病気・いのち
 私は右利きである。しかし、手術をするときは、決して右手だけを使ってするわけではなく、左手できちっと臓器を持ったり、よけたり、摂子を持ったりしながら、手術操作をスムースに誘導するのである。だから、術者の左手(利き手でないほう)の動きを見れば実力がわかる。

 さらには、操作を行う場所によっては、右手と左手の役割を入れ替えたほうがやりやすいこともある。そのためには左手も右手とある程度同様な使い方ができるように訓練しておく必要がある。

 そこで医師になったころは、左手で箸を使う練習をし続けたものだ。それがかなり役立つ。

 技術は当然知識に裏打ちされたものでなければならないが、技術である以上、基本の反復は必須である。基本を忘れた手術は危うい。