口と鼻は奥で繋がっています。食道と気管もその延長線上にあります。気管の入り口にある蓋(喉頭蓋)が開いているときは呼吸ができる状態であり、閉じているときは食物や唾液を飲み込むときです。この蓋が非常にタイミング良く閉じたり開いたりすることによって、気管の中に空気以外のものが入らないようになっているのです。
このタイミングがずれたりすると、気管の中に空気以外のものが入ってしまい、咳き込むことになります。若い人でも、食べている途中に大笑いしたりすると、急に咳き込んでしまうことがありますが、これは気管の入り口に食べ物か液体が入りかかってしまったのを、咳として排出しようとしているのです。
年をとると、この蓋の動きが悪くなって、気管から肺の方へ食べ物が入ってしまうようになることがあります。そうなると肺炎(誤嚥性肺炎)を起こします。お年寄りの肺炎は、誤嚥性肺炎が多いのです。
誤嚥というと、食べ物が気管に入ることだけを考えて、医療者でも患者の食事を止めることが多いのですが、唾液を誤嚥することも多いのです。口の中には雑菌が要るので、その細菌が含まれた唾液が気管から肺へ入ってしまうことによって肺炎が引き起こされてしまうのです。
これを防ぐためには、口の中をきれいにする、入れ歯もよく磨く、虫歯や歯周病の治療をしておくなどと言うことが大切になります。また嚥下にはのどの周囲の筋肉を使うのですが、それを鍛えておくことが必要です。鍛えるには、お喋りをしたり、舌を口の外に出したり引っ込めたり左右に振ったりと舌を動かしたりするのが良いようです。