Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

順応

2011-11-12 | 想い・雑感
映画やテレビドラマの中で
何かの警告音が流れると
緊急事態だと観客は何が起こるかと身構える

でも
外科病棟は
アラーム音のオンパレード
心電図 酸素飽和度計 点滴ポンプ 注入ポンプ レスピレーター …
いろいろなものが警告を発する

その警告の中には
ちょっとした振動や患者さんの体動などが引き起こす
本来問題とならないものも多数含まれる

毎度のことになると
われわれもちょっと慣れっこになってしまう

ある朝の回診後
ナースステーションでカルテ記載をしていると
いくつもある心電図モニターの一つが
警告音を発し始めた
心拍数が60を切ったからなり始めたようだが波形自体は問題なさそう
誰か気にするかなぁと思いながら15秒ほど様子を見ていたが
皆それぞれが自分の仕事に没頭しており聞こえていない様子

私の担当患者さんではなく状況がわからずどうも気になるので
リーダーの看護師に注意を喚起したところ
癌末期の方の脈拍が落ち始めたところだということがわかり
急ぎ個室への移動となった

末期の方の中には
低空飛行の状態が比較的長く続く方がおられる
そのような方はある日突然脈拍が下がり始めると
数十分から数時間で亡くなられることが多い
その方も個室に移ったのち2時間ほどで亡くなられた

それにしても
あまりに多くの警告音に囲まれ
警告音のすべてに敏感に反応するなんてこと
人間の順応という自然な現象からすると
かなり困難なことだよなぁと改めて思う