かぜ症状は治まったのに、空咳がいつまでも出て止まらない。痰は少ないのだが、なんだか絡んでしまって咳が出る。咳が出始めると連続して出続け、顔が待ったになり、吐きそうになる。喉の感想感が強くて咳発作が続く。これらの症状を訴えるとき、麦門冬湯(ばくもんどうとう)の出番となることが多い。いわゆる咳止めの薬の中には、喉の乾燥感が強くなるものもあり、そんな時麦門冬湯を飲むと乾燥感が静まり咳も静まることがある。一方痰がたくさん出るような咳にはこの処方は使わない。
一月近く鎮咳剤を処方されているが、夜にせき込みだすと止まらず、最近は寝不足になっているという相談を受けたことがある。その時は麦門冬湯に小柴胡湯も一緒に処方したが、その日から眠れるようになり、一週間たたずに咳が止まったとのことだった。西洋薬で行き詰ったら、漢方薬を試してみると、いいことがあるかもしれない。
保険適応病名 : 痰のきれにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく。
麦門冬と粳米は気道を潤し咳を鎮め、半夏は去痰と咳止め、人参、甘草、大棗で元気をつける。
《処方語呂合わせ》麦門冬(ばくもんどう)半夏(はんげ)粳米(こうべい)甘草(かんぞう)人参(にんじん)大棗(たいそう)
◎ 爆問答 反抗 堪忍たい
つぎつぎと問答を仕掛けてくる、爆問答(麦門冬)。反(半夏)抗(粳米)的な態度でどこまでも引き下がらない。いい加減、堪(甘草)忍(人参)たい(大棗)。